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婚約者が無能だったので助かった

作者: 夜乃 凛
掲載日:2025/11/01

「マリアンヌ、貴様はどこまでも使えない女だな」


 上から目線で、金髪の男性が、銀髪の女性を罵っている。女性の名はマリアンヌ。

 男性の名前は、フィール。


「申し訳ありません。フィール様のためになればと思い」


「くだらぬ手助けをするな!!」


 紅茶のカップを叩き割るフィール。そこまでしなくてもいいだろうに。


 フィールは、超上流階級の男性。いわゆる一流。

 対してマリアンヌは三流だ。爵位もたかが知れている。


「私は優秀なのだ。お前の手助けなど無くても、立派にやってゆける。むしろ、お前は邪魔だ、マリアンヌ。お前との婚約は破棄する」


「え?」


 マリアンヌは目を見開いた。いい意味で。


「さっさとフィール侯爵家から出ていけ。これから、私は一流の茶話会があるのでな。出ていけ。お前に居場所など、もう無い」


「……わかりました」


 俯くマリアンヌ。しかし、その内心は。

 死ぬほど笑っていた。

 愚かすぎるフィール。


 マリアンヌは確かに、階級こそ高くない。

 しかし、莫大な魔力を有していたのである。

 その魔力で、フィール侯爵家は成り立っていたのである。

 マリアンヌは、こいつ馬鹿だな、早く別れたいな、と思っていた。


「フィール様、ご迷惑をおかけしました。私はこの場で去ります」


「二度と来るな!!」


「はい」


 内心、満面の笑み。


 結果、二度と来るな、というよりは、二度と行けないようになったのである。

 マリアンヌの加護が無くなり、フィール侯爵家は廃退。

 最後に、マリアンヌに縋るようにフィールが手紙を出してきたが、

 マリアンヌはそれを暖炉の薪に突っ込んで燃やした。


「暖炉は温まるなぁ」


 幸せな独身生活。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


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