188話
「あ~いや、拗れたと言うか俺の方が一方的に信用できないと判断しているだけで……」
「警護対象者である春人さんが幸那さんは男性警護者として信用できないと判断したならそれが全てです」
「いや、さっき受け取り方が違ったから俺が間違っているのかなって……」
何と言うか俺が不当な評価をしているならそれは後ろめたいから愛莉さんにどうなのか聞きたかったのに俺の評価が全てとか言われてもなぁ……
「同姓で同じ男性警護者である私と異性で警護対象者である春人さんの評価が違うのは当たり前の事です。そして、言われた言葉も春人さんの受け取り方が全てです」
「っっ!?」
例えとして適切ではないかもしれないが、セクハラ、パワハラが言われた側がそう思ったならってやつに近いのかな。
「ふぅ~考えましたがやはり俺は幸那さんには男性警護者から外れて貰うべきだと思います。ここまで言ってしまった以上ギクシャクしますし無理をして良くない事になるのは目に見えています。だから、どちらの為にも……」
これ以上何かを言うのは無粋だろう。
「私は――」
「幸那さん、そこまでです」
幸那さんが言い募ろうとするのを愛莉さんが止めた。
「??愛莉さん何故ですの?」
「分からないのですか?貴女が今やっている事は男性警護者として正しい行いですか?」
愛莉さんが言葉自体はゆっくりだったが強い何かを感じさせる雰囲気で言う。
「それは……」
自分でも薄々分かっていたのか言葉を詰まらせた。
「春人さんが言わないので私が言います」
愛莉さんの雰囲気が剣呑になる。
ヤバい!?アレを言う気か!?せっかく俺が黙っていたと言うのに言う気なのか!?
「なっ…何をですの?」
幸那さんは一瞬気後れしたが聞く体制に入る。
「幸那さんは警護対象者に迫られて困っていたのですよね?それなら何故、貴女は春人さんに自分がされて困っていた事をしているのですか?」
「っっ!?」
あぁ、言ってしまったか…せっかく墓場まで持っていこうと思っていたのに……




