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閑話 女性に対する忌避感が無い男性患者

 高潔篤さんのなろう作品情報集計と言うページを見てみますと、日間現実世界〔恋愛〕 BEST100に12月2日からランクインしていた様です。12月2日が50位、12月3日が41位、12月4日が30位、12月5日が50位となっていました。


 数ある作品の中から50位と41位と30位としかも4日も連続でランクインできるなんて今でも信じられない気持ちでいっぱいです。


 これも読者の皆様がブックマークをして下さったり、評価を下さったお陰です。これからも引き続き拙作をよろしくお願い致します。

 高田エリザベス視点


 2月15日、一人の男性患者が運び込まれてきた。


 何故男性医師がいないウチの病院なのかと思ったが、患者の自宅から一番近く設備が整った病院がウチだったからだそうだ。男性患者を男性医師がいない病院に送るなんて緊急事態なのだと思った。


 患者は予想通り意識不明だった。患者は受験の失敗で精神的に不安定であり心療内科で処方された薬を多量に飲んでの自殺未遂との事だった。


 近年、若い世代の男女比は1:10近くにまでなっており、男性は今まで以上に貴重な存在となった。命を落として欲しくは無い。最初はその位の認識だった。


 2月18日、患者が目を覚ましたと中村さんから報告があった。私は直ぐに患者の元に向かった。


 中村さんがご家族に連絡をしたのだろう。私が病室に入った時に患者の母親が患者に抱き着いていた。いくら目が覚め嬉しかったからと言って抱き着くのはマズいと思い声を出したが、患者は母親を振りほどく様子もなくお母さんと呼んだ。


 この時点であり得ない事が起こっていると思った。


 そして、その後様子を見ていて普通の男性とは反応が違うと思った。


 もしかして……私は春人君に記憶喪失では無いかと言った。春人君も困った顔で記憶喪失だと認めた。


 母親に向かって綺麗な女性?羨ま――確実に記憶喪失だ。間違いない。


 そこから母親の最悪の事態を覚悟したという話を聞いて、恐らく国の施設送りになる事を覚悟したと言う事だと思った。男性は貴重な存在だ。意識不明の植物状態であっても安楽死など認められない。強制的に精液を機械で搾り取る装置を取り付け文字通り死ぬまで搾り取られるのだ。


 改めて春人君が施設送りにならなくて良かったと思った。


 そこから何故入院しているのかを説明したり、名前や年齢などの確認を行った。


 不思議な事に薬の知識は残っていた事からも自分の意志で薬を飲み自殺を図ったと思われる。勿体無い!!私と婚姻すれば共学校に通わなくて良いのに――春人君なら私が一生養ってあげるのにと思ったが口には出さなかった。


 そこから春人君が退院する日まで毎日がパラダイスだったわ。


 最初は直ぐに男性医師がいる病院に転院させろと言われるかと思ったわ。


 男性が女性を避けたり女性に対して高圧的になったり女性を恐れたりするのは、私たち女性が過去男性に行った事が原因だ。


 一般的に言われているのは二つの原因だ。2020年代から2070年代まで約50年にわたって男性を手ひどく扱った事やその後男性を精液だけ出しておけば良いと人工授精の為の道具の様に扱った事と言われている。もう一つは2120年代後半に全国各地で女性が男性に行った性暴力によって遺伝子レベルや本能で恐怖や嫌悪感や忌避感が刻まれたのではないかと言われている。


 春人君は記憶喪失だから私たち女性に対する忌避感が無いと思われるので言われる事は無かった。


 先の説明と矛盾する奇妙な話であると思ったが、当然個人差はあると思われるのでその範疇と言えるのかもしれない。


 寧ろそんな事より、女性に対する忌避感が無いイケメンのDC(男子中学生)(もうすぐDK(男子高校生))なんてどこの恋愛小説や恋愛漫画の登場人物だと言いたい位の理想の男性が――実体となって今ここにいるのだ!!この事の方がよっぽど大事だ。


 春人君は控えめに言っても最高過ぎた。只でさえ男性医師がいない所為で男性患者と関わる機会がない中で現れた貴重な男性なのに、その貴重な男性がイケメンで女性に対する忌避感が無いDC――これで惹かれない女はいない!!


 春人君の担当を巡って戦争勃発かと思われたが、男性への負担を減らす為に接触をなるべく減らすと言う建前を用いて私と中村さんで春人君を独占した。他の同僚や看護師から露骨な嫌がらせ行為があったが気にせず春人君との時間を満喫した。


 健診で服をたくし上げさせる時なんてもう!!しかも、恥ずかしがってるのがもう!!我が人生に悔いなしと思ったわ!!


 中村さんは食事を自分の手で食べさせようとして断られたのは可哀そうだったわ。だけど、10分おきの見回りなんてズルいわよ!!私だってずっと春人君の病室にいたかったわよ!!他の同僚が仕事を押し付けてきて私と春人君の時間を邪魔してくるから余計にズルいと思ったわよ。結局春人君にナースコールで呼びますからって言われてたのは流石に同情したけど……


 あと、春人君はちょっとした事でもありがとうございますとか言ってくれるから気持ちが良かったわ(変な意味じゃないわよ?)。


 そして、2月21日春人君は退院となったわ。私は後10年位と思っていたのだけど、春人君自身が退院を希望したし体に特に異常が見つからなかったから退院となったのよね。あの時程カルテを改竄しようと思った事は後にも先にもないと思うわ。


 退院となったけど、体に何か異常が出たら直ぐにウチに来るように言ったから何かあればまた来るでしょう。病院に来て欲しいなんて思ったらいけないのだけれど春人君にはまた来て欲しいわ。


 そして――明日からの春人君ロスが恐ろしいわ。 

ま、まぁアレですよ。春人がニブイとかじゃなくてエリザベス先生とか中村さんが上手く隠し切った――という事にしておきましょう。


最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。


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