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166話

 和田大臣との合意を取り付けた後は――


 「最後に私から一つエマさんにお尋ねしたい事があります」


 「……何でしょうかミスター市原?」


 エマさん――と言うかアメリカに確認しておかなければならない事がある。


 「凛音を救出した後、我が家に凛音を連れて来て下さった際に話した内容を覚えていますか?」


 「えぇ…覚えています」


 エマさんは俺の質問を予想していたのか顔の表情が優れない。


 「では、改めてお尋ねします。エマさんは――いえ、貴国は某国の草に唆された上流階級の男が計画した凛音の誘拐を知っていたのでしょうか?」


 「……知っていました。正確には本国が某国の不穏な動きをキャッチしたので、我々が調べた所ミスター市原に恨みを持つ男がミズ月坂の誘拐を企てている事を知ったのです」


 「ふぅ~そうですか……」


 自作自演では無かったが、凛音の誘拐事件を予め知っていて助けたと言う推測は当たりだった様だ。


 「何か弁明はありますか?」


 糾弾するのは簡単だが、アメリカ側にも言い分があるだろうからな。キチンと聞かなければならない。


 「ノーありません。我が国がそうした理由はありますが、それを説明した所でミスター市原からすれば我々はミズ月坂の誘拐事件が起こる事が分かっていたのに何も知らせ無かったと言う事実に変わりはありませんから……」


 弁明する事なく言い切る姿は潔いなぁ。


 「様々な事情について思い至りますからね…私から特に言う事はありません。凛音も無傷でしたしね。凛音、凛音から何かエマさんに言う事はありますか?」


 被害者である凛音がどう言うか?だな。まぁ、俺には何て言うか分かるが……


 「私の様な一般人でもエマさんが私に事情を説明できなかった理由は何となくでも分かりますから、私も糾弾するつもりはありません。助けて貰っただけで十分です」


 だと思ったよ。


 「ミズ月坂…申し訳ありませんでした。そして、ありがとうございます」


 エマさんが凛音に謝罪の言葉と感謝の言葉を伝えた。


 「特にありませんと言いつつもう一つだけ確認したい事があります。貴国と某国がグルだったと言う事はありませんか?」


 愛莉さんの祖母である妙子さんがそんな事を言っていたので一応確かめてみる。


 「っっ!?ミスター市原の発想には驚かされますね……ですが、ご安心下さい。それは絶対にあり得ません。アメリカ大使館の参事官であるエマ・グリーンが保証いたします」


 ふむ……ここまで言うって事はその線は無いと判断して良いだろう。


 「不躾な質問にも関わらずお答え頂きありがとうございます」


 こうして、和田大臣との会談は終了した。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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