56話
4月30日、今日は前々から予定されていたアレをやるのだ。そう、レンタル警護対象者をな。
と言っても、俺が提案したような恋愛色が入ったようなものでは無い。
アレは嵯峨根さんと太刀川さんに大反対されて頓挫したのだ。
それじゃあレンタル警護対象者って何やるの?ってなるよな?当然の疑問だ。
答えとしては男性警護者の実践的な訓練の警護対象者役をするのだ。
「市原さん、今日はよろしくお願いします」
番場さんに声を掛けられた。
「こちらこそよろしくお願いします。それで早速何ですが、今日は何をするんでしょうか?」
俺自身は人材派遣センターから来た職員さんの車に乗ってセンターに来た。嵯峨根さんと太刀川さんは休みだ。
自分たちも行くと言い張ったのだが、それだと何の為にレンタル警護対象者をするのか分からなくなってくる。本来の目的は男性警護者の嵯峨根さんと太刀川さんを休ませる事が目的なのだ。勿論、お金を稼ぐという事もあるが、それはあくまでついででしかない。
「今日は訓練所で警護対象者役をやって頂きます。設定としてはパーティーに参加している警護対象者(市原さん)が犯罪組織に狙われているので男性警護者が犯罪組織の魔の手から守り抜くと言うシチュエーションです」
ほぉ~本格的だな。
「あの~そういうのが昇級試験で行われたりするんでしょうか?」
「試験内容を漏らす訳にはいかないのですが、概ねその通りですとだけ言っておきます」
ふむふむ……こりゃあ要は試験対策講座みたいなものだな。番場さんも上手い事考えるもんだ。
「なるほど……それでは、僕がしてはいけない事とかありますか?」
「いいえ、ありません。市原さん自身が警護対象者と言う設定なので普段通りに行動して頂いて構いません。ですが、パーティーと言う設定ですので、スーツに着替えて頂けますか?勿論、着替えの際は私が自ら警護させて頂きます」
「着替えの際の番場さんの警護はありがたいです。ただ、学生がパーティーに出席する時にスーツを着ますか?着ないですよね?こんな事もあろうかと制服を持って来ていますのでそれに着替えさせて貰います」
「えっ!?制服ですか!?イケメンDKの生制服良いのかしら……」
制服に驚いた声は聞こえたが、後半は何を言っているのか聞こえなかった。
「市原さんがそう言うのならこちらとしてはそれで構いません。それでは、こちらに着替えの部屋を用意していますのでこちらにお願いします」
俺は番場さんに先導され着替えの為の部屋に案内された。
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