36話
4月6日、今日は開黎高校の入学式だ。
えっ?いきなり一か月近く時間が飛んでる?申し訳ない。その辺の事はダイジェストで説明させて貰う。
まず、入学式だなんて言うのだから開黎高校への入学は選考無しに認められた。病院の診断書を見て問題なしと判断をしたからだろうと思う。
そこから一度開黎高校に行って男性の扱いについてとか男性警護者は授業中どうするのかとかの話を聞きに行った。
その時に俺は基本的には週5で毎日通いたいと言った。俺の警護は基本的には一人で日替わりで俺の警護をして貰う。通学方法は車での登校となる。運転は嵯峨根さんも太刀川さんもどちらも出来るそうだ。
そして、それらの説明をすると教員が急に涙を流したのにはビビった。これまでの男子生徒は週一ではなく月一の最低限の登校さえ理由を付けて来ないので、実際の所は半年に一回来るか来ないかレベルらしい。
それって出席日数足りなくて留年になるんじゃねぇ?って思ったのだが、開黎高校が男子生徒を留年させたなんて話が広まれば男子の受験者が来なくなる。そうして今年度は男子生徒がいないなんて事態になれば今度は女性の受験者にまで影響が出る。共学校で尚且つ高偏差値を謳っているから優秀な女性の受験者が集まってくるのに、そのブランドが崩れればその結果はお察しだ。
そんな中で俺が真面目に週5で通うつもりな所を見せれば……涙が出たのは不思議ではないかもしれない。
あと、俺が授業中、男性警護者をどうするかっていう問題だが、俺としては一旦家に帰って貰って学校が終わる時間にまた迎えに来てくれれば良いと言ったのだが、嵯峨根さんも太刀川さんも待機室があるのでそこで待機すると言ってどうしても譲らなかったので、そこは俺が根負けした。
嵯峨根さんと太刀川さんとの正式な契約についてだが、3月中に家への引っ越しを済ませて、4月1日から住み込み、経費はこちら持ちを条件にして月15万円と言う条件で成立した。S級二人を雇うという事なので報酬は月50万円を提示したのだが、警護に掛かる経費や食費や家賃や水道光熱費等が浮く事と住み込みと言う条件を考えれば月15万円で十分だと頑なに言われた。
そもそも警護対象者が男性警護者の住み込みを許す事はまずあり得ない事なので、警護対象者に住み込みと言うかなり厳しい条件でも警護して貰いたいと思わせる凄腕とか警護対象者からの信頼が篤いと言う箔――実績になる非常に名誉な事らしい。あなた方は男性警護者の中でも有名だし、そもそもS級なんだからこれ以上箔とか実績とか要らないでしょう?なんて野暮な事は言わない。非常にありがたい事だ。
あとは…そうだ!!レンタル警護対象者についてだが、こちらも正式に番場さんと契約を交わした。内容としては俺の都合の良い日を2日前までに伝える。当日、あらかじめ募集をしていたフリーの男性警護者の中から番場さんが選んだ人に一日実際に俺の外出の警護をして貰うと言うものだ。報酬は契約金2000万円で、一日につき100万円となった。
契約金って何?ってなったと思うけど、要は番場さんがいる人材派遣サービスの支部でしかレンタル警護対象者をしないでねって言う独占契約の契約金って事らしい。金額次第では羽立さんの警備会社に話を持っていくって言ったのがよっぽど効いた様だ。
契約金も一日の報酬も金額を吊り上げる事も出来たけど、そこはやり過ぎて恨みを買うのを避けたかったし、何よりこちらの都合を最優先するとさせて貰ったのでこちらも譲歩したという面がある。
つまり、極端な事を言えば一年に一回でも良いのだ。勿論、嵯峨根さんと太刀川さんに支払う報酬の事があるので稼がないといけないからそんな極端な事はしないが、要は週一とか月一とかの義務は無いという事だ。逆に言えば長期休みに毎日とかする事も出来る訳だ。
なんて事を回想していると――
「春人さん、開黎高校に到着しましたわ」
嵯峨根さんから声が掛かった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。