70話
嵯峨根家と京條家の両家の謝罪の場は5月3日、午後14時にキングローヤルホテルの一室を会場にする事で決定した。開場は13時20分からで、俺はその時間に合わせて来た。
料金は数時間で数十万飛ぶからヒェッ!?ってなったけど会計後三分割で精算となったので少しホッとしている。
つーか結婚式の披露宴の会場に使われる様な中々デカい会場で、そんなデカい必要無かったよね?なんて思っていたのだが……
「やられた……」
嵯峨根家と京條家の謝罪の場だから当主とかそれに準じる人に経緯の説明をしたりされたりして、謝罪の言葉と書類を貰って終わりだと俺は思っていたが……
「何で百人とは言わないまでも結構な人数がいるんですかねぇ……」
嵯峨根家と京條家の一族総出と言われてもおかしくは無い数がいる。そう、嵯峨根家と京條家と言う言葉を上手く利用されたのだ。
「確認しなかった俺が悪いのか?」
数が多い事に文句は言えないだろう。一族総出で出席する事で誠意を見せるつもりだったとでも言われれば逆にこちらが狭量と言われかねん。
こういう所が厭らしいと言うか狡猾なんだよなぁ。ぶっちゃけ俺と言う男と両家の一族の人間に縁が出来ただけで元を取ってると言うか取られてる気がする。
縁談とまでは言わないまでも何かあった時にあの謝罪の場でご挨拶させて頂きました~ですとか、挨拶をしなかったとしても場が場でしたので挨拶は控えさせて頂きましたが改めまして~ですと自分からアピール出来るからな。クソッ本当に油断出来んな。改めて気を引き締め直した。
「市原君」
「京條さん……」
悲壮感満載な顔の京條さんに声を掛けられた。そんな京條さんは制服姿だった。ちなみに俺も制服だ。
「私が市原君を誘ったばかりにこのような事態になってしまい大変申し訳なく存じます」
ガバっと頭を下げられた。
「いえ、こちらこそ自分の軽率な発言でここまで大きな事態になるなんて思っても見なかった僕が一番悪かったと思っています」
こちらもペコリと頭を下げる。
京條さんはアレだな。俺と面識があるから俺がどの位怒ってるのかとかを調べる斥侯役と言った所だろうな。
「その~勉強会ってどうなりました?」
一応気になっていた事を尋ねた。
「5月5日の午前中から一日を予定しています」
「そうなんですか!良かった~正直僕の所為で無くなってしまったらと思うと……」
俺は少し俯いて悲しんでますアピールをした。
「大丈夫です!勉強会は行われる予定です。あの~市原君は……」
「僕の本心としては参加したいんですが、こう大事になってしまっている以上参加は見合わせた方が良いと思ってるんです。非常に残念なんですが……」
「そうですね……残念ですが今回はそうした方が良いと思います」
うん。その言葉が欲しかったんです。
「その~厚かましいとは思うんですが、もしまた何かクラスで集まるとなったら声を掛けて貰えますか?」
欲しい言葉を貰ってハイさよならは流石に人としてどうかなとも思うので、また誘ってくださいと言う。
「勿論です。あっ!呼ばれたみたいなので、私はこれで失礼します」
「それじゃあGW明けの学校でまた」
とりあえず京條さんとのやり取りは何とかなった。
と言うかそのやり取りもずっと見られてたんだよなぁ。当然か……
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