こんにちは異世界
「群藤くん、準備ができたよ」
神様の横に金色に輝く靄のようなものが渦巻いていた。
この渦が異世界への扉なのだろうか?
「は、はい」
「どうしたの?怖くなってきた?」
「いえ、恐怖というか不安が…特に意志疎通に関して」
「なるほどの~、んじゃちょっとサービスしちゃおうか」
神様は僕の頭に手をかざす
「群藤くんにはこれから行く異世界の言葉や文字がわかる力を施したよ。これで意志疎通は大丈夫」
「あ、ありがとうごさいます!!」
「この渦を通れば異世界だよ。安全な場所へと繋がってるからいきなりモンスターに襲われることはまずないから安心してね。それじゃあ行ってらっしゃい」
「行ってきます!!」
ーーーーー
「もうそろそろかな…っと、見えてきた」
渦の中へと入り歩くこと数分、緑色の景色が見えてくる。
「到着っと。おぉ~、自然がいっぱいだ」
異世界に着き、視界に飛び込んできたのは豊かな自然だった。
降り立った場所は小高い丘で、辺りを見渡すには丁度いい。
「周りには何があるのかな?」
軽く辺りを見渡してみる。
丘を下った先に川と湖、少し遠くには鬱蒼と木々が生い茂る森、遥か遠くには火山のようなものがある。
こんなにも色々な自然が集まっているのはさすが異世界って感じがして興奮してくるな。
「人がいそうな場所は…あれかな」
まずは人のいるところを目指そうと探してみると、街らしきものがそれほど遠くない場所にあった。
あてもなく彷徨うことにならなそうでよかったよ。
「最初の目的地が決まったところで早速いこう」
ーーーーー
「ん?なんだろうこれ?」
街らしき場所に向かう途中、気になるものが落ちていた。
「何かの羽?」
アメジストのような色と輝きを放つ1枚の羽、空を見上げてみるけど鳥は一切見当たらない。
「キレイだな~、何の羽なんだろう…普通の鳥とかじゃなさそうだけど…」
カッコいい系かな?意外とかわいい系?もしくは不気味系?
何にせよ、なくさないようにしまっておこう…として気づいたことが…
「スキルってどう使うの?」
スキルの使い方が分からないのである。
神様から使い方の説明は特になかったからなぁ…忘れていたんだろうか?
とりあえずスキルが発動してくれと念じてみる。
「むむむ…って、なんか出てきた…」
出てきたのは異世界に来るときに通った渦に似たもの、あれよりも小さくて銀色をしている。
「ここに入れればいいのかな?…試しに別のなにかを入れてみよう」
ちょうど足下に落ちていた石ころを放り込んでみる、するとスクリーンが現れた。
【石ころ×1】
「入れた物が表示されてる…で、取り出すには?」
渦に手を突っ込み取り出すイメージを思い浮かべる…と、何が手に当たったのでそれを掴み引っ張り出す。
手の中には放り込んだ石が収まっていた。
「思ったよりは簡単に使えるのか…」
収納スキルの使い方が分かったところで拾った羽を渦の中へと入れる。
【リベリュプスの羽×1】
「リベリュプス…いつか見てみたいな」
ーーーーー
リベリュプスがどんな生き物なのかの妄想をしつつ歩いていると、いつの間にか目的地に着いていた。
遠くからでは判断できなかったけど、やはり人の住む街のようだ。
街の入り口近くには看板が立っており『ようこそ!ブレオルトーンへ』と書かれている。
「とにかく入ってみよう」
街へと歩き…だそうとしたんだけど…
「止まれ」
「!?」
大柄の男性に呼び止められた。




