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clarity love  作者: 朱希
12/50

サイン

君のために紡ぐこの歌は







なんて綺麗なんだろう







なんて嬉しいんだろう










clarity love サイン






ドアをノックすると中からはーいという声が聞こえてきた。

双子たちが元気よく自分の名前を述べると中から香南が出てきた。

その格好はもうライブ衣装ではなく、Tシャツにジーパンとラフな格好で、サングラスも取っていた。

「「おにーちゃーん!!!」」

「お前ら。よく来てくれたな」

香南が見えた途端、勢いよく香南に飛びつく。

香南もびっくりしたようだが二人の身長に合わせ座り、まんざらでもなさそうに二人の頭をなでる。

「七海も、ありがとな。」

「いいえ。素敵なライブでした。ありがとうございました」

二人をなで終わると、今度は立ち上がって七海の方を向く。

七海も笑顔で答えると香南は照れながら笑った。

すると香南の後ろから香南に飛びつく人物が現れた。

「んもーいい加減、紹介してくれないの?」

夏流が寂しそうに言う。

「…ギターの夏流だ。」

香南が少し不満そうに紹介をする。すると夏流が元気に七海の方を向く。

「はじめまして。じゃないや。昨日も会ってるね。城之崎夏流って言いまーす!ギターをやってます☆よろしくね」

夏流が笑顔で自己紹介をするとあまりの綺麗さに七海が顔を真っ赤にする。

「はっはじめましてっ日向七海と言います!この二人は美羽と瑠唯です。よろしくお願いします。」

「ひむかいみうです」

「…ひむかい…るいです」

七海は二人がそう紹介すると二人にも頭を下げさせる。すると夏流が興奮したように体をプルプル震わせる。

「かっかわいいいいい!!!もーなんなの!?今どき絶滅危惧種だよ!?可愛いわあ~双子ちゃんもよろしくね!なつでもなんでも呼んでくれていいから!」

夏流が二人の頭をガシガシなでると双子が少し考えるしぐさをする。


「「なつ…おねーちゃん?」」


一同固まる。

すると後ろの方から爆笑が聞こえてくる。

「こっこら二人とも!」

七海が恥ずかしそうに二人の口をふさごうとする。

「後ろうるさいっ!あのね、僕、一応おにーちゃんのほうが…」

「おにーちゃんなの?」

「おねーちゃんじゃないの…?」

双子があたまの上ではてなマークを並べていると後ろから周が現れる。

「あっはっは、君たちおもしろいねえ。この人はおねーちゃんじゃなくて、おにーちゃんなんだよ。」

「「ふえっおばけええええっ」」

周を見た二人があまりの怖さに香南の後ろに隠れた。

「うーん、どうやら俺は嫌われちゃったみたいだねえ。」

「お前のその前髪が悪いんだろ。耳にかけろよ。」

ため息をつきながら言う周に香南が二人をなだめながら言う。

「すみません。こら、さっき演奏していたお兄ちゃんでしょ?挨拶しないと」

そして七海も座ってなだめる。しぶしぶ二人は出てくる。

「みうです」

「るっ…るい…」

「日向七海です。今日はありがとうございました。」

ぺこりとお礼をすると周が笑って後ろの方に戻る。

そして何かを取って戻ってきた。

「ベースをやってる久野周です。よろしくね七海ちゃん♪そして双子ちゃんも♪」

そして双子の手にキャンディーをたくさん乗せる。

「わあ!きゃんでー!」

「いいの???」

「うんいいよお。」

そしてニコニコしながら二人の頭をなでてやると二人はとても嬉しそうに笑う。

「「ありがとー!あまねおにーちゃん!」」

「すっすみません!ありがとうございます」

二人のお礼に続き七海もお礼を言う。

「いやいや。二人の気をひくためならお安いもんだよ♪」

「それ、僕のだけどね」

横から夏流がつっこみを入れる。

