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19話

 「なるほど……概要は理解しました。確かに羽立さんがレアケースと言うのも無理はありません」


 説明を終えた俺に番場さんが言う。


 「羽立さんがウチに来たのは正解ですね」


 「それで、最低週五――最高週七となるといくら位になりますかね?勿論、大体の金額で良いんです」


 「それはウチとしてもいくら位ですと金額を言えないんです。本当にケースバイケースなので……そこでなんですが、まずお聞きしたいのは何級を何人雇うつもりなのかと言う事です」


 何級を何人くらいか……


 「そうですね……C級かB級を2人か3人と言った所でしょうか」


 ずっと毎日同じ人に護衛させるのは疲労とかを考えるとナンセンスだ。最低でも一日交代と考えて二人だな。ベストは週五を二人で、休日の外出の時は別の一人で三人と言う考えを説明する。


 「なるほど……実に理に適っていてキチンと考えられています。基本的にはそれで良いと思います。ですが、どうしても護衛対象者と男性警護者の相性というものがあります。私個人の意見としてはA級二人が良いと思います」


 「??S級ではなくてA級二人なのは何か理由が?」


 相性云々は級でどうこうなるものじゃないと思っていたからS級を薦められると思っていた。


 「良い質問です。C級やB級ですとほぼ自身の限界なので、更に級を上げる為に良い評価を得ようと言うものが無いので男性護衛者に対して遠慮がありません。S級は言うまでもありません。上り詰めていますから……勿論、最低限の配慮はあります。その点、A級であればS級が見えるので良い評価を得るため遠慮が生まれるでしょう」


 その観点は無かったな……だけど、それなら逆に――


 「なるほど……自身にはない観点からのご指摘ありがとうございます。それを聞いてC級やB級の方を選びたいなと思いました」


 「私の話を聞いてですか?もしよろしければ理由をお聞かせ願えませんか?」


 番場さんが不思議そうな顔をする。


 「極論ですけどね?俺は命を預けるんですよ。だったら、遠慮とか要りませんよ。その遠慮の所為で命を落とすなんて事になれば悔やんでも悔やみきれないでしょう?」


 「っっ!?」


 番場さんが驚きのあまり目が見開き口もあんぐりと開いている。


 「ハハハ、流石は春人君だな。遠慮はいらないときたか」


 羽立さんが愉快そうな声を出す。


 「そりゃあそうですよ。護衛のプロが言う事なんだから素人が言う事を聞くのは当然でしょう?勿論、それを聞いて受け入れ難いと思うかもしれませんが、それでも聞くだけは聞きますよ。()()()()()()()()()()()()()()()


 「そうか……良い言葉だな。()()()()()()()()()()()()()()か……」


 羽立さんがしみじみと呟く……恥ずかしいから止めてくれないかな?


 「羽立さん、デヴァイスを一度返していただけますか?」


 固まっていた番場さんが羽立さんに声を掛けた。


 「??」


 羽立さんは首を傾げながら番場さんにデヴァイスを渡した。


 「どうぞ」


 何やら操作をした後、再度羽立さんに渡した。


 「なっ!?番場!?これは本当なのか?」


 デヴァイスを受け取った後、羽立さんは驚愕の声を出す。


 「羽立さんが見ているものは一定以上の権限がある者が許可しなければ見れない類の特殊案件のものです。市原さん、貴方であればもしかしたらと思ってのご提案です。決して強制等ではありません」


 なるほど……お得意様専用みたいなやつなのかな?


 「羽立さん、そこに載っている人達って言うのは?」


 「S級の男性警護者だ」


 「S級?俺は――」


 「いや、話だけでもするべきだ」


 俺の言葉を遮り羽立さんが言う。


 「羽立さん、S級が凄いのは分かります。ですが、お金が――」


 「見てみると良い」


 羽立さんにデヴァイスを手渡される。


 見てみると二人の女性の顔写真と名前と経歴と雇用条件が載っている。


 「あの~何か雇用条件の所に住み込みって書いてあるんですけど……」


 そう、住み込みって書いてあって賃金については要相談となっている。


 「はい。賃金については要相談となっていますが、人件費は実質無料と言うか護衛の際に掛かる実費や食費などの生活費だけだと言えるでしょう」


 「はぁ?S級なんですよね?なのに何で人件費は実質無料なんですか?」


 どうしよう意味が分からない……


 「男性警護者の世界は広いという訳でもないが狭い訳でもない。それでも、この二人については私でも知っている名が知られた人物だと言える。一人目の嵯峨根(さがね)幸那(ゆきな)――嵯峨根家は所謂上流階級だ。まぁ、上流階級の人間で男性警護者になった異端児というヤツだな。しかし、彼女自身が上流階級出身で身分がしっかりしている事と上流階級故に男性慣れしている事、この二点で警護対象者からの評価が特に高い。また、彼女自身が古武術の達人で実力が高い事から早々にS級に昇級した人物だ」


 「何か凄そうな人なのは分かりました。ですが、何でそんな人が住み込みを条件にしているんです?」


 上流階級の人間が住み込みの仕事とか何でそんな発想に至ったのだろうか?


 「それは私から説明しましょう。彼女は上流階級の人間である為お金に困ってはいません。それに、これまでの仕事で十分稼いでいます。つまり、彼女はこれ以上無理して稼ぐ必要は無いのです。しかし、上流階級の人間で実力もありお金も持っているとなれば警護対象者に言い寄られる事は想像できますよね?」


 俺の疑問は羽立さんに代わって番場さんが答えてくれた。


 「あ~なるほど……それで住み込みを条件にして仕事を簡単に引き受けないって事ですか」


 「はい、その通りです。S級で尚且つ住み込みが条件であれば、当然彼女から警護対象者に対して要望も出せますので……」


 あ~無理難題を吹っかけて男の方から無理と思わせるのか……


 「あの~俺的にはそんな面倒臭い人は無しで」


 高飛車なキャラって二次元だから許される訳で(二次元ですら無理と言う人も多いが)……リアルに高飛車な人は絶対ダメでしょ。


 「そう、仰らずに話だけでもしてみるのは如何でしょう?」


 「はぁ~もう一人の人について教えて貰えますか?」


 俺は返事をせずにもう一人の人物について聞いてみた。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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