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170話

 8月8日火曜日の午前8時、俺が朝起きた時には大変な事が起こっていた。


 「春人さん、落ち着いて聞いて下さいまし…和田元大臣が本日お亡くなりになったそうです」


 「はぁ?えっ!?亡くなった?」


 そう、昨日記者会見を行った和田元大臣が自宅で死亡しているのが発見されたそうだ。ニュースの生配信ではどこもこの話題一色だそうだ。


 「えっ?体調不良の為に議員を辞職したのは嘘じゃなかったって事?」


 だけど、その翌日に死ぬとか……


 そりゃあ100倍返ししたいとは思っていたが死んでほしいとまでは流石に思ってないぞ……


 「あの~誰でも思い付く事だと思うんですけど…口封じに殺されたって事はありませんか?」


 一応昨日の記者会見では辞職理由は体調不良の為と言っていたが、いつ真実を話されるか不安に思った幹事長が――と言うのはシナリオとしてはありきたりだろうか?


 「春人さん、それ以上は……和田元大臣は病死だそうです」


 幸那さんが声を潜めて言う。


 「幸那さん、貴女は――」


 「春人さん!!それ以上はダメですわ!!」


 俺が幸那さんは真相を知っているのか尋ねようとしたら叫び声で遮られた。


 「私も真相は分かりませんわ。何も知らされておりませんもの…ですけど、これ以上の詮索は絶対にいけませんわ。私は今になってこう思いますの――和田元大臣は春人さんを裏切ったのではなく守ったのではないかと……」


 幸那さんが振り絞ったような苦しそうな声で言う


 幸那さんが言った和田元大臣は俺を裏切ったのではなく守ったという意味を考える。


 「なるほど、和田元大臣は真実を白日の下に晒せば俺が危険だと考えた訳ですか…勿論、幹事長に義理立てすると言う理由もあるのでしょうが……」


 これが最善だと考えたのだろう。


 そうなると、和田元大臣の死は恐らく――


 「ふぅ…くぅ……」


 俺は気付けば涙を流してしまっていた。


 真実を白日の下に晒せなかった悔しさと敗北感、それから和田元大臣を死なせてしまった事の悲しみ等々が混じりあってどうにも涙を堪える事が出来なかった。


 俺はこの日、自分の無力を呪った……

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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