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167話

 会談が終了してアメリカ大使館から戻ったその夜に俺は母さんと話をする事にした。


 「それで、話って言うのは何かしら?」


 「あ~愛莉さんや凛音にはしにくい話で……」


 「まさかとは思うけど、新しい娘と婚姻をしたいって言う話じゃないでしょうね?」


 母さんがジト目でこちらを見ながら言うが、それは違う。


 「いやいや違うよ。仮にそうだったとしてもまず二人に一番に相談するにきまってるだろう?」


 とんでもない濡れ衣だ。


 「そう…それじゃあ何なのかしら?もう思い当たる事が無いわ」


 えぇ…俺ってそんな節操無しと思われてんの?いや、確かに二人の女性と婚姻をするからそう思われても仕方が無いとは思うが、正直納得はいかない……


 「あぁ…そのね~こないんですよ……」


 俺は恥ずかしさを感じるのでもじもじしながら言う。


 もし前世で男が付き合っている相手の女性から『こないの…あれが……』とか言われたら血の気が引くような思いをするだろうな。


 「??こないって…何が?」


 母さんはピンとこないようで首を傾げながら言う。


 「ふぅ……精通がこないんだよ」


 こんな性の話を母親にするのは恥ずかしいが、父親はいない(一緒に住んでいない)のだから母親に相談するしかあるまい。


 インターネットがあるじゃないかって?俺も最初は調べようと思ったけど、男の性に関する情報は規制されてるから調べられないんだよ……


 「えっ?えっ??」


 母さんが混乱しているが、とりあえず話を続行する。


 「前世では何十年も前の事だから正確にはよく覚えてないけど、確か中学生位だったと思う。少なくとも高校生の時には終わってた。だから、今世?で中々こないからさ~正直困ってると言うか……」


 資金集めの為に有効活用しようと思っていたのだが、中々こないから少々心配になったのだ。


 「え~とね…私が知る限りでは大体の男性は18歳前後らしいわよ?だから精子提供の義務が18歳からって事なんだけど……」


 母さんも顔を赤く染め恥ずかしそうに言う。


 「へぇ~そうなんだ。良かったぁ……ありがとう」


 えぇ…確かに前世でも精通の平均年齢が上がっているって話は聞いた事あったけどさぁ……まさか18歳くらいにまで上がっているとは思わないじゃん?


 「だけど、あと約2年待ちなんっっ!?」


 「春ちゃん?」


 母さんは途中で言葉を止めた俺を怪訝そうな顔で見ながら名前を呼ぶ。


 だが、その声に返事をする余裕は無かった。


 何故なら、恐ろしい事に気付いてしまったからだ。


 そう――前世の俺にはあって今世の俺には無いものについて思い至ってしまったからだ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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