エール
君がいると思うだけで
歌がこんなに違う
縛られた十字架を
解き放つように
clarity love エール
会場に着くと、関係者関の中でも一番見えやすい場所に案内された。
しかし、双子の耳が音に耐えられない場合も考え、後ろの方で室内に入れる場所も教えてくれた。
関係者席につくとそれはもうスーツを着た偉い役職についてるであろう人、同じようにバンドをしているような人など様々な人が来ていた。
あまり気にしてはいけないと双子に静かに話しかける。
「もし、体調悪くなったり、耳がキーンってしたら絶対言うのよ?音がうるさいからね」
「「はーい」」
よし、と頷くと後ろの方から甲高い声が聞こえてきた。
「んもー。パパったら一番いい席取ってくれたんじゃないの?」
「すまないね。私にもあまり権限がなくてね。次のツアーでは絶対取っておくよ。」
「楽しみにしてるねっ!あーっ香南さん、早く会いたいわ」
よく見るととてもきっちりとしたスーツのおじさんに連れられ、七海と同じぐらいのとても可愛い女の子がやってきていた。
そのスーツの人が来るとまわりのスーツを着た人、またバンドをしているような人は礼をしている。
不思議に首を傾けていると、可愛い女の子と目があった。
すると突然睨まれる。
あまりの怖さに七海は双子の方を見る。
「ななちゃ、どうしたの?」
「どうしたの…?」
双子が心配そうに見る。
「なんでもないよ」
心配をかけちゃいけないと、笑顔で答える。
そしてあまり後ろを見ないように双子と香南のことを話した。
SEが入り花火が打ちあがるとライブが始まった。
香南が登場すると双子たちは一層喜ぶ。
音の問題は大丈夫のようで少し安心して曲を聴く。
「本日はツアーの最終公演に来てくれてどうもありがとう。」
アマネが腰を折りまるで執事のように挨拶をする。
黄色い声援がそこら中からわき起こる。
「うん今日も君たちは可愛いねえ。どうしようか。せっかくだし、キスしとく?」
声援と言うよりも悲鳴のようなものがまわりから聞こえるとナツルがないないと首を振りながら否定する。
「もーそんなこと言ってると、アマネ正義の味方から制裁くだされるぞー!」
「ははっそうだね。正義の味方は強そうだしね。皆ごめんよ。」
まるでちっとも反省していないような顔でアマネは謝る。
「もー!最近僕らね、歌で正義の味方と戦ってるみたいなの☆その正義の味方とは!皆誰だと思うー??」
突然正義の味方が出てきたので皆わけがわからないとざわざわする。
「おいおい、大人の都合はいいのかよ」
リョウがツッコミを入れる。
「いいもーん!答は言わないから。カナンに変身ポーズやってもらってそれで皆に知ってもらうだけだもーん☆」
七海はびくっとしながらステージを見る。
まさか、見てくれたのだろうか。あの画用紙を。
双子は正義の味方ってだれー?と不思議そうに覗いている。
カナンは相変わらずナツルを睨んでいた。
客席からはカナンコールが鳴り響いている。
カナンはため息をついた後マイクを持った。
「俺はできねえ。しらねえ。」
すると昨日に引き続きカナンがしゃべったことに興奮するファンとえー!と残念がるファンに分かれた。
「えー!ホントに知らないの?」
「しらねえ。一話しか見てない。」
「それは、残念だねえ。」
「まあ、一話しか見てないんだったらわからねえかもなあ」
メンバーが一様に応える。
「じゃあ、作ろうよ。いっくよー!」
するとナツルはギターをじゃかじゃかならす。じゃーん!と止まるとくるっと一回りする。
「きらきら戦隊なつるちゃん、さんじょー!」
ウィンクするのも忘れない。
観客はきゃー!!!可愛い!!!と興奮する。
それに引き換えアマネは笑うだけで終わったものの、リョウは苦笑い、さらにカナンはどん引きだった。
「…曲、はじめてくれ」
カナンがもうこれ以上やめてくれと言うように曲に進むことを促す。
「えーっひどい!!良いと思わない???」
「うーん、30点ってところかなあ?」
「それ、お前一人でやれよ。」
アマネとリョウがそれぞれ突っ込む。
「ひどすぎー!もういいっ曲にすすむ!じゃあタイトルコール、カナン言っちゃって!」
突然のことだったのか、カナンがびっくりする。
ため息をつくと前をまっすぐ見据える。
「それじゃあ、次の曲。『black kiss』」
たまに香南がこちらを向くような仕草をする。
すると双子たちはたちまち嬉しそうにおにーちゃーん!と叫ぶ。
七海も笑顔でサイリウム(せっかくだからと雅さんにもらった)を振りまくる。
すると香南は笑顔になり歌を紡ぎだす。
すると曲は一層雰囲気を醸し出し、ライブの全体の雰囲気も和やかになった。
最後まで終わるとアンコールでまた4人が出てくる。
アンコールではテレビでやっていた新曲と七海の知らない曲が歌われたが、とても心地のいい曲だった。
アンコールが終わるころには関係者席は続々と帰っており、気づけば七海たちしかいなかった。
どうしたらいいのか分からず悩んでいると雅がやってきた。
「いやーごめん!よし、今から控室行こうか」
突然控室に行くことを許してくれびっくりする。
「私たちがお邪魔してもいいんでしょうか?」
「もちろんだよ。むしろメンバーみんな楽しみに待ってるから。よしじゃあ行こうか」
「?ななちゃ、どこいくの?」
「ひかえ、しつ?」
双子たちの質問に雅が答える。
「今からね、香南のところに行くんだよ。」
すると双子たちが目をキラキラさせた。
「おにーちゃんとこ行くの!?」
「おにーちゃんに、会えるの?」
それぞれ嬉しそうにやったね!と喜ぶ。
それをみて七海も嬉しそうに顔をほころばせる。
「雅さん、ありがとうございます。」
雅は笑顔で返事に応えた。
続きは夜書きたいと思います。
追記
と言うことで書きました。少し短いですが一応区切りがいいのでここで。
なぜ毎回MCを書くかと言うともちろんしゃべるからっていうこともあるんですけど、何より書くのがとても楽しい。
メンバー4人の会話が一番私の中で楽しく書けます。
たくさんお気に入りに追加していただきありがとうございます!
これからもちまちまと頑張っていきたいと思います。