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clarity love  作者: 朱希
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出会い

頭が、痛い。




心が、痛い。




苦シイ




ダレカ、タスケテ






clarity love 出会い




「だっ大丈夫ですか!?」

七海が急いでその男に近付く。

顔をのぞくととてもきれいな顔の青年だった。

「な、ななちゃ?」

「このひと、だあれ?」

弟たちも心配そうに見ている。

このままにしておくわけにもいかずとにかくゆすったり、顔をたたいたりする。


「うっ…」

しばらくすると、青年がうっすらと目を開けた。

「大丈夫ですか?」

七海が問うが、青年はまだ意識がはっきりしていないらしくぼんやりとしている。

まるで迷子のようにどこか彷徨っているようだった。


「体調がすぐれないようでしたら、家で休んでください。」

「……」


返事がないが立とうとしているのを見るとそれに従うようだ。

美羽と瑠唯に荷物を持ってもらい七海がなんとか家に入るのを手伝う。

ソファになんとか寝てもらい、布団を押入れから持ってくる。

改めて顔や手に触れるととても冷たい。



これでは、まるで-



とっさに七海は青年の手と自分の手をこすり合わせる。

これではまるで、彼が両親と同じだと感じてしまうから。



「ななちゃ、なでなで??」

「なでなで、する??」

双子たちも見ていたようで一緒になで始める。

「そうだよ。早くこのお兄ちゃんが元気になるように、おまじないをかけるの」

「わかった!美羽もおまじないかける!!!」

「る、瑠唯もか、かける」



二人は「なおれー!なおれー!」と小さな声で呟く。

それを聞きながら七海も心の中で早く起きるのを願った。





あたたかい。

まるで天使が俺をなでてくれているようだ。

先の方には光が見える。


これはなに?



重い瞳をゆっくりと開くと目の前には小さな少年と高校生ぐらいに思われる女が手を握っていた。



女…?



オンナ-




「さわるな!!!」

唐突に青年が叫び手を振り払う。

子供たちがびっくりしたのか泣きだす。

しかし青年にとってそれは問題ではなかった。

いつもの症状が出ることを予想し、周りを見渡す。

知らない場所。しかし、手洗い場を探さないと。

必死に探しているところで気がつく。




症状が…でない…?




「あの…」

あっけにとられていると、女の子が話し出した。

「大丈夫ですか?突然こんな見知らぬ場所に連れてこられてびっくりされてますよね」

そういいながら子供たちをなだめる。

女が近くにいて何も起こらないのは初めてだった。

しかも、いつもとは違う。



とてもあたたかい



彼女の近くが心地よくて青年はついつい彼女を見つめる。

すると彼女は照れるようにこちらを向く。

「えっと、あ、お茶、お茶入れてきますね!」

あわててキッチンの方へ向かう。離れて行くことがとても寂しく感じられた。

こんな気持ち初めてで、青年は自分の中で葛藤していた。

すると近くから視線が感じられる。

見てみると子供たちが今にも泣きだしそうにしかし興味深々にこちらを向いている。



「さっきは悪かったな。突然でびっくりしたんだ」

二人の方を向き謝ると、泣きだしそうな顔が笑顔になった。

「おにーちゃん、よくなったの??」

「なでなで、いらない?」

人懐っこいのか、二人は青年に近付いてきた。

普段女でなくても近付くやつらに悪寒を感じていたのにそれが全くない。

「ああ、よくなった。ありがとな」

感謝を述べると二人は大喜びしはじめる。

「やったー!おまじないきいたね!」

「なでなで、きいたね」

おまじない、よくわからないがとても喜んでいるので青年まで気持ちが嬉しくなる。



「二人ともどうしたの??あんまりはしゃいだらお兄さんゆっくりできないでしょ?」

彼女の声に二人は「はあーい」と寂しそうな声を出す。

「おにーちゃんね、よくなったって。おまじない、きいたよ!」

子供の元気な方が彼女にしゃべりだす。

「そうなんですか?よかった。」

彼女はほっとしたように笑顔を向ける。

「少し熱すぎるかもしれないですけど。」とお茶を出すのも忘れない。

お茶を飲むとちょうどいいぐらいの温度で心まで温まるようだった。



「ちょうどいい。その、悪かったな」

先ほどのことも含め謝る。初対面でなにも驚かないのもおかしいが、あまりに乱暴だった。

「いいえ。私たちも勝手に家で休ませたりしたので。」

今思えば救急車を呼べばよかったんですよね。と反省しているようだった。

「いや、救急車はあまり呼んで欲しくなかったし、その、感謝してる。」

子供たちにも「ありがとな」と再び伝える。

今まであまり感謝を述べるということをしたことなかった青年の精一杯の気持ちだった。

それをくみ取ってくれたのか、彼女も子供達も嬉しそうに笑顔を返してくれた。




「おにーちゃん、かみのけあかいろあるよ?」

慣れてきたのか、子供たちは次々に話しかけてくる。

彼女は少し困ったように注意するが、青年は大丈夫と答える。

元気な方が触ってもいい?と言うから青年はつい良いよと言ってしまった。

喜んで右の方にある赤いメッシュに触ってくる。

そして次に前髪に触れてきた。

すると青年の目が現れる。

一瞬目を合わせると青年の方をじっと見てきた。



「おにーちゃん、め、あおいろ?」



その声に青年は肩を揺らす。

子供たちは興味深々に目を見てくる。

彼女も少しだけ顔の方に意識を向けてきた。

青年は必死に目を隠す。

忘れていたのだ、今日だけはなぜか触れられてもよくて。

いつも着けているサングラスをどこで失くしたのだろうか。

彼女たちに見られたくなかった。



「こ、これはっ…」





だめだ、みないで、これは、、、、この目は、、、、





「綺麗…」





その声に目を隠すのをやめると

彼女が驚いたような、何かに引き寄せられた顔だった。

「うんきれい!おそらのいろ!」

「うみのいろ。きれい」

子供たちも嬉しそうに、言ってくる。

青年はとても驚いたように目を見開く。

「すっすいません!!!私ったら勝手にべらべらと述べてしまって。じろじろ見られたくないですよね」

彼女が必死に謝ってくる。



「…のか?」

「え?」




彼女が青年の方を向くと、

青年は泣きそうな、まるで迷子のような顔でこちらを向いていた。





「こわく、ないのか?きもちわるく、ない…か?」





まるですがるように彼女に問う。

すると彼女はあたたかい天使のような笑顔で答える。





「こわくないですよ?きもちわるくなんてないです。とても、とてもきれいです」






ああ、君は知らないだろう。




俺がこの言葉でどれだけ救われたかを。




追記:誤字脱字直させていただきました。

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