死んだ理由と1つの提案
「ど、どういうことですか?」
訳がわからない…僕はさっきまで普通に寝てたはずなのに真っ白い空間で白髪のお爺さんと2人きりなんて、夢でもみているのだろうか?
「言葉通りだよ。君は死んでしまったんだ」
「死んだって…僕はそこまで不健康ではなかったはずなんですけど」
「うん、死因は不健康によるものではないね」
だったらなんで?家に誰かが忍び込んで僕を?
鍵は施錠したはずだし、家族が犯人なんてもっとありえない…
「結論から言うとね僕のうっかりで君を殺してしまったんだよ」
「はい?」
目の前のお爺さんが僕を?
「実はわしは神様でね?人の運命を司っているんだよ。司ると言っても普段は人それぞれの運命を見守っているだけなんだ」
「見守っているだけならなぜ僕を?」
それだけなら誰かを死なせてしまうことにはならない気がするけど。
「司っている以上運命そのものに干渉することができる。それでね、いつも通りに色々な人たちの運命を見ていたんだよ」
神様は手元にスクリーンみたいなものを出しそれをスクロールさせていく。
どんなふうに見ているのかと思ったら意外と近代的だった。
「そして君の運命を見終わって次の人のを見ようとした瞬間」
「瞬間?」
「くしゃみがでてしまった」
「…それで?」
「くしゃみが出た拍子に手元が狂ってしまってね、こう偶然手刀みたいになって君の運命をスパーン!っと」
「…」
うっかりと言っていたからどんなしょうもない理由かと思えば…くしゃみからの手刀か。
なんかこう、なんて言えばいいのかな?
なんか文句の一言でも言ってやろうかと考えていたけどあまりにもしょうもない理由で…
「…はぁぁぁ」
呆れによるため息しか出なかった。
「とにかくごめんね」
謝罪が軽すぎやしないだろうか?神様だから?
まあ、さっきからしゃべり方がゆるいし威厳もあまり感じないしそんなもんなのだろう(失礼だとは思うけど)
ーーーーーー
「あの、僕はこれからどうなるんですか?」
正直言って死んだという実感がまるでないけど、なんとなく神様が言っていることは本当なんだと思う。
未練はたくさんあるけど、死んでしまってはどうしようもない。
「普通ならまた赤子に生まれ変わって新しい運命を辿るけど、君はわしとせいで死んでしまったからの…そこで1つ提案なんだけど」
「提案ですか?」
「群藤くん、君は異世界に興味ある?」




