25話
「取り敢えず世の男性の常識と違う事をした時で尚且つ危険かもしれないと思った時にお二人に指摘して貰うと言う事でどうでしょう?」
「勿論ですわ」
「拙もそれで良いと思います」
「それでは、今日これから向かいたい場所についての話からですね。初日ですしね……スーパーでどうでしょう?」
「??スーパーとは食品とか日用品を取り扱っているスーパーマーケットの事ですの?」
発言したのは嵯峨根さんだが、太刀川さんも同意だと言う様にうんうんと頷いていた。
「その通りです。今日はスーパーで買い物をして夕飯を作るつもりなんです」
前世で飲食店で働いていたので料理が出来ないという事はない。勿論、何でも作れるという訳ではなく俺が働いていたのは某中華チェーンなので中華中心だ。
そも、病院から退院してから俺としては仕事で忙しい母さんに夕食の準備をさせるのは忍びないと思い俺が夕食の準備をするつもりだったのだが、今日まで許可が下りなかったのだ。なので、今日はスーパーに行って自分で品物を見て夕食を作るつもりだ。
そうは言っても平行世界の150年経っているこの世界なので知ってるメーカーがあるかもしくは残っているかとか値段はどのくらい違うだろうかとか気になる点は多々あるが取り敢えず実際に行って見てみたい。
「春人さんが今日の夕食を作るのですか?」
「あ~母さんに初めてのお使いを頼まれたと思っていた訳ですか……違いますよ。今日は実際にスーパーに行って自分で値段を見て品物を選びたいと思っています」
「春人さんがわざわざ足を運ぶ意味はあるんですの?ネットスーパーを使うと言うのではダメなんですの?」
へぇ~上流階級のお嬢様なのに随分と的を射た指摘をするなぁ……
「勿論、それも考えました。しかし、自分としては自分が住んでいる地域の品物の値段を知りたいんですよ。それと、値段やメーカー等を見て品揃えを見たり比較検討をしたいと言うのもあります」
都会と田舎では同じ品なのに値段が違うなんて言う事はざらにある。自分が住んでいる近隣のスーパーを回って大体どれくらいの値段なのか調査するのは基本中の基本だろう。それと、あっちのスーパーにはあってこっちのスーパーには無い商品とかもある。同じ系列なのに近くの店舗には無いのにちょっと遠い店舗にはあるとかもな……
あと、ネットスーパーだと決まった商品の中からしか選べないと言う欠点がある。当然、そんな欠点なんか吹き飛ぶような基本的には何処でも配達してくれると言うメリットがあるが……
「お待ちになって…何軒も回ると言う様に聞こえたのですわ」
「今日は母さんに聞いた近くの安いスーパーだけで良いです。勿論、目当ての商品が無ければ別のスーパーに行く事になりますけど……」
「拙は春人さんが何を作るのか気になるのですが……」
太刀川さんがそんな事を言う。
「中華ですね。回鍋肉、マーボー豆腐、トリチリ、チンジャオロース、ムーシーロー、ニラ肉ですかね?まぁ、スーパーに行って品を見てからメニューを変えるという事もあり得ます」
「ほ、本格的ですわ……」
「ムーシーロー?と言うのは拙は聞いた事がないのですが……」
「あぁ、ムーシーローと言うのは肉と卵を炒りつけたものですね。それで、どうでしょう?初日なので難易度が高くなさそうなスーパーにと思ったのですが……」
俺的には行く気満々だが、反対されるのならばその意見を聞いて場所を変えるのはやむを得ないとも思っている。
「人が多くは無いと予想出来ますから悪く無いと思いますわ。太刀川さんは如何ですの?」
「拙も良いと思います。少し遠いですが男性専用の大型複合施設があった筈ですので……」
うん?嵯峨根さんはともかく太刀川さんは何を言っているんだ?
「少し遠い男性専用の大型複合施設?何でそんな所に行くんですか?近くのスーパーで良いじゃないですか?あと、そこってスーパーじゃないですよね?」
それってショッピングモールの事ではないか?ショッピングモールをスーパーと言う人はあまりいないんじゃないか?そりゃあ食品売り場もあるけどさ……
「まさかとは思うのですが……男性専用の施設に行くのではありませんの?」
嵯峨根さんがフルフルと体を震わせながら言う。
「??男性専用のスーパーとかあるんですか?まぁ、そこでも良いですけど遠いのはマイナスですね。学校帰り――放課後にスーパーに寄って買い物して帰る事を考えると断然近い所が良いです」
「嵯峨根さん、拙たちはとんでもない思い違いをしていたのでは?」
「言わないで欲しいですわ。私も今その事に気付きましたの」
嵯峨根さんと太刀川さんが何故か疲れ切った雰囲気を出す。おいおい、まだ家も出ていないってのに……
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