63話
「っっ!?」
ヤバい!?反応してしまった。と言うかしてやられた。
番場さんの話が終わって油断していた所を追撃されたのだから狙っていたと言うか、こっちが本命だったんだな。
しかも、丁度嵯峨根さんとの関係についてもう少し考えないといけないと考えていた所にコレだからな……
「う~ん……嵯峨根さんが言う事に心当たりが無いですね。勘違いではありませんか?」
こうなれば少しでも時間を稼いで態勢と言うか気持ちを立て直さなければ。
「いいえ、勘違いなどでありませんわ。私、これでもS級の男性警護者ですの。警護対象者の変化に気付かない筈がありませんわ」
むぅ……だが、説得力はあるが根拠としては弱い気がする。
「なるほど……ですが、それは嵯峨根さんの男性警護者としての経験からの勘の様なものではありませんか?刑事が刑事の勘だけで犯人を逮捕はしませんよね?何か物証の様なものは無いのですか?」
どこぞの論破王の様にそれってあなたの感想ですよね?的な事を言う。
「残念ながらありませんの。何せ心の動きは見えませんから……」
「だとしたらやっぱり――」
「春人さん、私、ずっと考えていましたの。何が距離を取らせるきっかけになったのかを……ですが、何も思い浮かびませんでしたわ。なので、せめて何が理由なのか教えて下さいませんか?そうでなければ改善できるものであったとしても改善できませんもの……」
やっぱり勘違いと言おうとした俺の言葉を遮り嵯峨根さんが言う。
ふぅ~これは流石に分が悪い。しかし、あなたが上流階級の人間なので警戒しています何て言うのはどうなんだろうか?
ここまで追い詰めたのだから本当の事を言うべきだとも思うし、生まれなんて自分ではどうしようもない理由を改善するのは無理だから言うべきではないとも思う。
「春人さんは迷っているのですわ。と言う事は簡単には改善できない様な事か改善は不可能な事……もしかして、私が嵯峨根家の人間だからですの?」
「っっ!?」
自ら辿り着くとは思わなかったので動揺が大きく先程よりも反応が大きくなってしまった事が自分自身で理解してしまった。
「流石に嵯峨根家の人間と言うのはどうしようもありませんわね。そもそも、春人さんの人柄を考えれば改善できるような事であればそれと無く伝えた筈ですわ……」
嵯峨根さんは自嘲しながら言う。
「はぁ~参りました。どうせ京條家に行く事になったのだから、逆に良い機会を得たと思うべきなんでしょうかね……」
事ここに至っては噓偽りなく正面から話をするしかない。
「大事な話をさせて頂きたいので、太刀川さんも呼ばせて下さい」
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