20話
引き続き日間現実世界〔恋愛〕 BEST100にランクインしています。ここ数日は10位前後をキープしています。更に日間 総合BEST300の方も200位後半をキープしています。
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「太刀川愛莉――太刀川家は男性警護者を数多く輩出している男性警護者一家と言える。そんな男性警護者一家の人間が男性警護者の道に進む事は至極当然なのだが……一人目の嵯峨根幸那とは違い警護対象者からの評価は低い。理由は嵯峨根幸那の武器を用いない古武術と違い、名字の通り太刀を使う故に警護対象者に恐れられているからだ」
「ちょっ!?ちょっと待ってください!!太刀を使う!?銃刀法はどうなってるんです?」
「男性警護者に限っては銃刀法は適用されない。勿論、警護中と言うか仕事中に限っての話だがな。だからこそ狭き門の上での国家資格なのだ」
えぇ!?マジかよ……
「続けるぞ。そんな警護対象者からの評価が低い彼女が何故S級に昇級出来たのか?実績と実戦試験の評価だ……誰にも文句を言わせないだけのな」
思わずゴクリと生唾を飲んだ。実戦試験は試験官を圧倒したとかだろうけど、誰にも文句を言わせないだけの実績って何だよ?
「その〜誰にも文句を言わせないだけの実績と言うのは?」
気になったので聞いてみた。
「一番有名なのはやはり彼女の名と異名が広まるきっかけになった事件だろう。その異名は――百人斬りだ」
「百人斬り!?」
思わず声が裏返ってしまった。どこの無双ゲーのキャラだよ……
「異名からも分かる様に彼女は百人を斬った。正確には八十人位らしいが……」
いやいや、そこまで大差ないし……二、三十人を百人って盛ったとかって訳じゃないからなぁ。
「何があって百人斬りなんて事に?」
「彼女の警護対象者が犯罪組織に誘拐されたんだ。その救出の過程で監禁場所にいた犯罪組織の構成員を斬った結果だ」
「それはまた……だけど、そんな凄い人がいたのに誘拐されたんですか?あと、何で今はフリーなんですか?」
「誘拐された日、彼女は休みで他の男性警護者が護衛をしていたんだ。何で今フリーなのかって?その事件後男性警護者の変更があったからだ。警護対象者が百人斬りした太刀川愛莉をそれはもう恐れた様だ。他の男性もその話を聞いて誰も彼女を男性警護者にとは思わない様で仕方がなく、彼女が所属していた企業は彼女を解雇した様だ」
何と言うか救われない話だよなぁ……怖がるとかって言うけど、それなら他の男性警護者だって武器持ってたり、自分達じゃどうやったって勝てないのは同じだろう?
「それで、フリーになったのは分かりますけど、住み込みが条件なのは何でなんですか?」
「彼女は警護対象者に恐れられた事で懲りたのだろうなぁ……自分が警護する人間は自分で選ぶ事にしたらしい」
「なるほど……百人斬りの自分と一緒に暮らす事が出来るだけの胆力がある事が条件と言う事ですか」
「いや、恐らくだが……一緒に住んでも良いと言ってくれる様な――自分を恐れない様な警護対象者を求めてるのではないか?」
それはそれで切ない話だがしっくりこない。
「そう言う気持ちもあるとは思いますが、何と言うか……自分の仕えるべき主を探している武士みたいなカンジがするんですよね~太刀を使ってると聞いたからですかね?」
「かもしれないな」
羽立さんはニヒルに笑って言った。
「それでどうでしょうか市原さん、二人に会って話だけでもしてみませんか?S級のしかも名が知られた人を雇う機会なんて滅多にありませんよ?」
う~ん…そりゃあそうなんだろうけど……
「言い方は悪いですけど、不良在庫を俺に押し付けるのは止めて頂けませんか?」
S級だろうと何だろうと面倒臭いと言うか癖がある人物だという印象だ。不良在庫だからこそお得って言うのはあるんだろうけどさ。
「不良在庫……」
「フハハハハハ、S級の名の知られた二人を不良在庫か…ハハハハハ」
番場さんは絶句し羽立さんは大笑いしている。
「普通の人で良いんですよ。普通の人で」
最低週五って言うけど学校の登下校位だからな?犯罪組織に誘拐されてとかそんな想定はする必要が無い訳で……的な事を説明したのだが――
「君にしては甘いな?何事も最悪の事態を想定するべきだと思うが?」
羽立さんが先程とは打って変わって真剣な表情で言う。
「いやまぁそれはその通りですけど、そんな事は万が一程度の事でしょう?それよりも癖がある人物に警護される方がストレスでどうにかなる可能性が高いですよ……」
「会うだけ――いや、実際にお試しで警護して貰った方が良い。君は私から見ても危ういんだよ」
「危うい?」
「自覚が無い所もな……良いか?美優から聞いているが、君は女に対して忌避感が無いし対応が丁寧だ。そして何より見目麗しい。そんな素晴らしい男性をどんな手を使っても手に入れたいと思う女はいくらでもいるという事だ」
羽立さんの発言に番場さんと母さんまでもが頷いている。
「そうですか……」
あ~確かに自分の容姿についてはすっかり忘れていた。未だに前世のモテない自分の感覚でいた。これはマズいな……
「分かりました。取り敢えず会って話をしてみたいです。お試しの警護云々は会って話をしてからの印象次第と言う事でどうですか?」
折衷案を提案する。
「あぁ、それで十分だ。合う合わないはどうしたってあるものだからな」
「それでは、私は二人に市原さんの事を連絡します」
そう言って番場さんは退室した。
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