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52話

 20時からのレクレーション、風呂入った後だし、制服に着替えてって言われたから何をするのかと思ったら――


 「○✕ゲームですか」


 残ってたんだな○✕ゲーム……


 「各クラスから代表者を選出してクラス毎に競う様です」


 京條さんが説明してくれる。


 「千夏っちゃん、ウチのクラスは市原君がいるでしょ?一人有利だよね?その辺はどうなるの?」


 右田さんが鋭い指摘をする。


 「ウチのクラスは2人出場する時もあるという事になりそうです」


 右田さんの質問に京條さんでは無く、宇津野さんが答える。


 「あ~僕は戦力として当てにしないで貰えると助かります」


 どんな問題が出るかは分からないが、俺は戦力にはならないと断言出来る。


 「そろそろ始まります。誰が出場しますか?」


 月坂さんが俺達に尋ねる。


 「最後の方になって勝ちたい時に僕が残っていると計算し辛いでしょうし、僕以外の誰かが2人になって確実に勝つと言う時が必要になるかもしれないと考えると最初に僕が出た方が良いでしょう」


 勝つ為の方針を提案した。


 「そうですね。市原君、お願いします」


 友永さんが俺にそう言い、誰も反対しなかった。


 「それでは、行ってきます」


 俺は先生や他クラスの人が集まっている場所に行く。


 「っっ!?1年3組は男子が……」


 「えっ!?いきなり!?」


 何てザワザワしているが、俺は切り札じゃなくて捨て札だからな。


 「それでは、最初の一組目なので説明する。まず、問題が読み上げられる。問題が全部読まれた後、10秒以内に〇か✕に移動しなければならない。なお、先生方がデヴァイスの空間投影で残り時間と○✕を投影している。質問は無いか?」


 説明をしたのは学年主任の先生だな。


 「はい」


 「むっ!男子か。どんな質問だ?」


 俺が質問した事に驚いたが、質問は?と言う。


 「え~と、ここにいる5人が1人になるまで続くのか、1組10問とか制限があって全員が残る可能性もあるのか、その辺が良く分からなくて質問しました」


 「ほぉ~良い質問だな。1組につき8問出題と決まっている。そして、残っているクラスの人間がいれば残っているクラスに1点づつ入る。1年3組は一人多いが、まぁそこはせっかく参加してくれたのだから1年3組が2人出場して2人残れば2点としよう。そして最後に、全8問の前に――例えば6問目が終了した時点で残りが一人となればそこで終了だ。こんな所だがどうだ?」


 ふむ、中々話が分かる先生だ。それに説明も分かり易い。


 「ありがとうございます。僕にもう疑問はありません。他のクラスの方はどうですか?」


 俺は他のクラスの人たちの方を見る。


 「「「「いいえ!問題ありません!!」」」」


 残りの4人が声を揃えて言う。


 「ククク、質問は無さそうだな。それでは、開始するぞ。第一問、開黎高校初代校長の名前は甲斐田源蔵である。〇か✕かどちらだ?」


 はぁ?んなもん知るかよ。ってか誰も動かないし……


 「さぁ、残り時間は6秒だぞ?」


 初代だろ?名前からして男だよな?昔なら男の校長はあり得るけど、源蔵だぞ?昭和とか大正とかっぽい名前だろ?流石にそこまでの歴史は無いだろうし✕だ。


 俺は✕に移動した。○が2人、✕が3人だ。


 「正解は――✕だ。初代校長の名は甲斐田雄二だ。○を選んだ二人はクラスの者がいる場所に移動しなさい」


 ○を選んだ2人はトボトボと歩いて行く。その足取りは重そうだ。まぁ、取り敢えず1問目で脱落しなかったし、十分だろ?


 「続いて第2問、開黎高校の校則は2138年に見直しがあった。〇か✕かどちらだ?」


 はぁ?また細かい問題だなぁ……やっぱ誰もすぐに動けねぇよ。


 「あと5秒」


 ここは2分の1に賭ける。俺は✕に移動した。あっ、全員✕だ。


 「正解は✕だ。開黎高校の校則は2160年に共学校になった際に見直し改正があったのが最後だ。2138年に見直しも改正も無かった。では、続いて第3問だ。開黎高校の提携校に聖アリア女学園(正式名称は後ろに高等学校が付く)があるが、提携した年は2142年である。〇か✕かどちらだ?」


 クソが!!さっきから細かい問題ばっか出しやがって!!『提携してるか?〇か✕かどちらだ?』で良いじゃねぇか!!


 「あと5秒」


 提携してるのは間違いないんだろ?なら、○か?流石に3問連続✕はないよな?○だ。


 俺は○に移動した。えっ!?俺だけ!?


 「正解は――✕だ。提携した年は2143年だ。という訳で、○を選んだ者はクラスの者がいる場所に戻りなさい」


 ふぅ~まぁ、まずまずだろ。


 「いや~3人いて自分だけ脱落してしまいました。面目ない」


 そうは思っても表情には出さず、申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。


 「そんな、気にしないで下さい。中々に意地が悪い問題でしたから……」


 京條さんが苦笑しながら言う。


 「そうそう、あんな細かい問題分からなくて当然だよ。ぶっちゃけ運だよね~?2分の1を当てられるかだよ」


 右田さんがうぇ~と苦いものでも食べたような顔で言う。


 「市原君は健闘しました。あとは私たちに任せて下さい」


 宇津野さんが頼もしい事を言ってくれる。


 「市原君、お疲れ様でした。私は2問目で駄目でした。市原君は私より凄いですよ」


 友永さんが噓かホントかは分からないが、慰めてくれる。


 「次は私が出場します。市原君の仇は私が取ります」


 次の出場者に決まったらしい月坂さんがフンスと言う効果音が聞こえそうな顔で言う。


 「皆さん、ありがとうございます。見てる分には良いんですよ。見てる分には……」


 俺がそう言うと全員が曖昧そうに笑った。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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