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53話

 俺以外の成績を発表しよう。


 2組目の月坂さん、2問目で敗退。俺の敵を討つなんてフラグを立てからだろうな。2組目の5人の中で一番早く脱落した。正直、月坂さんのお陰でクラス内の最下位は免れた。戻ってきた時の真っ赤な顔は忘れられないだろう。


 3組目の右田さん、4問目で敗退。いや~中々の熱戦だったよ。この4問目までは全員生き残ってたのに、ここで3人脱落したからなぁ……


 4組目は京條さん、6問目で敗退。惜しかったんだ。6問目で一騎打ちとなって京條さんが間違えて相手のクラスの勝利になったんだ。悔しそうだった。


 そして最後が、宇津野さんと友永さんのタッグだ。二人いたからね。終始優位に立ち回れたけど、実力もあった。ウチのクラス2人と残り1クラスで8問目までもつれて、二人残っていたから〇と✕に分かれたんだ。二人とも合っていれば2点入るけど、確実に1点を取りに行ったんだ。やっぱ友永さん、俺に気を遣ってあんな事言ってくれたんだな。


 「ふ~む……面白い事になったぞ。1年2組、1年3組、1年5組がそれぞれ1点で同順位だ。最後の組以外は8問目の前に決着がついたから問題が残っている。1年2組、1年3組、1年5組の代表者3名によるサドンデスで決着を付けようじゃないか」


 おぉ!!もう終わりかなと思ったら何やら熱い展開になったぞ。


 「今から2分で代表者を決めてくれ」


 「1年3組、残ってたね。誰が出る?」


 「僕はやはり最終問題まで残る実力と運の持ち主である宇津野さんか友永さんにお願いしたいと思いますが……」


 右田さんの発言に僕が答える。


 「異議なしです」


 「右に同じ」


 京條さんと月坂さんも宇津野さんか友永さんが良いと言う。


 「いいえ、私は市原君が良いと思います。私たち1年3組の代表は市原君しかあり得ません。それに、もし先手必勝で私が出場していたらこのような結果にはなっていません。市原君が勇気を持って最初に先陣を切ってくれたからです」


 友永さんはそう言う。


 「私も友永さんと同意見です。市原君がいなければ私と友永さんの二人で出場という事は無く、1点も取れずに終わったと思います。ここは市原君に代表として出場して欲しいです」


 宇津野さんも俺に出場をと言う。


 現状3対2だ。右田さんの意見で決まる。そう思ったのは俺だけじゃない様で全員が右田さんを見る。


 「私?私も市原君かな。紅一点ならぬ黒一点として頑張って来て」


 何だよその理由は……


 「私と月坂さんと市原君は友永さんか宇津野さんかどちらかでした。つまり、出場者が明白ではない訳です。しかし、残りの3人は市原君と明確でした。それなら、市原君で決まりですね。もう時間もありませんし……」


 「よく考えたら、他クラスから余計な恨みを買わない為にもここは市原君に出て貰った方が良いかもしれません。私も市原君が良いと言う意見に変えます」


 最終的には京條さんと月坂さんにも裏切られた。


 「ふぅ~分かりましたよ。ただ、一問目ですぐに間違えても文句は無しですよ?」


 勝ち残れる自信など更々ない。そう言って俺は答えを聞かずに代表者が集まっている場所に向かった。『答えは聞いてない』なんてね。


 「よし、代表者が集まったな。それでは、サドンデスを始める。残っている問題は4問だ。仮に4問出題して1人以上残ればどうしようもないので、もうじゃんけんで決めて貰う。それでは、サドンデス1問目だ。開黎高校の校是は努力、自立、克己であるが、これは2160年に変更された校是である。〇か✕かどちらだ?」


 う~ん……確か校則は変更したんだよな。俺の時に出た問題だから覚えてる。なら、校是が変わっていてもおかしくは無いな。


 俺は○に移動する。ふむ……俺以外も○だな。


 「正解は――○だ。ちなみに変更前は気力、自主、寛容だった。それでは、第2問、開黎高校の第1期の工事で普通教室は18教室、理科教室は5教室、体育館、グラウンドを着工した。〇か✕かどちらだ?」


 知るか!!何だよこの問題は!!もう2分の1に賭けるしかねぇな。俺は✕に移動する。


 えっ!?他の二人は○だ。終わったな。


 「正解は――✕だ。正しくは理科教室は6教室だ……おめでとう!1年3組が優勝だ」


 「っっ!?ありがとうございます!」


 マジか……2分の1の賭けが当たったぞ。


 パチパチと拍手の音が聞こえる。


 「流石は市原君です。お見事でした」


 「やりましたね市原君」


 「私が最後に市原君に票を投じたからこその結果だね」


 「決める時は決める。やはり市原君なんですね」


 「市原君は間違ったって顔をしてましたけど、私はこうなると信じていましたよ」


 友永さん、宇津野さん、右田さん、月坂さん、京條さんの順にコメントをくれた。


 「何と言うかアレですね…美味しいとこ取りみたいで申し訳ないですね。功一等はどう考えても宇津野さんと友永さんですよ右田さんと京條さんも惜しい所までいきましたし」


 「あの~私には何かありませんか?」


 月坂さんには何もコメントしなかったのはそういう事なんだよ。俺の気遣いを無にしおって……


 「月坂さんは……ほら、アレです。仇を取るなんて言って2問目で敗退してくれたので、僕はホッとしたので思わず笑みがこぼれました」


 コメントを求められたのでかなりオブラートに包んでコメントした。


 「プッ。そうだよね~仇を取るなんて勢い込んでたのに、ただ一人2問目で敗退だもんね~私のお家芸取られたと思っちゃった」


 俺のコメントに右田さんがニヤニヤしながら言う。


 「いけませんよ右田さん、そんな、事を、言うなんて」


 「千夏っちゃん、笑うのを堪えながら言っても説得力無いよ」


 うん……俺も京條さんは笑っちゃいけないと我慢している様に見える。


 「フフッ、私もアレは予想外でした」


 「輪――月坂さんらしいと言えばらしいですけどね」


 宇津野さんと友永さんも笑顔だ。


 「誰一人欠けてもこの優勝は無かった――という事にしておきましょう」


 という事にしておきましょうは小声で言う。


 何て言うかまだまだ不安な事やら気になる事はあるけど、俺がこの1年3組だった事は本当に幸運だったと思う。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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