表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/238

49話

 答え当てゲームは散々だった。俺は全員に当てられたのに、逆に俺は全員のを当てられなかった。


 答え当てゲームの後は休憩と着替えの時間だった。次はレクレーションの時間だからだ。


 レクレーションはバレーボールを皆で打って回して100回を目指すってものだった。俺さ、バレーはした事ないから、レシーブって言うの?ボールを返す時の腕の組み方から教えて貰ったのよ。


 ウチのクラスは72回だった。他のクラスも似たり寄ったりで100回いった所は無かった様だ。


 そして、レクが終わって着替えて夕食の準備だ。ここからが俺の見せ場な訳よ。


 「懐かしいなぁ」


 周りにはバレないように小声で言った。


 学校の宿泊研修で夕食の準備って言ったらキャンプ場みたいな所での調理だと思うだろう?


 開黎高校は一学年の人数が少ないからか、夕食の準備は研修宿泊施設の厨房を使用するのだ。


 150年経ったとは言え厨房はそこまで代わり映えしない。だから懐かしいなぁと思ったのだ。ちなみに俺の服装だが、濡れたり汚れたりしても良い服の上にエプロンとバンダナをしている。エプロンとバンダナが無いと違和感があるのだ。衛生的にも良いしな。


 「夕食のメニューってやっぱりカレーなんですかね?」


 「だと思いますよ。定番中の定番ですし、難しくもないですしね」


 俺は宇津野さんに話し掛けて宇津野さんが答えてくれた。


 「待って。初日カレーだと二日目はどうするの?」


 俺達のやり取りを聞いていた右田さんがそんな事を言う。言葉遣いが若干フランクになってるんだよなぁ……これが研修の効果か。


 「カレーは二日目が美味しいと言いますけど、衛生面が気になります。春ではありますけど暖かいですし……」


 友永さんが言いにくそうに言った。


 「じゃあカレーは無いか」


 右田さんがあっけらかんと言う。


 「大人しく待ちませんか?そろそろ先生方も来られるでしょうし……」


 京條さんが俺たちのやり取りに苦笑しながら言う。


 「え~千夏っちゃんは気にならないの~?」


 右田さん、京條さんを千夏っちゃんって……流石陽キャだと言わざるを得ない。


 「気にはなりますが、直ぐに答えが分かる事ですから。それと、千夏っちゃんって……」


 キマシタワーー!!口ではそんな事を言いつつ、嬉しそうだぞ千夏っちゃん。尊いのぉ~


 「あっ!先生たち来た。行ってきます」


 月坂さんが先生たちの下に行く。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「ええっ!?メニュー無いの!?」


 右田さんが驚いた声を出す。かく言う俺も驚いた。


 「材料はかなり用意しているので各クラス毎好きなメニューを作りなさいと……」


 月坂さんも戸惑った声で言う。


 あ~こりゃあ俺の所為かもな。好き嫌いとかあるからそれで俺の機嫌を損ねたら困るから自分達で好きなものを作って貰おう……的なものが発動したのかもな。真清田先生の前で料理出来るって言ってたしな俺……


 「取り敢えず材料を見に行きませんか?何があるのか確認しないとメニューを決められないでしょうから……」


 「市原君の言う通りですね。皆さん行きましょう」


 宇津野さんが俺の援護をしてくれた。


 「確かにいっぱいあるけどさぁ……」


 右田さんが困惑した声を出す。


 「流石に俺もプレハブなのは驚いたわ……」


 そう、何故か飲食店にある様な部屋型の冷蔵庫(プレハブ冷蔵庫)があったのだ。


 「寒いですね」


 「扉を閉めて材料を探さないと部屋の温度が下がるから気を付けて下さい」


 夏なんかはちょっと出入りするだけで平気で2、3度温度が上がるからなぁ……今は春だけど。


 「市原君、詳しいんですね」


 月坂さんが意外だと言う様に言う。


 「いえいえ、大きさが違うだけで家の冷蔵庫と一緒ですよ。扉を開けたままにはしないでしょう?」


 危ねぇ~けど、今のは良い返しだろう。


 「材料があるのは分かりましたが、多すぎるのも困りますね」


 京條さんが困った様に言う。


 「提案なんですが、取り敢えず今日は各々自分の分だけ調理するという事にしませんか?好き嫌いやアレルギー等もありますから……」


 用意されたものを調理するなら文句のつけようも無いが、好きなものを作ってとなると、最悪喧嘩になるだろう。それならば、各々好きなものを作った方が良い。


 そんな俺の発言に全員が顔を見回す。


 「私たちはそれでも良いけど、市原君は良いの?」


 おっ?右田さんは俺が料理を出来ると言った事を信じていない様だな。どうせカップ麵とかレンジでチンレベルだと思っているんだろう。失敬だな。


 「勿論です。でも、俺が作った料理を右田さんにはあげませんよ?」


 ちょっとした仕返しでおどけて言う。


 「むぅ~」


 右田さんが唇をすぼめて言う。


 「それじゃあ、今日は各自で夕食を準備するという事で良いですね?」


 京條さんの言葉に全員が頷く。


 「それでは、一旦ここで解散としましょう」


 月坂さんの言葉で全員が動き始めた。


 さぁ~て、俺は何を作りましょうかねぇ~

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