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190話

 「ほぉ~」


 思わず感嘆の吐息が漏れた。


 幸那さんを遠ざける理由付けにはなる。しかし――


 「アメリカに留学と言うのは些か本末転倒感がありますね」


  俺が隠したいのはファンクラブの設立とか事務所とかの事だ。俺自身がアメリカにいて囮になると言うのは悪くないか?


 いや、囮に効果が無いとは言わないが俺たち陣営とも言うべき人間の動向は監視されるだろうしな……


 「そうかもしれませんわね。ですが、それこそエマ・グリーン参事官にご相談すべきでは?」


 「そうですね……取り敢えず案の一つとして検討してみます。良い餞別をありがとうございます」


 「春人さん、私はどうしても上流階級の生まれでその常識や価値観が拭いきれませんの。そして恐らく春人さんはそう言ったものを嫌悪しその常識を壊そうとしていますわね?」


 幸那さんが遠からず近からずな事を言ったのでノーコメントで通す。


 「フフッ、言える筈もありませんわね。失礼しましたわ。春人さんがやろうとしている事は日本をそして世界も変えていくかもしれませんの。ですから、困難であろうとも最後までやり抜き通して下さいまし。私は本当に陰ながら応援させて頂きますわ」


 幸那さんは最初の方は真剣な顔で最後の方は恥ずかしそうな顔で言う。


 「幸那さん、最後に一つだけ聞きたい事があります。幸那さんは今のこの国についてどう思っていますか?」


 これはやはり聞いておいた方が良いだろう。


 「春人さんは凛音さんや和田元大臣の件がありますから良い感情を持つのが難しいと思いますが、男女比が偏り人口も減少している難しい情勢の中で何とか人類存続の為に手を打ち続けてきた政府を私は嫌いではありませんわ」


 なるほどなぁ…やっぱり自分がどの立ち位置にいるかで変わってくるよなこの手の事は……


 「そうですね。その意見に頷ける所はあります。ですが、僕はどうしても凛音の件や和田元大臣の件を許せないんですよ」


 大の為に小を切り捨てるのは当然の事かもしれないが、切られる小側からすれば堪ったものでは無いし、その小側から反撃されるのは仕方が無いよな?


 「幸那さん、僕の好きな言葉をお教えしましょう。『撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』って言葉なんですがね……」


 言葉と言うか某有名な反逆アニメの主人公のセリフだが、これって真理だと思う。


 「『撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』ですか……春人さん、それは翻って春人さんにも当て嵌まると言う事を努々お忘れ無きように願いますわ」


 「っっ!?そうですね。金言確かに頂戴しました」


 幸那さんの言う通りだ。政府だけじゃなくて変革を起こそうとする俺にも当て嵌まると言う事をよく理解しておかないといけないな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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