別れ
お気に入り登録ありがとうございます。
拙い文章ですけど頑張って書いていきたいと思います。
サブタイトル、なかなかにつけるのが大変です(笑
このあたたかなぬくもりは
風となってこの手に流れてくる
光となってこの身を照らしてくれる
clarity love 別れ
どれぐらい見つめ合っていただろう。
はっと意識を戻すと、双子たちがこちらを不思議そうに覗いていた。
「ななちゃー、どしたの?」
「なっなんでもないよっ!」
顔を真っ赤にさせながら返事をする。七海にとって男の人と目を合わせるなんて今までになかった行為だ。しかも今日だけで何度もあったため、七海の頭はパニック状態であった。
あんな綺麗な方に見つめられて、何もない人が見てみたい!
緊張するよう!
七海の顔は真っ赤なまま。しかし青年は不思議そうに七海の方を見続ける。
双子たちはわけもわからずまたもや二人を見続ける。
すると、青年の方からぐるるうるうとお腹の音が聞こえてきた。
「あ、わりい」
青年が真っ赤にしながら謝る。
七海と双子たちは一瞬時間が止まったようだったがお互いに笑い始める。
「ごはん、食べて行きませんか?今から作るので」
七海は立ち上がるとキッチンの方へ向かいながら誘う。
双子たちは七海がご飯の準備をするのを悟り、テレビをつけ始める。
青年はもう少しいたいと思いながらも、戸惑いを見せた。
「その、親とか帰ってくるんじゃねえの?」
その質問に七海は苦笑しながら答える。
「親は二人ともいないんです。」
青年はしまったと口をふさぎながら悲しそうな顔をする。
「わりい。変なこと聞いたな」
「いいえ。私には二人がいるので平気です。」
そしてテレビを見ている双子を見る。青年もつられたように見た。
双子は楽しそうにテレビを見ている。
双子が七海に話しかけると七海も幸せそうな顔をしながら答える。
青年はそれがとてもきれいに、そしてとてもうらやましく見えた。
「双子たちも喜びますし、ぜひ、どうぞ」
今日はとっておき作ります。と七海がにこやかに言う。
「なら、お願いしてもいいか…?」
戸惑うように尋ねると七海は嬉しそうに、わかりました!と応えた。
トントントン
女が野菜を切っている音が聞こえる。
鍋がグツグツ煮込まれている音が聞こえる。
目の前では子供たちが子供向けの番組を見ながら一緒に踊ったり歌ったりしている。
たまにおにーちゃんも一緒におどろ?と誘ってくる。
青年は踊りは上手じゃないからと遠慮するが、今度は一緒にうたお?と誘う。
今までこうやってなんでもかんでも聞いたり誘ったりするやつが苦手だった。
子供でもだ。近くにいてもとても心苦しくなった。
しかしこの子たちは違う。
あの女は特に…
そう頭で考えながら子供たちと一緒に歌を歌う。
すると子供たちはおにーちゃん歌上手!と褒めてくれた。
それがすごく青年にとって嬉しかった。
「できました!」
七海はリビングへ食事を運ぶ。
双子たちも手伝い始めた。それを見て青年も手伝おうと立ち上がる。
「あっ駄目です!お客様ですから、それにまだちゃんと治ってないんですしじっとしていてください」
「いや、大丈夫。倒れるのはその、たまにするから。気にしなくていい。」
そういってキッチンへ手伝いに入る。
たまに倒れる?どういうこと?
七海は不思議に思いながら再びキッチンへ入っていった。
「「「いただきます!」」」
「…だきます」
青年は三人の勢いにのせられ、いつもは言わない「いただきます」をつい言ってしまった。
結局皆で準備をした。
双子たちもいつもはしない箸を並べたりもして成長したなと七海は感動する。
双子たちは各々食べ始めた。そして青年も少しづつ食べ始める。
「おいしい…ですか?」
七海は心配そうに尋ねる。
「ああ、おいしい。こんなのおいしいもの初めて食べた。」
青年は驚きながら答え、その後も黙々と一生懸命食べていた。
それをみて、一生懸命作った甲斐があったと七海も食べ始めた。
そのあとも双子たちがわいわいと青年に話しかけ、青年が黙々と応えていた。
たまに七海も話に入り、食事はにぎやかなものになった。
片付けも皆と一緒にし、楽しく食器洗いや食器拭きをした。
そして皆で子供番組の録画を見始める。
しかし七海は一人心配し始めた。
この方…お家とか帰らなくていいのかな…?
