21話
今日は2月27日だ。
一日経っているじゃないかって?昨日は番場さんが連絡を終えて戻って来て、翌日に人材派遣サービスで会うと言う話になった。時間はこちらで決めて良いらしいので午前10時と言った。
最初、母さんは仕事だし別の日にと提案したが、向こうは翌日でなければ会わないと言ったらしい。
この時点で普通の男性ならキレて話はお終いだっただろう。何故勝手に日取りを決めるのかと……
最初からこちらの反応を見るのと同時に試してもいるのだろう。S級で名の知れた相手だからこそ出来る事でもある。向こうからの試験でもあるのかな?自分たちを雇いたいんだろう?その位の要求も飲めないなら会う価値すらないと強気なんだよねぇ~面倒臭い相手だよホント……
ただ、一個気になる事があるんだよなぁ~何で二人共同じ日に会う事になったのか?
そりゃあ同じ日の方がこちらとしては有難いが何となく引っ掛かる。
「おはよう春人君、準備は出来てるか?」
今日は母さんの代わりに羽立さんが付き添ってくれる事になった。料金が発生しないか気が気でなかったが、一応まだ俺の男性警護者が決まった訳ではないので羽立さんの案件として今日同席する事は問題なく料金も発生しないそうだ。助かる……
「はい、直ぐに出られます。今日はよろしくお願いします。あと、その話し方って事は母さんの友人の羽立さんって事で良いですか?」
「おっ!?良いね良いね。そのカンジでS級二人の度肝をぶち抜いてやれ」
「いえいえ、普通に話をするだけですから……」
面倒事にするつもりは基本的には無い。一応羽立さんとか番場さんの顔を立てて会って話をするだけのつもりだ。現時点では雇いたいとはこれっぽっちも思っていない。
お金の問題は?と思われたかもしれないが、昨日ある秘策を思い付いたんだよねぇ~
だから、俺が無理をして迄――己の矜持を曲げて迄、S級二人を雇うつもりは無い。
なんて事を考えていると到着した様だ。昨日と同じく裏口?から入る。
「お待ちしてました市原さん、既に嵯峨根さんと太刀川さんは部屋で待機しています。直ぐにご案内しましょうか?」
入り口近くで番場さんが待ってくれていた。
「二人一緒に会うんですか?別々じゃなく?」
「はい。別々に会うより一回で終わる方が良いだろうとの事で……」
あぁ…板挟みな訳だ。俺は一応男だから無体な事は出来ないし、かと言って相手は只のS級じゃなくて上流階級出身だったり男性警護者一族の人間だったりで忖度とか繋がりとか色々あるんだろうなぁ。
「そうですね……それはこちらにとっても渡りに船ですね。案内をお願い出来ますか?」
「ありがとうございます。こちらです」
心の底からのありがとうって伝わるもんなんだよなぁ……
それじゃあまぁ、S級二人とのご対面だ。
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