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clarity love  作者: 朱希
21/50

笑顔

この感情を君は知っているだろうか?







この表情を君は知っているだろうか?









clarity love 笑顔







あの携帯事件から数日後、ようやく落ち着きつつあるanfang。

雅もよかったと頷きながら本日の仕事の様子を見ている。

今日の仕事は雑誌のインタビューと撮影だった。

今までの香南は雑誌のインタビューすら受けてる途中に気持ち悪くなることが多かったが、七海との会話、メールおかげか気持ちも穏やからしく何事もなくスムーズに進んで行った。

今日の雑誌は前回のツアーについてだった。

前回のツアーについてはファンの間でもかなり話題となるものだった。

特に香南の変化についてはテレビでも放映されるぐらい話題となったので、そこら辺をピックアップされ聞かれると思っていた。

実際に今インタビュー中に香南に話題がふられた回数が半端なかった。

「今回のツアーで香南さんは初めてMCをされたそうで、何か心境の変化があったのでしょうか?」

「…別に」

「初めてのMCはどうでした?」

「…別に」

「あ…あの…」

流石にインタビューにならないと思ったのだろう。メンバーがフォローに入る。

「初めてにしてはちゃんと話せてたよ!!!頑張ったよね。カナン」

「そうだねえ。ちゃんと皆にも挨拶できたしね。えらいえらい♪」

「これからもっとできるようにならねえとな」

それぞれ香南のMCに対する感想が述べられた。

香南はもう自分は関係ないというようによそを向く。

まだ別にと言われるようになっただけましだと、インタビュアも思い、それからは香南に向けてのインタビューは少なくなった。






インタビューが終わった後、休憩が一度入り次は撮影に入った。

それぞれ撮影の衣装に着替えるとカメラマンもやってくる。

anfangはもともとヴィジュアルバンドのようなものをしていたためゴスロリのような黒い服をよく着ることが多かったが、メジャーデビューを果たし今ではカジュアルな服をよく着るようになった。(といっても黒い色の服が多いが)

今回は昔のようなゴスロリよりの黒い服だった。

「よし、それじゃあ、衣装のコンセプトは笑顔で行こうと思うんだ。悪魔の笑顔って感じで。」

にこにこ笑いながらカメラマンが要求する。

「この間のツアーでカナン笑顔見せてたんだろ?それをファインダー越しに見せてやってくれ」

その言葉に香南は戸惑う。

雅もツアーで見ていたからか安心して撮影を見ているだけだった。

他のメンバーはいそいそとポーズを取るが香南は全然取れる気がしなかった。




何言ってんだ?

笑顔ってなんだ?














放課後、帰りのHRも終わりさて今から双子を迎えに行こうと言う時、携帯に電話の着信があった。

どうやら雅らしい。

「はい、もしもし、七海です」

「あ、もしもし七海ちゃん?雅です。突然だけど今からあいてるかな?」

「今から、ですか?二人を迎えに行ってそれからなら空いていますけど」

するとよかったーと安堵した声が聞こえてくる。

「今雑誌の撮影をしてるんだけど、もし良かったら見学に来ない?と言うか、来て欲しいんだけど…」

「えっ?」

「おねがい!今日の夜ご飯皆で食べに行こうって思ってるし!」

ツアーから連絡は取っていたが、実際会うことはなかった。

双子たちも会いたがっていたしこのチャンスは逃せないと七海は頷く。

「わかりました。双子迎えに行って制服着替えてくるので1時間後でも大丈夫ですか?」

「ありがとう!うん大丈夫だよ!じゃあ1時間後七海ちゃんちに行きます。」

そして電話が切れる。

そういえば、と七海は香南との会話を思い出し、双子を迎えに行く前にスーパーへ向かった。










香南に笑顔が全くできない。

あれは無意識のたまものだったというのが発覚して早2時間。

何度頬の筋肉をやわらげようが無理なものは無理と言うように香南が睨み始めたため休憩となった。

「もー、なんで笑顔できないのさー!やってたじゃんこんな感じに!」

夏流が香南の口端を握り上にあげる。

「いてえ」

香案が睨んでくるためすぐさまやめる。

それにため息をつくのは燎と周だった。

「まったく、怖いものだねえ。」

「あの笑顔が無意識とか、とんでもない悪魔だな。」

それぞれが話していると入口の方からにぎやかな声が聞こえてきた。

「「こんにちはー!」」

幼児の声が聞こえスタッフたちは何事だと入口を向く。

しかしメンバーにはわかった。この声はあいつらしかいない。

「みうみうにるいるいじゃーん!いらっしゃーい!」

夏流が元気に二人に抱きつくすると二人は嬉しそうにキャッキャ喜ぶ。

香南も驚いて振り向くとその後ろにはヘコヘコと挨拶をしている七海がいた。

「こんにちは。その、見学しにきました。」

そして香南は七海に近づく。

「七海」

「あ、香南さん。こんにちは」

どうしてと問う前に七海が鞄の中からタッパーを取りだした。

「以前言っていたたこさんウィンナーとうさちゃん林檎です!」

笑顔で差し出す七海に香南が驚く。

「これが?作ってきてくれたのか?」

「はい。見たいと言ってくださっていたのでこの機会にと作ってきました」

どうぞと七海が香南につまようじを差し出す。

香南はまずたこさんウィンナーに指しマジマジを眺める。

次にパクっと口に入れる。

「…うん。うまい」

笑顔で七海に答える。


「「「それだよ!!!!」」」


メンバー一同に突っ込まれる。










「はーいじゃあいくよー」

ぱしゃぱしゃ、カメラのシャッター音が鳴る。

双子たちはメンバーと遊び疲れたのかいつの間にか後ろの方で眠っていた。

カメラマンの隣で七海が見学をしている。

それだけで笑顔がこぼれおちてくる。



七海に見せる表情…

これが、笑顔



香南は自分に今までなかったものに戸惑いながらも懸命に覚えようとする。

それはとても温かい感情と共に香南の心にスッと溶け込んできた。

いつの間にか撮影は終わる。

すると拍手が起こる。

「お疲れ!カナン笑顔よかったよ!」

カメラマンからも褒められる。

カナンは照れたように礼を言う。

するとカメラマンの後ろからひょこっと七海が顔を出す。

「あの、お願いがあるんですけど、」

「なんだ?」

香南が不思議そうに首をかしげる。

するとばっと顔をあげ携帯を出す。

「皆さんの写メ、撮らせてくださいっ!」

そう、七海隊長は琴乃ご主人様との約束を忘れてはいなかったのだ。






「はーいななちゃん準備オッケーだよーん」

「はっはいっ」

慣れない手つきで携帯を触る。

標準が定まったところで撮影に移る。

「そっそれではいきますっ!はいポーズ!」





その時の笑顔が一番輝いていた。





スタッフ全員誰もがそう感じていた。






と言うわけで笑顔です。

笑顔ってなかなか難しいですよね。

小ネタ活動報告に書きました。

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