preparation ※BL有
回想です。
そして、がっつりBLです。
すこしだけ、昔の話。
僕たちの出会った、すこし悲しいできごと。
clarity love -preparation-
僕の通っていた高校は至って普通の一般高。
なぜそこを選んだかって?周が通っていたからだ。
僕と周の年の差は2つ。今年しか一緒にいれるチャンスがない。
中学の時は別々の中学だったから全然楽しくなかったけど、周がいるからきっと楽しい高校生活になる。
そう、確信していた。
入学式の日、僕たちは一緒に来た。
緊張した面持ちの僕を周がくすくす笑う。
普段だったらぶうぶう言う僕だが、言えないほど緊張していた。
中学の時、僕はいじめられていた。
この中性的な顔は人を引き付ける力もあるが、人を妬ませるものにもなったらしい。
女の子にも、男の子にも気持ち悪いとさんざん言われた。
怖くて学校にも行かずふらふらしていた。
その時声をかけてくれたのが周だった。
『暇なんだったら、俺と一緒に遊ばない?』
その時なぜ彼がいたのかわからない。
今考えてみると高校受験で学校に行かなくてもよかった期間なのかもしれない。
その誘いに簡単に乗った僕は、簡単に周に興味を持った。周に恋をしてしまった。
それからは夢中で周のそばにいた。
周はベースをしており、彼の役に立つためにとお金をため、ギターを購入した。
一緒に演奏するのが何より楽しかった。
『僕、周が好きだよ。世界の誰よりも、何よりも』
ある年のバレンタイン、チョコレートを持って告白した。
まさに一世一代あるかないかの気合の入れ方だった。
チョコレートを差し出した手は小刻みに震えていた。
周はくすくすと笑うとチョコレートを受け取る。
『やっと、俺の気持ちが通じたのかな?』
嬉しくて涙が出るってこんな時なんだと初めて知った。
あまりに男らしい泣き方をする僕を周は必死になだめてくれた。
それから一緒の高校に行きたくて一緒に勉強した。
学校も頑張って登校した。
無事合格し、中学も卒業し、晴れて一緒の高校に来ることができたのだ。
「おっす、遅かったな」
高校に到着すると、周の親友兼バンド仲間の燎が校門前で待っていた。
軽く挨拶すると、3人で教室に向かう。
「にしてもよかったなーなつ。無事受かって。一時はどうなるのかと思ってたけど」
「うるさいなっ!受かったんだ、良いだろ!」
「そうだねえ。偉い偉い」
ぽんぽんと頭と叩かれる。
恥ずかしさに顔を真っ赤にする。
そうこうしているうちに僕の教室に到着した。
そこで息をのむ。
手や足が震える。
コワイ
すると周が肩をたたいた。
「もしだめなら、俺らの教室にきな。待ってるから。」
それから背中を押してくれた。
つまずきながら教室へ入るとクラスメイトがたくさん集まっていた。
一瞬辺りは静かになり、それぞれ夏流を見て顔を変化させる。
それは良いものなのか悪いものなのか、様々に違っていたが話しかけられることはなかった。
そして再び教室はうるさいものへと変わっていった。
少しため息を吐くと自分の席に移動する。
ふと自分の近くの席を見る。
先ほどの出来事など何も見ていないというように外をずっと見ている少年がいた。
それが、僕と香南の出会いだった。
その頃から香南は何も写していなかった。
授業には出るが、ずっと空を見上げていた。
しばらくすると学校にさえ来ない時がある。
香南の席は少しだけ異様な空気を放っていた。
「まあ、そんな感じのクラスメイトがいるんだよ」
「ふうん。それはまた、変わった子だねえ。」
屋上で周と一緒にご飯を食べる。
燎は臨時でバイトに入ることになったのか、早々と早退していた。
食べながら今日の教室の出来事を話す。
それがいつもの日課となっていた。
基本的に中学生の延長みたいなものだったが、何か言うのではなく話しかけられない状態だった。
それでも何か言われるよりはいいと受け止めながら教室で過ごしていた。
そしてその変った少年をいつも観察するようになってしまった。
香南について話しながら食べているとあっという間に終わった。
ゆっくりしていると周が後ろから僕を囲って座る。
僕も居心地の良さに周によりそう。
つい、気分がはしゃいでしまったのか自分の唇を周の顔に近付ける。
周も気づいたのか笑顔で、応える。
もう少しで唇と唇が重なろうとしていたとき、屋上のドアが突然開く。
びっくりして固まると、目の前には香南がいた。
「あ、あああああああの。。。」
「…わりい、邪魔した。」
そしてドアがバタンと閉まる音がする。
その音で気を取り戻し急いで周から離れる。
周からため息が聞こえてくるが気にしない。
「彼?」
「ん?」
「例の変わった子。」
「う、うん…」
初めての会話、まさかあんなものを見られた弁解だなんて思いもしなかった。
(しかもちゃんと話していない)
戸惑う僕を周はずっとなでてくれていた。
夏流視点です。
視点で書くと、めちゃくちゃ書きやすいですね!
けど欠点がありますね!書きたいことがあるのにキャラが勝手に語りだす(笑
こんな夏流と周のこと書くつもりなかったのに;;;
恐ろしいです^^;