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47話

 「先生、次の質問宜しいですか?」


 まだまだ時間はあるので質問を続行する。


 「構いませんよ。どうぞ」


 「ありがとうございます。それでは、女子がこの開黎高校を受験する理由は何でしょうか?共学校を受験する理由とも言えるでしょうか?」


 「なるほど……質問の意図は理解しました。その上で逆に質問します。市原君は何故だと思いますか?」


 質問の仕方が悪いかと思ったが伝わって良かった。質問に質問で返されるのは驚いたが。


 「一部の小中以外は基本的には男子と女子で分かれていてそこに競争はありませんでしたが、高校からは男子校では受験が行われるようになりました。そこからあぶれた男子が共学校に通う事になる。その男子生徒と接点を持ちたかったからと言うのが僕の答えです」


 俺は先生に答える。


 「ほぼ満点の解答です。それなのに市原君は何が気になっているのでしょう?」


 先生が怪訝そうな顔で俺を見ながら言う。


 「何と言うかですね……偏差値が高い所なら女子高にもあるでしょうし、それこそ偏差値が低い共学校はたくさんあるでしょう。なのに、開黎高校と言う偏差値が高い共学校を敢えて選ぶ理由が知りたいと言う事です」


 「それは受験者によります。家から近いからとか親が開黎高校に通っていたからとか様々あると思いますが……そういう答えを求めている訳ではないですよね?」


 先生がいたずらっぽい表情で俺を見ながら言う。


 「勿論、そういう理由もあるのでしょうけど、他にもあると思うんです。それが気になっているんです」


 これは勘だけど、合計30人しか通らないんだぜ?普通は中々選べねぇよ。増してや開黎高校を受験するって事は偏差値が高くて受かる可能性がある人達だろうからな。別の共学校とか女子校でも良い訳だよ。なのに、狭き門の開黎高校を受験するんだから何かしらがあると思った訳だ。


 「市原君は鋭いですよ。開黎高校が他の共学校と違うのは一クラス当たりの人数が少ない事と一クラスに一人必ず男子生徒がいる事です」


 少数精鋭ってのは理由があっての事だったんだな。


 「え~と、他の共学校では男子が必ずしもクラスにはいないんですか?」


 「いない場合が多いです。と言うのも男子生徒への配慮で男子生徒は一つのクラスに固められるからです。なので、定期考査等の成績によって進級時にクラス替えが行われます。高校に入学してからも競争がある訳です」


 あ~それは男女の貞操観念逆転系の小説で見た事あるシステムだわ。


 「それに、一クラスが30人前後なんです。そこに男子生徒が2、3人いるのが大体の共学校です。しかも5クラス位あります。なので、男子のいるクラスになる為に学年30位以内にならないといけないですし、仮にそのクラスになれてもライバルが30人いる訳です。かなり大変です。でも、開黎高校(ウチ)だったら?と言う事です」


 なるほどな。開黎高校と言う狭き門を目指す理由にはなる訳だ。


 「ですけど、それって開黎高校を目指す理由ですよね?共学校に通う理由ではないですよね?だって、無理して開黎高校に入らず他の所でトップを目指すと言う人もいると思うんですよ」


 「共学校に通う理由は先程市原君が言いましたよ?男子生徒と接点を持つ為と……それに、市原君が開黎高校(ウチ)に来た理由を真清田先生に聞きました。それが答えなんですよ」


 なるほどなぁ……そういう事だったのか。


 「僕が最初に婚姻の質問をした時に先生がこの研修と無関係ではないと言った事、繋がりました。どうやって男性が婚姻するのか……家族からの紹介と言っていましたが、男性が共学校に通っていた場合は家族が同じ共学校に通っていた女子生徒の中から選ぶと言う事ですね?」


 「その通りです。共学校に通う理由は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という所でしょうか」


 全員が全員そうとは限らないが、男性の家族の親戚に適当な人がいなかったらどうするか?共学校に通っていた場合は同じ学校に通っていたという縁から探すんじゃないだろうか?


 「開黎高校の場合、最低5人、最高でも30人(同じ学年で考えた場合)だから他の共学校と比べても圧倒的にライバルが少ない。その上、偏差値も高いから大学や専門学校や就職にも有利だから仮に同じクラスの男子生徒に婚姻相手として選ばれなかったとしても他の男性の婚姻相手に選ばれる可能性も上がる訳か……一石何鳥になるんだ?」


 よく考えられたシステムだわ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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