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65話

 これはまたとんでもない事を聞いてしまったな。


 だが、嵯峨根さんが言った事の意味は少なくとも二通りの取り方がある。


 覚道玲央と言う人物がそもそも存在しないのか、覚道玲央と言う人物は存在するが一般人では無いかのどちらかだ。


 話の流れからすると後者っぽいが……と思った事を嵯峨根さんに言う。


 「その通りですわ。本当の名前は八条院(はちじょういん)玲央。八条院と言う家は今はもうないのですが上流階級でした」


 シレッと怖い事を言ったな。


 「覚道玲央が八条院玲央だったと言うのはまぁ驚きと言えば驚きですが、何故上流階級ではなく一般人だという事にしたのですか?やはり外聞が悪いからですか?」


 十中八九それだと思うが一応聞いてみる。


 「身も蓋もない言い方をすればその通りです。一般人である覚道玲央と言う人物が上流階級に成り上がるために複数名と婚姻できるシステムを悪用したとする事で上流階級側は被害者であると……」


 聞けば聞く程上流階級って……なのだが嵯峨根さんは何を知って欲しいと思ったんだ?


 「春人さんが疑問に思っている事を説明する為にやはり八条院家の事を話さなければならないのですわ。ですがその前に、上流階級と呼ばれる家はどうやって家を保ってきたかご存知ですか?」


 嵯峨根さんがそんな事を尋ねた。


 「男が生まれた家に圧力を掛けて婚姻させるのではないでしょうか?」


 「そう思われがちですが実は違いますの。友好的な他家や分家やそのまた親族の家などから男子を探して家を保ってきたのですわ。そしてある日、八条院家本家に男子が生まれましたの。上流階級の本家筋で男子が生まれたのは100年近くなかった事なので奇跡の子等と言われていたそうですわ」


 あっ(察し)……


 「聡い春人さんならお分かりですわね?その奇跡の子が八条院玲央であり、その八条院玲央と婚姻を結ぼうと上流階級の間で争奪戦の様なものが起きたそうですわ。八条院の当主は困った筈ですわ。婚姻相手にどの家を選ぼうと角が立ちますわ。そこで、追い詰められた当主はとんでもない決断を下したのですわ」


 100年ぶりって事でその奇跡の子と婚姻すると言う事に期待値が爆上がりしたんだな。


 「そう言う事でしたか……ですがまぁ、それが現実的な対応だと僕も思いますよ。選べないなら全員を選べば良い。複数名との婚姻は法律的にも許されてますから……」


 と言うかそれしかないという位に追い詰められたのだろうし、そんな状況に嫌気が差して開き直ったと言えなくもない。


 「ですが、八条院玲央にきていた婚姻の申し込みは八条院家と縁のある家ない家、八条院家と友好的な家そうではない家、関係なくきていましたの。それが八条院玲央と言う男性を介して縁が出来たとなれば上流階級は阿鼻叫喚だったそうですわ」


 「婚姻したかった家は八条院家の当主にどこかの家を選んで欲しかっただけと言う事ですか……なら、何故追い詰めた?としか僕には思えません」


 馬鹿だなとしか言いようがないだろ。そもそも追い詰めなければ良かったし、追い詰められればそういう決断をすると予想できなかったのだろうか?


 「嵯峨根さん、かくど――八条院玲央はどうなったんですか?」


 気になるのはやはり彼がどうなったのかだ。


 「八条院玲央と八条院家の当主は自殺しましたわ」


 「ふぅ~そうですか……」


 自殺したと言うか自殺に追い込まれただろ?予想しうる最悪の結末と言っても過言ではないな。


 なんつ~かアレだな。八条院玲央が可哀そうすぎるな。ただ上流階級の本家筋に生まれたばっかりにな…… 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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