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203話

 「春人氏の話の前にこれを書いて貰いたいのでござるよ」


 凛音がある紙を皆に見せた。


 「守秘義務誓約書?」


 右田さんが不審そうな声を出した。


 「輪廻転生、これはどういう事ですか?」


 友永さんが険しい表情を浮かべながら凛音に言う。と言うか、輪廻転生って言うのは渾名(あだな)か?


 「どういう事も何もないでござる。この紙に署名を貰えないのであれば話を聞かせる訳にはいかないでござるよ」


 やり過ぎじゃねぇ?と思わないでもないが、実際情報流失の懸念を考えれば署名を貰った方が安心は安心である。まぁ、守秘義務誓約書に同意して署名していても情報を流す奴もいるにはいるがな……


 「月坂さん、その守秘義務誓約書に署名をするつもりが無い場合、帰っても問題無いのかしら?」


 夏野先生は慌てる事無く凛音に尋ねた。


 「勿論でござる。なので、全員が署名する気が無いならこれでお開きでござるよ」


 俺としてはその方が良いんだけどな。


 「市原君は……私たち全員に署名をして貰って話を聞いて欲しいと考えているのでしょうか?」


 宇津野さんの質問に全員の視線が俺に集まる。


 「僕は皆さんのご意思に任せます。ここでどちらの答えを言っても強制になりかねませんから……」


 俺が巻き込みたくないから署名はしないで欲しいと言えば、全員そうするだろう。だが、それは止めて欲しいと凛音に事前に言われている。あくまで自分たちの意思で選ばせるべきだと……


 「私もしつも~ん♪何で私たちなの?確かにクラスメートと先生だから人となりを知っていて信頼できるって判断したんだろうけど……それだけ?」


 右田さんが凛音に鋭い質問をした。そして、その発言によって他の皆の表情も変わった。


 「流石はアリス氏ですな…勿論それだけではないでござる。拙者、春人氏は責任を取るべきだと思ったからでござるよ」


 「責任?」


 友永さんが首を傾げながら尋ねる。


 「春人氏は我ら1年3組の唯一の男子でござった。しかし、自主退学した故に我がクラスに男子はおらず新たに男子が来ると言う事もないでござる。それに、他クラスや他学年からのざまぁみろとでも言う様な陰口だったりは正直中々クルものがあるのでござる」


 「えっ?マジで?」


 まぁ、俺がいなくなった後の事だから俺が知らないのは当然なのだが、まさかそんな事になっているとは思わなかったな。


 「えぇ、市原君が宿泊研修に参加した時から私たちのクラスは注目されやっかみの対象でした。なので、市原君が自主退学した後はそれはもう色々な事を言われましたよ。まぁ、他のクラスの男子生徒はそもそも一度も登校していないのですが……それがまた燃料になっているのでしょう」


 宇津野さんが淡々と凛音の言う通りだと補足説明する。


 いやでも、もう8月だぜ?なのに一度も?男子生徒は一か月に一回は登校義務があると聞いていたが、実際は半年や一年に一回らしいからそれで言うならまぁ…おかしくはないのか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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