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77話

 「確認したいことがあります。直接精子提供すると言う事は国の精子提供と違って誰が父親か分かる訳です。女性が子供を産んだ後、子供を認知しろとか婚姻しろと言ったような事例は無いんですか?」


 俺はこれが心配だ。精子提供しただけなのに子供を認知しろとか婚姻しろなんて言われるのは……


 「無いとは言いませんわ。ですが、予め契約書等で条件を決めておけばトラブルになっても問題はありませんの。なので、認知しろとか婚姻しろとか言わない代わりに代金を安くしろとか直接法で精子提供しろと言う事もあるそうですわ」


 「代金を安くしろは分かりますけど、直接法と言うのは?」


 精子を他の男のものとすり替えられない様に直接会ってその場で出したものをくれって事なのだろうか?


 「それは、その……ちょ、直接子宮に精子提供しろと言う事ですわ」


 あ~その恥ずかしそうに言った事で理解出来た。要は本来の意味での子作りって事だな。


 「その~直接提供したとしても妊娠するか分かりませんよね?妊娠するまで何度もしないといけないんですか?それって男の方が嫌がりますよね?」


 そもそもこの世界では男は女との性行為をする事に忌避感があるのだ。何度もするとは思えない。


 あと、精子提供して貰ってそれを人工授精なら妊娠する確率は高そうだが、直接だと一回で妊娠するのは難しいのではないかと思うのだが……


 「春人さんの仰る通りですの。ですが、直接法だと男の子が生まれる可能性が人工授精より高い事からそちらを望む方が多いのですわ。ですが、男性はそれを嫌がりますから、妊娠しなかった時の為にも回数を予め決めておくそうですわ」


 まぁ、そうするしかないよな。


 「一般人と言う言い方は良くないですが、一般人なら僕と契約書を交わした後にトラブルになっても警察やらで対処して貰えるかもしれませんが、相手が上流階級だと難しくないですか?」


 権力者は自分より地位が低い相手に対しては強気に出て契約などを反故するものだ。どこぞの裸エプロン先輩じゃないが、無かった事にするなんて言うのは往々にしてあるだろう。


 つまり、堂々巡りになるんだよなぁ……権力者に対する力がいる⇒その為に別の権力者の力を借りる⇒その別の権力者に理不尽な事をされる⇒力がいる⇒ってなカンジだよな。


 「そう言われると……私には契約を遵守させる方法は思い付きませんわ。この案は無かった事にして下さいまし」


 遵守はともかく俺が思い付いた事と合わせれば悪くない位にはなるかもしれない。


 「愛莉さんは何かありませんか?」


 「申し訳ありません。拙は何も思い付きませんでした。ただ、何でも良いので賞を受賞する為に創作活動をすると言うのはどうでしょうか?~賞を受賞したと言う権威や知名度を利用する影響力は馬鹿に出来ないと思います」


 おぉ!?俺とほぼ同意見だ。


 「愛莉さんの考えは僕が思い付いたものとほぼ同じですね。僕が思い付いたのはインフルエンサーになる事です。今までは目立たない様に自重していたのでそういう気は無かったのですが、もう僕と言う存在は上流階級にバレた訳ですからね。目立たない様にと言う必要は無くなるので解禁です」


 まぁ、ありきたりと言えばありきたりだろう。男女の貞操観念逆転もので芸能人になって大活躍なんてのはテンプレだからな。


 「アレで自重していたんですの!?コホン、インフルエンサー……つまり、配信者になるという事ですわね?」


 「その通りです。ただ、配信者と言うのは正確ではないですね。大まかに言えば配信者なんでしょうが、僕はどちらかと言えば動画クリエイターとか投稿者になろうと思っています」


 理由は勿論ある。熱狂的なファンは厄介だからだ。前世では男でも女でも推していたアイドルに彼氏彼女が出来ると炎上したりするのは何度も見てきた。


 あとはアレだ。性加害があった某事務所の某グループが自分の出身の学校の文化祭に凱旋したら熱狂的なファンに滅茶苦茶言われてるという記事を見て驚いたものだ。自分たちは高い金出してるのに金出してない奴を特別扱いするのかとかな……


 だから配信はしない。スパチャとか投げ銭されればお客様になってしまうからだ。そんで何か自分の気に入らない事があれば金払ったのにと言われる訳だ。投稿者なら動画自体は無料で見られるから文句言うなら見なければ良いが通用する。それに、見て貰えるだけでもお金は入ってくるしな。


 それに、何かあった時は動画を作って投稿すればよい訳だ。上流階級の闇、投稿者を襲う理不尽の嵐とかバズりそう。前世では捕まった暴露系の某氏は一定の需要はあった訳だし人間の闇だよなぁ……てな事をオブラートに包んで話した。


 「ただ、当然僕にその手の知識なんてのは無いので協力者が必要なんですよ」


 これについては前から目を付けていた。我がクラスメート月坂凛音嬢だ。自己紹介の時に新人を発掘する事と推し活って言ったからな。あと、俺に沼ると言っていたし俺のアドバイザーにピッタリだ。


 上流階級の人間共よ――貴様らの思い通りにはいかないからなぁ。


 俺を――男を舐めるなよ!!

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。


 と言う事でGW編終了です。物語が少しずつ動きが始めましたが、恋愛ものなのに恋愛まだ?と思われる読者の方も当然おられると思いますが、もう少し辛抱強くお付き合い下さればと思います。


 そして、予定ではありますがとうとう主人公の春人が世に出ます(変更が無ければ……)。ただ、筆者にそういう動画の配信者等の知識が全くありませんのでこれから勉強をしたいと思っています。


 ですので、次回の更新は少しお時間を頂きたいと思っています。次回は3月20日6時を予定しています。書き溜めもしておきたいので、次回更新まで長くお時間を頂きますがご理解いただきたいと思います。

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