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初めての依頼

「すみません、依頼を受けたいのですが」

「本日冒険者登録された方ですね、…あら?カウラさん、もしかしてパーティーを組まれたのですか?」

「は、はい…」

「よかったですね、1週間くらい不安で依頼を受けれてなかったですもんね」

「は、恥ずかしいので…言わないでくだ…さい…」

1週間も依頼を受けれていなかったんだ…その間お金はどうしたんだろう?


「ふふ、申し訳ありませんでした。では新人冒険者向けの依頼を斡旋させていただきます。今すぐに斡旋できる依頼は…鉱石の運搬依頼とポーションの材料の採取依頼の2つですね、報酬は運搬依頼が銅貨7枚、採取依頼が銅貨5枚となっておりますがどちらになさいますか?」

運搬依頼は力仕事だよね、報酬は採取依頼よりは多いけど僕はそんなに力はないんだよなぁ…

となると採取依頼だけど、報酬が二人で分けることを考えるとちょっと心許ないなぁ…って、そういえば今気付いたけど…


「あの、すみません」

「どうされましたか?」

「銅貨ってどのくらいの価値なんでしょうか?」

『えっ?』

僕、この世界のお金の価値を知らない…どう言い訳しようか…


「僕の故郷では物々交換が主流でお金のやり取りを殆どしていなかったんです。なのでお金の価値について教えてもらえると助かるのですが…」

「随分と辺鄙な…ゴホンッ!遠くからいらしたんですね。それでは簡単に説明させていただきますね。」

「お願いします」

「一般的に使われている通貨は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨の4種類です。一応他にもありますが、それらは主に貴族の方々が使用されるものですので今言った4種類の価値について知っていれば大丈夫かと」

日本円よりも普段使いされてるお金の種類は少ないんだね、覚えやすそうで助かる。


「鉄貨10枚で銅貨1枚の価値に、銅貨10枚で銀貨1枚の価値に、銀貨10枚で金貨1枚の価値になります。」

鉄貨が十円、銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円で考えれば覚えられそうだ。


「1日でどのくらい稼げば1日の宿と食事を賄えますか?」

「そうですね…宿と食事の質にもよりますが、大体銀貨2枚分を稼げれば最低限は賄えるかと」

二千円か…しかも2人パーティーを組んでるから四千円は稼がないと、依頼を何件こなせばいいんだろう?


「まぁ、新人冒険者の方の殆どはどちらかの質を極限まで落とされていますね。宿と食事の両方の質を安定させられればいっぱしの冒険者と言えるとされています」

「うーん…タンドップさんはどちらの依頼がいいですか?」

「わ、わたしは…採取依頼がいいです…」

銅貨5枚か…2人で分けたら銅貨2枚と鉄貨5枚、ちょっと心配だなぁ。


「1日に受けれる依頼の数に制限はありますか?」

「特に制限はありませんが…他の冒険者の依頼を取りすぎないようにという暗黙の了解のようなものはありますね、その日によってまちまちですが2、3件ほどであれば大丈夫かと」

初めての依頼だし…負担の少ないものをこなして依頼の流れがどんなものかを知っておきたいな。


「じゃあタンドップさん、採取依頼を受けましょう」

「あ、ありがとうございます…」

「採取依頼ですね、今回採取してきていただくのはキュア草5本とポイキュア草3本になります。採取してきていただく植物の絵が描かれた紙をお渡ししますので、その絵を参考に集めてください」

受付の人から紙を2枚渡される、キュア草はシロツメクサのような見た目でポイキュア草は綿毛のタンポポのような見た目らしい。


「また、採取依頼の報酬は5枚となっていますが、状態や品質によって増減する可能性がありますのでご留意ください」

できるだけきれいな状態で採取すればいいってことか、傷をつけないように気を付けないと。


「それと少量であれば個人的に採取をしても構いません。売ってその日の生活費に回す方も多いですよ」

良いことを聞いた、勝手に採取して怒られるのは嫌だからね。

コレクション用に少し採取しておこう。


「採取ポイントは街を出てすぐの草原になります、それではお気をつけて」

「はい!タンドップさん、いきましょう」

「は、はい…頑張り…ます…」

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