すると最後に後ろから燎がやってくる。

「最後は俺だな。滝川燎だ。ドラムやってる。七海、だったな。よろしくな」

はにかんだ笑顔で言われる。そして美羽と瑠唯だな。よろしくと双子の頭をなでる。

その笑顔に七海は思わず顔を赤くしてしまう。

「はいっ七海です。今日はありがとうございました」

「いや、こちらも楽しかったから。花束、綺麗だったよ。皆で見せてもらってた。」

思い出し笑いをしながら燎が話す。すると夏流も話に乗ってくる。

「そうだよ!もーななちゃんホント可愛いことしてくれちゃう!みうみうとるいるいも可愛い絵だったよ。」

「仮面…Xマン…だったっけ?」

「香南本番前ずっとそれ見てたからな。」

香南はその言葉に照れくさそうに下を向く。

「かめんXマンにかてた?」

「つよい?」

香南に尋ねると皆考え始めた。

「うーんそうだなあ。今日のライブは勝ったんじゃない?」

「うん今日の香南はいつもと違ったからな。」

「ということで、今日は仮面Xマンに勝ったみたいよ♪」

それぞれが評価すると香南も今日のライブを思い出す。

「…3人が来てくれたから勝てたよ。」

香南がそう報告すると、双子は喜ぶ。

「「やったー!」」

「よかったね、二人とも」

「「うん!」」

七海が笑顔で二人に言うと、二人も嬉しそうに応える。

その3人を見てメンバーの皆は癒された。




メンバーは正直、香南の違いに驚いていた。

七海や双子と話しているとほぼ笑顔でいるということにである。

いつもの香南は日常に絶望していて、笑顔なんてもちろん無表情に近い状態でいつもいる。

珍しく表情を変えるとしてもメンバーといるときぐらいだった。

ところがこの3人といるときは終始表情が変わるのだった。

不思議そうにする香南、驚くような香南。照れる香南。

様々な香南がそこにいた。



いい傾向だ。



メンバーの誰もがそう思い、それを嬉しく感じていた。






七海たちに部屋の中へ入るよう促す。

すると夏流が「次僕の番だから」とシャワーに入りだす。どうやら皆順番でシャワーに行っていたらしい。

中へ入り座っていると

「「くしゅん」」

双子がくしゃみをし始めた。

「ななちゃーはなー」

「ああっ、えーとティッシュ。はい、ちーん」

そして鼻水を拭いてあげる。

「もしかして、ライブで汗かきすぎちゃったのかもな」

燎が双子の服を確かめると、服がびしょびしょであった。

「ああ、そうかもしれません。二人ともちょっと待ってね」

七海がそういってタオルを取りだし、なるべく風邪引かないようにと顔や全身を拭いてあげる。しかしびしょびしょの服はどうにもならない。

すると香南が立ちあがる。

「ちょっと待ってろ。」

そして雅と二人で話し楽屋から出ていく。戻ってくるとグッズ販売していた服を持ってきていた。

「これ。もし良かったら使って。」

「いいん、ですか?」

七海が香南に聞くと、香南が笑顔で答える。

「うん。使って。」

「ありがとうございます」

七海が笑顔でそう答えるとまず美羽に向かって着替えを促す。

「はい、美羽ばんざい」

「ばんざーい」

それをみて香南も瑠唯に向かう。

「瑠唯、ばんざい」

すると瑠唯は嬉しそうにばんざいをする。

「るいずるーい!」

「えへへ」

二人の着替えを完成させると香南は七海にも服を持たせる。

「七海も、その服着替えたほうがいいと思って」

「すっすみません。えっと、」

「隣の部屋あいてるから。そこ使って」

「はっはい!」

七海が部屋から出ると夏流がシャワールームから出てくる。

「おわりーってあれ?2人ともお着替え?」

「そう。汗たくさん出てたから。」

「ふーん」

「じゃあ、次俺だな。二人ともこいつらいいやつだから遊んで待ってろ」

そう双子に告げ香南が次シャワールームへ向かう。




「うーん、何か、お礼しなくちゃねえ。」

