165話
作戦タイムと言う名の休憩が終わり、早速俺の予想を話した。
「和田大臣、エマさん、如何でしょうか?」
「その可能性は非常に高いでしょう」
「えぇ、流石はミスター市原と言った所ですね」
和田大臣もエマさんもあり得ると考えている。
それなら――
「和田大臣、私は貴女が真実を暴露した上での議員としての辞職を求めます」
大臣職としてではなく議員としての辞職だ。そして、その後は当然罪に問われるだろう。これは先程凛音と相談して決めた事だ。
某国が黒幕の男を唆したことは許せないが、結局は黒幕の男が凛音の誘拐を決断した事に間違いはない訳だ。
そして、某国の関与を暴露して戦争になるのも、戦争回避の為に俺を某国に売られるのは困るので、せめて事件の隠ぺいに関わった人物と凛音の誘拐の黒幕である上流階級の男にはキチンと罪を償わせたいと言う事で意見が一致した。
「休憩前に私が言った某国の関与を伏せると言う条件を飲んで貰えるのなら、私の犯した罪を告白し議員を辞職しましょう」
「はい。某国の思惑に乗る訳にはいきませんからね。私が某国の関与について暴露する事は無いと言う事も付け加えましょう。もっとも現時点の状況ではですがね……」
「フフッ、抜かりが無いと言うか何と言うか…市原さんには是非とも人類存続党から衆議院か参議院の選挙に出馬して欲しいですね」
和田大臣がそんな事を言う。いかなる状況においても暴露しないと俺が言わなかった事を揶揄している様だ。
「今回の件は我々の身を守る盾にも身を切り裂く諸刃の刃にもなり得るものですから柔軟な対応が必要だと言えます。なので、ご理解を賜りたいです。あと、出馬は謹んでお断り致します。私に議員が務まるとは思えません」
幹事長や大臣の不正だからなぁ……切り札にもなり得るがそんなヤバい事を知っているだけで命を狙われかねないものでもあるのだから、ずっと口を閉ざしていますなどと言う約束はおいそれとは出来ない。
あと、議員なんて論外だ。前世の様に居眠りしようがいるだけで良いなんて事にはならないだろうし、俺自身が割と口を滑らすタイプだと自覚しているから余計な事を言って大変な事になるのは目に見えている。
「そうですか、非常に残念です。市原さんの様な男性が政治に携わって下さると国もより良くなると思うのですがこればかりは……」
和田大臣が残念そうに言った。
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