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clarity love  作者: 朱希
18/50

preparation 02 ※BL有

続回想。BLがあります。

ご了承ください。

あのとき一緒じゃなかったら






僕たちはどこで出会えていたのだろう?







clarity love -preparation 02-







あれから緊急警戒を行い香南を見るようになった。

もしかして誰かに言ったのではないだろうか。あのシーンの事。

びくびくしながら毎日を過ごしていたが、特に何もなかった。

もちろん周りはいつものように話しかけることもなく自分のテリトリーの中で過ごしているようだったが、僕に関しヒソヒソ話をするようなことはなかった。

周に報告するとそこまで心配することはないんじゃないかと言われるが僕はそんなことないという。

香南の事を本当に信用していなかったのかもしれない。

ただ、怖かった。もう一度いじめられることが。

そしてそれに周を巻き込んでしまうのが。









どういう因縁なのか、しばらくたったある日香南と掃除当番が一緒になってしまった。

しかも一番汚いとされる理科実験室。

どうしてこういうところを学生に掃除させるのか甚だ疑問だったがしなければもう一度掃除当番をしなければならない。

一緒にいたくはなかったが、一回で終わるならと掃除場所に来た。

理科実験室に来ると香南はすでに一人で掃除をし始めていた。




「あっごめん。」

「…いや」





目が合い謝るが一言言われるとまた掃除に戻っていた。

なんだ、あまりにも愛想が悪すぎるだろ。

僕だって流石にもう少し会話するぞ。

そう心の中で思いながらちりとりほうきを出し掃除をし始める。

終始無言のまま、ほうきの掃く音だけが響く。

早く終われ、早く終われと必死に掃除をする。

一段落したところで気づいたように周りを見渡す。

もう一つあるはずのほうきの掃く音がなくなっていた。





「帰っちゃったのかな…?」






ぼんやり呟いていると後ろの方からがさごそと音が聞こえてきた。

なにごとかと後ろの方に行くと香南が後ろの方で屈みながら何かを探していた。





「どうしたの?」

「…っ」

「探し物?何なくしたの?」





僕も一緒に探すよ。そう思い香南に近付く。

流石に僕も鬼ではない。人に優しくしたいという気持ちは持っている。

しかしその逆に僕の提案に驚いていた香南はだんだんと青白くなる。





「いっいいっ、くんな!!!」

「は?」





そういって片眼を手でふさぎながらもう片方の手をぶんぶんふり回す。

心なしか息も上がっているようだった。

片目をふさぐ?





「もしかしてコンタクト?ここ、埃っぽいもんね。近づかないから、僕も一緒に探すよ。その方が効率的だろ?」






そう言いながら逆方向から探す。

香南は驚いていた様子だったが、もそもそと探すのを再開したらしい。

探していくときらりと光るものを見つけた。

やがて疑問が確信に近付いた時、一つのコンタクトを見つけた。

それは茶色のカラーコンタクトだった。





「みっみつけたよっ!!!」





急いで香南のところへ急ぐ。

香南のとこへもう少しと言うところでなにをどうしてそうなったのだろう。

足がもつれ、香南のところへ転んだ。

どしんと言う音と共に香南と僕が転がる。

急いで顔をあげる。

するとそこには片目が青色の香南がいた。





「ごめ…」

「みるな!!!!!」





するととてつもなく顔色を悪くし

設置されている洗面所に向かって嘔吐し始めた。

あまりに突然のことで驚く僕。

しばらくしているとおさまってきたのか、息をぜーぜー言わせながら香南がこちらを睨む。





「言ったら、、、、殺す」






それはいつもの何も写していない香南ではなかった。

ただ一つ。凶器のような眼をこちらに指すだけ。



こいつ、本当に殺す気だ。




しかし、僕にも言いたいことはあった。

守りたいもののために、戦う。






「だったら僕も、前見たあのシーン、あれの事を人に話していたらただではおかない。」






必死に睨む。負けていられないのだ。何よりも大切なもののために。

香南は一度驚いた様子だったが、口をすすぎ、顔を洗うとこちらを再び向く。






「抱きついてたことか?」

「っあれを誰かに言ったのか!?」

「まさか。」





一応一安心をする。

よかった、僕の大切なものを守ることができた。

しかし口を拭きながら香南が続ける話に驚く。





「抱きついていることの何が悪いんだ?」

「は?」




こいつは何を言っているんだ?





「男同士で抱き合ってるんだぞ?気持ち悪くないのか?」

「別に良いんじゃねえの」




一生懸命説得するが、香南はまるで聞いてなかった。

コンタクトを水ですすぎもう一度はめ直す。

そして真剣な顔でこちらを向く。





「男同士でも何でも、愛を知ってるお前が羨ましい。」





その時思った。

ああ、こいつはとても悲しい人間だと。

そして、愛を知っている僕は本当に幸せなのだと。







それから僕たちは少しずつ話すようになった。

お互いの弱点を知りえてしまったからだと思う。

徐々に香南との距離は短くなり普通に話しても何ら問題なくなった。

そしていつしか周や燎とも仲良くなっていく。

小さな線が紡がれていった。

バンドやっていることを言うと最初は無関心に聞いている様子だったが、しばらく経つとギターの音を間違えた時などコードで指摘するようになった。

こいつは、無関心のようで、無関心じゃないということが分かった。




「そんなに気になるならボーカルやってみなよ」




燎のこの一言に香南は弱弱しく頷く。

歌わせてみるとそれは凄かった。

とてもうまい。プロでもこんなにうまく歌う人はいないのではないか。

しかしまるで天使の泣き声のように悲しく歌う。

それはとても、悲痛な叫びを帯びていた。

気がつくといつの間にか泣いていた。





「おい、夏流何泣いてんだ?」

「だって、」





悲しいよ。人生は幸せであっていいんだ。

きみが僕に愛の本当の意味を教えてくれたみたいに。

僕も、君に本当の愛を教えたい。







「香南、このバンドで愛を知ろう?絶対、知るときがくるから」

「…夏流」






それに燎と周も頷く。

香南は僕等を驚きながら見渡す。







そして少し照れながら頷いた。













こうしてanfangは結成された。

新しい始まりを求めて。






以上、回想でした。

こうしてanfangはできました。

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