周がニヤニヤしながら言う。

香南に変化をもたらしてくれたお礼。

そして自分たちも久しぶりに感じた癒やしの空間。

それを作ってくれたのはこの3人だった。

「そうだね。うーんなにがいいかなあ?」

「これなんてどうだ?」

燎が黒マジックを持ってくる。

「美羽、瑠唯、後ろ向け。サイン書いてやる。」

「「さいん??」」

二人は首をかしげる。

「メッセージ!書いてあげるから後ろ向いて☆」

すると二人は嬉しそうに書いて書いてー!と促す。

3人は調子に乗ってサインやらメッセージやらをたくさん書いた。




「ありがとうございました」

七海が戻ってくるとななちゃー!と双子が抱きついてくる。

「あのね、めっせーじもらったの!」

「もらったの!」

そして後ろを向く。

すると後ろには3人のサインやらメッセージやらが書いてあった。

「えっ、いいん、ですか??」

「もっちろんだよー。ななちゃんたちにはそれだけお世話になってるから。」

「それに、これからも香南を助けて欲しいから。」

夏流が笑いながら述べた後、燎が少し苦笑いしたように言う。

「どういう、ことですか?」

「うーん、つまりこれからも香南を助けて欲しいんだよねえ。」

「お前ら3人といるときの香南はいつもと違うんだ。それは悪い意味ではなくとてもいい意味で。香南をお前らが人間らしくさせてくれてる。」

燎が真剣に説明するが七海には一向に判らなかった。

「え?」

「前も言ったよね?苦しくならないのは七海ちゃんたちの前だけ。だからね、リハビリと言うか、僕たちとは違う人間と話をするってことをもっと香南に知ってもらいたいから、手伝ってくれないかな?」

「えっと、」

雅が優しく諭すようにいうが七海は俯いてしまう。

いつ聞いてもわからなかった。

なぜなら七海本人が香南が人が苦手だというところを見たことがなかったからだ。

七海が悩んでると夏流がもやもやを吹き飛ばしながら七海の手を引っ張る。

「まあまあ、これは今までの僕たちの勝手なお礼だと思って受け取って?」

そして七海を椅子に座らせる。七海はまさに混乱する。

「皆のもの、行くぜ!」

「「おー!」」








香南がシャワールームから出てくると七海の背中を向きながらメンバーが何かをしていた。

おにーちゃーんと双子が向かってくるので二人に尋ねる。

「あいつら、なにしてるんだ?」

「めっせーじかいてるの!」

「さいん、かいてるの!」

香南は驚く。香南自身もそうだが、他のメンバーもサインをあまり書きたがらない。

不思議に思い七海の方に向かうと本当にサインやメッセージを書いていた。

「あ、香南おっかえりー」

夏流が普通に応える。

「はうう、香南さん、帰りなさい」

七海が恥ずかしそうに香南の方を振り返る。

「ふう。できた。おや、香南君の帰り。君も書くかい?」

周から黒マジックを渡されるが七海の背中に書くという行為に対しどうしたらわからないと言ったように顔を真っ赤にした。

しかしメッセージを見つめる。




『君のことが、好きだよ』

『これからも幸せと愛をよろしく』

『大好きだよッ!んーちゅっ!』




なんだこのメッセージは!!!




最初は照れていたがだんだんと腹が立ってくる。

そしてついつい、黒マジックを握る。

そして七海の服へ書きこみ始めた。





『もっと、近くにいたい』





最後にサインを優しく書いた。






ながっ!!!とてつもなくながっ!!!!

ようやく書けました。ふう。



ところで、番外編を一度書こうかなと思っているのですが、どこに項目作ったらわかりやすいですかね?

新しく長編のくくりで一話ずつあげたらいいんですかね・・・?

うーん難しい!

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