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収納スキルの活用

「この依頼は俺のだ!!」

「ざっけんな!こっちによこしやがれ!!」

「ちょっと!?横取りしないでよ!」

「ちんたらしてるのが悪いんだよ!」


『…うわぁ』


朝ごはんを手早く済ませギルドに直行…したのはいいんだけど、ギルドに入った瞬間にこの喧騒。

僕たちにこの中へ入っていく勇気は無い。


「凄まじい光景だよな、これ」

「ポサートさん、おはようございます」

「おう、おはようさん」


目の前の光景に戦慄しているとポサートさんが隣にやってきた。


「聞いたぜ、冒険者になって初日で銀貨6枚稼いだんだってな。将来有望なようでなによりだ」

「運が良かっただけですよ。…それにしてもこの依頼の争奪戦はすごいですね」

「その日の生活がかかってるからな、そりゃ躍起にもなるわ。でも、お前さんらは大丈夫だと思うぞ」


依頼が取られて大丈夫?どういうことだろう?


「あいつらが取り合ってるのはモンスター討伐の依頼が殆どだからな、雑用の依頼まで取られることはまずねえよ」

「そんなにモンスター討伐がかっこいいんですかねぇ」

「モンスターが倒せるってことはそれだけ強くて頼れるってことだからな、中には強くなってモテたいって理由で冒険者になってモンスター討伐に挑むバカもいるぜ」

「いっそ清々しい理由ですね」


動機はどうあれ、それで街の人たちが助かってるならいいのかな、モテたいっていうのは男としてはわからなくもないし。

だとしても僕はしばらく討伐依頼を受ける気はないのだけど。


「あ、争奪戦が終わったみたいです。グドウさん、掲示板を見てみましょう」

「どれどれ…本当に雑用依頼ばかり残ってますね」


草むしり、迷子のペットの捜索、お店での接客…簡単な内容だからか報酬も少なめだ、これだとご飯代と宿代を両方稼ぐのは難しそう。


「掲示板に貼ってある依頼で一番高額なのは鉱石の採掘と運搬ですね、報酬は銀貨2枚です」

「力仕事かぁ…苦手なんですよねぇ」


でも、これ以外の依頼だと報酬が…体に鞭を打つしかないのか…


「…今思ったんですけど、採掘はともかく、グドウさんの収納スキルを使えば運搬は簡単にできるのでは?」

「…あ、確かに」


何で思い付かなかったんだろう…物を運ぶのにうってつけのスキルじゃないか。

物をしまうってことに囚われすぎていたのかもしれない。

これは有効活用するしかないね!


「なんだ、そんな便利なスキルを持ってたのか。サポーターとしても活躍できそうだな」

「サポーター?」

「パーティーに1人は欲しい役職だ、大体は荷物を持って時にはアイテムでの戦闘支援をするんだ。収納スキルがあれば荷物でかさ張らず戦闘のサポートがしやすくなるからな、重宝されると思うぞ」


そっか、冒険って戦うだけじゃないのか。

何日か分の食料を運ぶだけでも大きな荷物になるだろうし、それをスキルでしまえるのは便利だ。

冒険に出たいってなったら、収納スキル持ちってことを武器にしてどこかのパーティーにいれてもらうのもありかもしれない。


「どうします?この依頼を受けますか?」

「…採掘は大変だと思いますけど受けましょう」

「頑張れよ、もしかしたら鉱石を少し貰えるかもしれないぜ」


鉱石か…ぜひともコレクションしたい!


「それじゃあ、受付にいって依頼を受注しましょう」

「どんな鉱石が採れるのかな?楽しみです」


よ~し!張りきって採掘するぞ~!


ーーーーー


街を出て15分程度の場所にある洞窟、そこで鉱石の採掘をしていく。

今回採掘するのは鉄鉱石が15個、ついでにレアな鉱石とか出ないかなと期待しつつ掘っていたのだが…


「ぜぇ…ぜぇ…」

「腕が…パンパンに…」


使いなれていない重いツルハシを何度も振っていればこうなるのは必然なわけで…開始30分足らずで疲労困憊になってしまった。


「必要な鉱石はあと鉄鉱石が10個ですか、キツいですね」

「鉱石が剥き出しになってますから、どこを掘ればいいのか分かるのは助かるんですけど…」


偶然かどうかはわからないけど、目当ての鉄鉱石が剥き出しになってるから、見つけるのはとても簡単だった。

問題なのは非力な2人で必要な個数を採掘するのは大変だということ…何か良い方法はないかな?


「このまま収納できたらなぁ」


そう呟きつつ、試しに鉄鉱石を抉りとるイメージで収納スキルを使ってみる…すると、鉄鉱石だけがキレイに収納された。


「…最初からこうすればよかったですね」

「…これも経験と思いましょう」


収納スキルで簡単に採掘できることがわかったので、必要な数をぱぱっと採っていく。


【鉄鉱石×14】

【魔鉄鉱(純度:低)×1】


「魔鉄鉱?何これ?」


鉄鉱石だと思って収納していたら、違うものが収納されていた。


「どうしたんですか?」

「鉄鉱石に混じって魔鉄鉱とかいうのが収納されてたんです。タンドップさんはご存知ですか?」

「わたしもよくわからないです…一応依頼主には報告しておきましょう」

「そうですね、行きましょう」


鉄鉱石をもう一つ収納して、必要な数を確保し依頼主のもとへと向かう。

ちょっとレアな鉱石な気がするなぁ、もらえたりしないかな?

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