54話
4月12日、宿泊研修最終日、午前中は泊まった研修宿泊施設の掃除とか天文台の見学で月の石を見たりデカい望遠鏡を見たりで特に話すような事は無かったが、午後からのプラネタリウム鑑賞でとんでもないものと出会った。
「これって!?」
「市原君、これはVRカプセルです。このカプセルの中に入ってプラネタリウム鑑賞をするんです」
俺がカプセルを見て驚いたと思った京條さんが説明してくれるが、俺が驚いたのは別の理由だ。
そうだよ!!150年も未来なら全身で体感できるVRがあっても全然おかしくねぇよ!!
俺が死んだ2023年だってVRゴーグルがあったんだ。全然おかしくねぇ。
しまったなぁ。何でそれに気付かなかったのか……男が外にあまり出ないって言う時点で気付くべきだったぜ。外に出たくなくなる様な娯楽があるって事に……
あ~やりてぇ!!俺、VRMMOもののラノベ好きだったんだよ!!俺tueeeeeeしてぇよ!!
いかんいかん、やり過ぎるとジャンルが変わってしまうからな。だけど、絶対VRカプセルゲットするぞ。
「市原君?」
「あぁ、すいません。直ぐに入ります」
余計な事を考えていた所為で固まっていた様だ。俺は急いでカプセルの中に入る。
そして、頭にヘルメットみたいなものを被って横になる。
すると――
うわぁ…スゲェ……宇宙空間に俺だけがいる様な感覚だ。
もはや鑑賞じゃなくて体験だよな。
ホログラムでコースが何個か合ったので、月に行くコースを選んだ。
うぉ!?急に何だ!?体が軽くなった。月の重力は地球に比べると6分の1って聞いた事はあるけど、まさか宇宙飛行士にならなくても体験する日が来るとは……
こう~宇宙服を着た宇宙飛行士がぴょんぴょん飛び跳ねてるイメージがあったけど、まんまそんなカンジだ。
とは言え、ぴょんぴょん飛び跳ねるだけなのは少々飽きた。他のコースを見てみるか。
「何っ!?テラフォーミングだと!?」
テラフォーミングってアレだろ?惑星を地球みたいに人間が住めるように改造しようって言う計画の事だろ?マジか……時代はそこまで来てるのか。
って言う事では無かった。あくまでテラフォーミングの体験の様だ。いや、それでも十分凄いと思うけどな。
「火星ね……」
人間が住める環境に一番近いのが火星って言うのは聞いた事があるけど、テラフォーミングは無理だって言う人もいたよな。だから、あくまで体験なのかな?
って言う事で体験してみたが……
「良く分からん」
そう、体験だっていう事は分かっているが、ぶっちゃけ火星にいるって言う実感は無かった。まぁ、地球にいるのと変わらない位が理想とは言えるが……
次のコースを選んでみよう。
「おぉ!?宇宙ステーションで過ごしてみよう?面白そうじゃん」
宇宙ステーションで過ごした人の話をテレビで見た事はある。だけど、体験なんて普通は出来ない。凄いな未来……
って事で体験してみた。
「うわぁ!?」
何と言えば良いのかな?言葉にしづらい。スイカ割りで棒を軸に何十回か回った時みたいな感覚?違うな。
要は、こう~上手く自分の体をコントロール出来ねぇんだ。そりゃあ宇宙飛行士の人とか宇宙に行く人はトレーニングする訳だって言うのを実感できた。
こりゃあ益々VRのゲームに期待が持てるぜ。
数日後、VRの事を調べていく内に全身の五感で体感できる没入型のVRは非常に危険なので、1日2時間×2セットの4時間しか出来ない(2時間した後は1時間以上時間を空けないといけない)と言う時間制限がある事を知りガッカリする事をまだ俺は知らない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。




