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48話

 夏野先生との研修という名の質疑応答が終わると、昼食だった。


 昼食は食堂でトレイにご飯やおかずを取っていくシステムだった。普通においしかったよ。


 で、13時からの研修だが、クラスごとに小さな研修室に分かれた。


 そして――


 「答え当てゲーム?」


 「はい。お題のカードがあるのでそれを引いてお題の中のモノを思い浮かべます。10回質問して相手の答えが何なのか当てるというものです」


 宇津野さんに説明されたが、それってアキ○ー○ーじゃねぇ?あとは、天才たちの恋愛頭脳バトルであった20の質問だよな?


 なるほど、この時間はゲームって言っちゃてるしコミュニケーションを取らせる事で仲を深めさせるのが目的って事だな。


 「それじゃあ誰と誰の組み合わせからやる?」


 「一通り全員とはする事になると思うから、取り敢えずグッパで分けるのはどうでしょう?」


 右田さんの声に月坂さんが答える。


 グッパ残ってたんだな……丁度6人だからグーとパーとチョキで2人ずつになるな。


 その結果、俺と京條さん、宇津野さんと友永さん、右田さんと月坂さんとなった。


 「京條さん、よろしくお願いします」


 「こちらこそよろしくお願いします」


 「京條さん、お題のカードを引いてくれますか?」


 「分かりました。お題は――動物です。市原君、先に動物を思い浮かべて下さい」


 「OK――うん。決めました。質問、どうぞ」


 俺が思い浮かべたのは……コモドドラゴンだ。


 「それでは、いきます。それは市原君が飼っているペットですか?」


 ほほう!いきなりナイスな質問だ。パクらせて貰おう。


 「いいえ」


 「では…それは猫より大きいですか?」


 うん?大きさの質問は分かるが何で猫が基準なんだ?


 「はい」


 「それは毛がありますか?」


 「毛?」


 えっ!?コモドドラゴンって毛あったっけ?こんな事なら簡単な動物にしときゃあ良かった……多分ないよな。


 「いいえ」


 「それは水中にいますか?」


 ふむふむ。これも良い質問だ。パクろう。えっ!?コモドドラゴンって泳げるだろうけど、基本は陸上だよな?


 「いいえ」


 「そうですか……それは今現在実在していますか?」


 「っっ!?はい」


 なるほど……動物だから絶滅したヤツの可能性もあるのか。これもパクろう。


 「それは足が4本ありますか?」


 「はい」


 うえっ!?マジか……


 「それは大きな耳を持っていますか?」


 「いいえ」


 なるほど……ゾウだと思ったのか?


 「それは肉食動物ですか?」


 「はい」


 ヤバい!?まだ8問目だぞ。あと2問あるってのに近づいてるぞ。


 「それは爬虫類ですか?」


 「はい」


 怖ぇよ!!ほぼ絞り込んでるじゃねぇか!!


 「それは水中によくいますか?」


 「いいえ」


 あれ?また水中の質問だ。何で?もう分かってたんじゃないのか?


 「先程の質問で10問でした」


 「答え分かりました?」


 「絞り込めたとは思いますが、いくつか迷ってものがあります。決めました。答えは――コモドドラゴンです」


 「っっ!?凄っ!!凄いよ京條さん!!」


 我ながら面倒な動物を選んだものだがホント良く当てたよ。


 「市原君って意地悪なんですね」


 京條さんが苦笑しながら言う。


 「いや、どうせやるなら本気でって思ったので。だけど、正直後悔したんですよ。毛がありますか?とか水中にいますか?とかの質問はえっ!?って思って……」


 「あぁ…それで一瞬困った表情をされたんですね」


 また苦笑された。


 「それじゃあ攻守交代で今度は京條さんが動物を思い浮かべてくれますか?」


 「はい――思い浮かべました。質問をどうぞ」


 よーし吉幾三!!取り敢えずパクろうと思ったペットのヤツからだな。


 「それは家にいるような動物ですか?」


 ペットですか?はまんまだから表現を変えたんだぜ。


 「いいえ」


 次は水中かどうかにするか。


 「それは水中にいますか?」


 「はい」


 おぉ!!ペットじゃなくて水中にいる動物に絞り込めたぞ。これはデカい。で、水中にいる動物だろ?それなら、こんな質問が良い気がするな。


 「それは足がありますか?」


 「はい」


 足があるって事は魚の可能性は消せるな。次は重さの質問にするか。


 「それは子供より軽いですか?」


 「いいえ」


 違うって事はデカいのか?まぁ良いや。そろそろあの質問いくか。


 「それは現在、実在していますか?」


 「はい」


 あぁ……やっちまったぜ。150年経ってるんだよな?絶滅してるのか生き残ってるのかとか分からんぞ……


 「それに毛はありますか?」


 それっぽい質問で誤魔化して近いのを当てにいくしかない。


 「はい」


 う~ん……分からん。


 「それは氷の上によくいますか?」


 絞り込む為の質問だ。


 「いいえ」


 「それは危険な動物ですか?」


 絞り込む為にもいる質問だと思う。


 「いいえ」


 「それは海にいますか?」


 これも絞り込む為の質問だ。


 「はい」


 最後だな。


 「それは潮を吹きますか?」


 クジラかな?と思ったんだが、どうだ?


 「いいえ」


 はいオワタ。オワタよ。


 「京條さんの気持ちが何と無く分かりました。何個かこれかな?みたいなのは思い付いたんですが、確証が……」


 「さぁ市原君、答えをどうぞ」


 えぇ……どうしようか?ええい、やっちゃえ!バー○ー○ー!!


 「マナティ?」


 俺に対抗して難しい動物だと思ったんだ。


 「惜しいです。ジュゴンです」


 「あぁ、ホントに惜しい。寧ろ惜しいだけに悔しい。全然違ってたら笑えてたのに……」


 コレ意外に面白いな。それに、はいかいいえを答えるんだから相手とコミュニケーションは絶対取るし良いゲームだな。

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