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第4話 ときめき、ひらめき

 こうして運命の人と出会うことなく(わたし)は16歳になった。めでたいことは何一つなかった。だが占い師からもらった水晶の腕輪のおかげで私の力は押さえつけられ、制御できるようになったのがせめてもの救いだ。今では好きなときに人の心を読むことができる。


 16歳といえば縁談の話が持ち上がる時期だった。16歳になった途端山ほど縁談を申し込まれた。貴族の男性たちもやるものだ。真っ向から攻めるのが恥ずかしい彼らは親に縁談を申し込ませていた。縁談の話と同時に彼らの肖像画が贈られた。


「…………クズが」


 彼らの肖像画を見ながら私は軽蔑の言葉を吐いた。人間は愚かだ。特に男は。そんな回りくどいことをしないで直接口説けばいいものを……。奥手でいるからますます好きになれないというのに。全ての肖像画を見たあとあることに私は気がついた。


「あの方の肖像画がない……」


 私が言ったあの方とはルプトーヴ子爵の息子、フレデリックのことだった。私に恋する男性は数知らずいたがその中でも最も私に好意を寄せていたのがフレデリックだった。てっきり彼も見合いを申し込んだとばかり思っていた。彼は私を見かけるたびに誰よりも熱い視線で私を見ていた。


「彼なら……」


―あんなに私のことが好きなら…………わかってくれるかしら?私のことを。


 胸がトクンと鳴った。私は孤独と戦うのにうんざりしていた。私が心を読む力を知っているのはお父様とお母様と例の占い師だけ。それでも彼らは理解者とは言い難い。理解しようと努力はしているが……。姫と言ってもそのまえに私は女の子だった。


―私も恋をしたい。


 好きな男性に甘えて癒されたかった。誰かに受け入れてほしかった。ありのままの自分を。心を読めるせいで他人を愛せない私は自分の心を射止めてくれる男性を待っていたけどもう限界だった。


―何もしないで待っているのはもう嫌。私は変わりたい!


 今のままでは一生幸せになれない…………そう気づいた私は自分からフレデリックに近づくことを決心した。

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