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44話

 「それでは、只今より宿泊研修開始式を始めます。まずは学年主任よりお話があります。学年主任、お願いします」


 4月10日、いきなり宿泊研修開始式じゃないかって?


 バス移動の最中の話なんてしてもしょうがないでしょう?


 まぁ、バスに乗る時に男の俺がいると他クラスの女子たちがキャアキャア言ってたし、ウチのクラスの女子は俺の男性警護者の嵯峨根さんと太刀川さんを見て凄い驚いてたが、特筆すべきはそれ位だ。


 「以上で私からの話は以上です」


 学年主任の話が終わった様だ。


 「ありがとうございます。続いては研修宿泊施設の施設長より挨拶と諸注意があります」


 


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「それでは宿泊研修開始式を終了します。これから、皆さんの宿泊する部屋に移動して貰います。その後、荷物を置いたりトイレに行ったり少し休憩をして研修の準備をして10時50分からの第一回目の研修に望んで下さい。それでは各クラスの先生、よろしくお願いします」


 「1年3組の女子生徒は私が部屋に案内します。市原君と男性警護者のお二人は夏野先生が案内してくれます。それから、第一回目の研修ですが、研修室がありますのでそこで行われます。私からは以上です。夏野先生、何かありますか?」


 真清田先生が夏野先生に話を振る。


 「私からは一点だけあります。皆さんの部屋に案内する前に真清田先生や私が宿泊する部屋に先に案内します。何か困った事があれば真清田先生か私の部屋に来て下さい。私からは以上です」


 夏野先生が真清田先生の方を見る。


 「夏野先生、ありがとうございます。そういう事なので先に私や夏野先生の部屋に移動します。ついて来て下さい」


 そう言って真清田先生は移動を開始する。


 「嵯峨根さん、拙は施設内を見回りたいと思います。後程合流します」


 「分かりましたわ。こちらは任せて下さいまし」


 二人は小声でやり取りする。まぁ、確かに先生たちの前で施設を調べるなんて言うのは信じてないと取られて不愉快に思われるかもしれないし、小声でのやり取りは正解だろう。


 「荷物は俺が預かります」


 「いえ、拙が持ったままの方が良いでしょう。何も持っていないのにフラフラするのは怪しまれます」


 なるほど……そういうものか。


 「分かりました。よろしくお願いします」


 ここで太刀川さんとは一旦別行動となった。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「市原君、この後の研修について話があります」


 夏野先生の案内で俺と嵯峨根さんと太刀川さんが宿泊する部屋に向かっている最中に話を切り出された。


 「研修についてですか?」


 「はい。第一回目の研修では授業や定期考査などについての話があるのですが、市原君は男子生徒ですからあまり関係のない話もあります。なので、昼食まで部屋で休んではどうですか?」


 なるほどな。入学試験で男子生徒は学力は問わないと言う条件だったのだから、俺に成績は関係ないって事なんだろう。


 「ご提案ありがとうございます。ですが、もし夏野先生さえ良ければなんですが…男子生徒向けの研修をして頂けないでしょうか?」


 「男子生徒向けの研修ですか?」


 俺からの提案に不安そうに言う。


 「あくまでそういう体でって言う事です。先生もご存知だと思いますが、僕は記憶喪失ですので常識知らずの世間知らずです。なので、先生に気になっている事を質問して答えを頂けたらなぁと……」


 「なるほど。そう言う事でしたら構いませんよ。研修室の近くに小さな別の研修室がありますので、そちらで行いましょう。真清田先生にも伝えておきます。それと、ここが市原君たちの部屋です」


 丁度部屋に着いた様だ。


 「鍵はこれですね。二つあります。両方渡しておきますね」


 夏野先生から鍵を預かる。


 「それでは私はこれで――」


 「少々お待ちくださいまし」


 去ろうとした先生の言葉を遮って嵯峨根さんが先生を引き留めた。


 「な、何でしょうか?」


 嵯峨根さんに突然声を掛けられビクッと先生は反応した。


 「春人さんが仰っていた男子生徒向けの研修についてです。まさかとは思いますが、春人さんと先生の二人きりと言う事はありませんか?」


 えぇ……何を言うのかと思ったらソレ?まぁ、男性警護者としては懸念事項なのは当然と言えば当然か。


 「男性警護者としては当然の質問ですね。男性警護者の方も参加下さると助かります。あらぬ疑いを持たれるのは私も嫌ですから……」


 「では、私か太刀川さん、どちらかが参加させてもらいますわ」


 嵯峨根さんは、先生の嫌みが混じった言葉にも全然反応せず言葉を返した。


 「先生の言う通りですね。僕と二人きりで何も疚しい事が無くとも下種な勘繰りをする者は出てくるでしょう。その時に、()()()()()()()が証人となってくれれば疑いは晴れるでしょう」


 どこにでもいるからなそういう輩は……それに、開黎高校では派閥闘争があるみたいだし用心するに越した事は無いだろう。特に被害者の男子生徒の男性警護者が何も疚しい事なかったと言えば信じて貰えるだろう。


 まぁ、先生は自分がそんな事をすると疑われた事が気に入らなかったのだろうけど……


 「そうですね。では、10時40分頃にまたこちらの部屋に迎えに来ます」


 「いいえ、僕が10時45分頃に研修室の前に行きそこで先生を待ちます」


 「では、市原君の言葉に甘えましょう」

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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