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171話

 翌日の8月9日水曜日の午後17時、俺と愛莉さんと凛音の3人で改めて話をする事になった。


 幸那さんは参加を見送ってもらった。表向きは和田元大臣の死について嵯峨根家や他の上流階級の家から情報を引き出してほしいとお願いしたからだ。


 しかし、本当の理由は嵯峨根幸那と言う人物を信用できないからだ。まぁ、幸那さんも薄々であるが俺と距離が出来た事を感じてはいると思う。


 「それで春人氏、話と言うのは何でござるか?」


 考えに耽っていると凛音から言われる。


 「勿論、和田元大臣についての話です。それと、俺の今後についても話したい。まずは愛莉さん、太刀川家から和田元大臣の死について何か情報は得られましたか?」


 俺は愛莉さんに尋ねた。


 「太刀川家が春人さんと懇意なのは周知の事実と言っても良いので情報はあまり得られませんでした。ですが、和田元大臣の死は病死となっていますが、それが実際の所急病による病死なのか病死に見せかけた他殺なのかは捜査関係者の中で意見が割れていると言う事は掴めました」


 捜査関係者から情報を得られるとは流石は太刀川家と言った所だな。


 「ありがとうございます。ですが意外でした。病死に見せかけた他殺の線も検討しているとは……」


 幹事長が警察上層部に圧力を掛けて和田元大臣の死を病死としてさっさと処理したいと思っていたからな。


 「死の前日に記者会見の生配信を行っていますし、その際にはそこまで体調が悪そうだったとか顔色が悪そうだったと言う事はありませんでしたからね。不審な所があるので他殺の線も考慮するのは当然かと……」


 あぁ…考慮はするけど最終的には圧力が掛かって病死として処理するってことになるのかな?


 「分かりました。一応言っておきますが俺は和田元大臣の死の真相を解明すると言う事はしません」


 勿論、気にはなるが俺は警察でも無いし死の真相を解明してくれと依頼された探偵でも無いのだから……


 それに――


 「和田元大臣は和田元大臣なりに自分の信念とか正義に従ってした事ですからね。とは言え、まさか本当に墓場まで持っていくって言うのをされるとは思いませんでしたが……それと凛音、分かっているとは思うけど、もうあの誘拐事件の真相を話す事は出来なくなったと言えます。本当に申し訳ない」


 和田元大臣が凛音の誘拐事件の真相を墓場まで持って行ってしまった為に白日の下に晒すと言う事は出来なくなった。和田元大臣が死んでしまったのだから証明のしようがないからだ。それに逆に和田元大臣が死んだ事を利用したデマとか言われかねないのだ。


 「そうでござるな……拙者はもうあの件については忘れた方が良いと思うでござるよ。和田元大臣ですらあの結末でござるから日本の闇は深過ぎるのでござるよ。拙者は春人氏に無理はして欲しくは無いでござるよ」


 凛音が心配そうに俺を見ながら言う。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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