食事を誘ったのは確かにこちらだ。しかし、もう双子も寝そうな時間帯である。
年もおそらくまだ大学生ぐらいだと思うが、両親が心配しているかもしれない。
そうでなくても他の友人が探してるかもしれない。
「あの、ご両親など心配されているんではないですか?」
七海が青年に尋ねると青年はびっくりした顔をした。
「いや、あの、お友達とか心配しているのではないかと…もう夜も遅いですし」
すると青年は気づいたように時計を見る。もうそんな時間かとひとりごちた。
「その、悪かったな。こんな時間までいてしまって」
「いっいいえ!!!」
七海は叫ぶ。そうではないのだ。
むしろ、むしろ、、、
青年は考えるようなしぐさをすると七海の方を向いた。
「…もう一つ迷惑かけて…いいか?」
「電話を貸してほしい」
そういって彼はどこかへ電話をかけた。すると相手はすぐ出て叫ぶように「どこいっていた!!!心配したんだからな!!!」と話しかけていた。
青年は謝罪と今ある家に世話になってることを説明し、迎えに来てくれるよう頼んだ。
七海はすぐさま自分の家の住所を教え、それを青年が電話の相手に伝えていた。
30分ぐらいすると玄関のチャイムが鳴った。
それに出るととてもかっこいい男の人が立っていた。
「え?おんな…の子?」
その男の人はびっくりしたようにつぶやいた。
七海はまた女の子と言うことを言われ不思議に思う。しかし奥から青年がやってきて彼と話し始めた。
「どういうこと?女の子?それに後ろの子供たち…」
「雅さん、かえろ。」
男の人は次々に質問するが青年が無視をする。
双子たちはとても悲しそうにおにいちゃんとはなれたくなーい!かえるのー!?と言っていたが、青年がごめんなとなだめていた。
それに男の人がまたびっくりしていた。
「えっと、この方、倒れてらっしゃったので家で少しだけ休んでもらってました。勝手なことをしてすみません。」
七海は一応謝る。すると男の人は勢いよく頭を横に振る。
「いいえ、香南がこちらこそすいませんでした。」
そして青年に頭を下げさせる。
「申し遅れました、私は香南の「雅さん」
男の人が話しているところを青年がさえぎる。
「俺から説明するから。」
「もしかして、彼女たちは知らないのかい?」
「ああ、そうらしい。」
だから話すな、と無言の圧力をかける。
七海はさっきからわけがわからず頭の上にはてながいっぱい並んでいた。
「その、この人は雅さん。俺の世話をしてくれてる人なんだ。」
「はは、雅です。はじめまして。今日は本当にありがとう」
「いえっはじめましてっ!」
七海が雅に頭を下げる。
「それで、俺は、鵯香南っていうんだ。今日は本当に何から何まで悪かった」
香南さん…七海がつぶやく
「いいえ、香南さんがいたから私たちも楽しめましたし」
七海は笑顔で答える。それに香南も笑顔で答えた。
「お前たちも悪かったな。」
双子の頭をなでながら言った。
「おまえたちじゃないよー!ぼくひむかいみうっていうんだよ!」
「ぼ、ぼくはひむかいるい」
二人は手をあげながら答える。それに微笑みながら七海も言った。
「私は日向七海と言います。今日は楽しい思い出をありがとうございました。」
七海は握手を求める。
「七海、か。俺も、本当にありがとう。」
香南も笑顔でそれに答えた。
お互いの手には暖かなぬくもりが流れていた。
やっと、やっと、名前言わせることができました(笑
鵯って苗字があるのか謎ですが;;;