78話
5月8日月曜日、GW明けの登校日初日が終了した。
なので、早速ターゲットに声を掛けようと思う。
「月坂さん、今少し良いですか?」
「い、市原君!?私に何か御用でしょうか?」
話し掛けられた月坂さんはガチガチに緊張しているし、他のクラスメートも何事かとこちらの様子をうかがっている。確かに、俺から少し良い?とか話し掛けたのは初めてだもんなぁ……
「ここではちょっと…なので、この後少しお時間を頂きたいんですが、ご予定とかあったりしますか?あればまた別の日にしますが……」
「いえいえいえいえ!?暇です!!全然暇です!!」
月坂さんは、首がちぎれるんじゃないかという位ブルブル首を振って暇ですと言う。全然暇ですにはツッコまないぞ。
「それは幸運ですね。では、どこか二人きりになれるような場所に行きたいのですが――」
「二人きり!?」
ヤベェ!?ワードチョイスミスったわ。疚しい気持ちはこれっぽっちも無いのに何か疚しく聞こえるな……
「ご安心を。内密の話がしたいという意味での事です。それに、僕の男性警護者がいるので厳密には二人きりではありませんから」
「……」
あれ?安心させる為に言った筈なのに、月坂さんは何でそんなムンクの叫びみたいな顔してんの?
「月坂さん?」
「いえ、何でも無いんです。市原君が言う通りにします」
月坂さんは何故か乾いた笑みを浮かべてそんな事を言った。
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と言う事で、月坂さんを車に乗せてある場所に向かった。
「ここは貸会議室ですか?」
「その通りです。数時間だけ借りています。それで、早速なのですが本題に入らせて頂きます」
と言う事で、早速本題である動画投稿者になりたいと言う話をする。俺には知識が無いから月坂さんの知恵を借りたいという事も話した。ただ、何故動画投稿者になりたいのかの説明はしていない。それを説明してしまえば完璧に巻き込んでしまうからな。
「なるほど、市原君が……市原君、質問があります」
「どうぞ」
「市原君は、どんな動画を投稿したいと思っているんでしょうか?コンセプトでも構いません」
っっ!?ヤバイな……明確なビジョンなんてないぞ。始める理由が理由だしな。
「どんな、ですか……一つ考えていたのは料理ですね」
これでも元料理人だからな。中華のみとは言え、悪くは無いと思うんだが……
「料理ですね。では、顔出しについてはどうお考えですか?」
それメチャクチャ悩んだんだよ。
「何個か動画を投稿してみてチャンネル登録者数が10万人みたいなカンジで何かの記念の時から顔出し解禁と言うような事を考えてます」
「なるほど……市原君、本気で動画投稿者になりたいと思っていますか?」
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