164話
新年明けましておめでとうございます。本年も拙作をよろしくお願い致します。
取り敢えず作戦会議をするべく1時間の休憩時間を貰った。
先程話していた部屋とは別室で俺と愛莉さんと凛音の三人で集まる。
えっ?男性警護者である愛莉さんはともかく凛音もいたのかって?
そりゃあいるよ。凛音は誘拐事件の被害者だからな。
「凛音はどうしたい?」
「ほぇ!?」
いきなり俺に意見を聞かれるとは思っていなかったのか凛音は変な声を上げる。
「今回の件の被害者である凛音の意見を聞きたい」
俺としては許せないと言う気持ちが半分と何もかもを暴露して某国を刺激して某国と戦争になるのは困るなと言う気持ちが半分だ。
まぁ戦争まではいかなくとも某国と日本に更なる軋轢が生まれて、しかもそれが俺の所為だと言われるのは納得がいかない。
と言った所なので、被害者である凛音の意見を聞くべきだと思ったと言う事を説明する。
「春人氏…日和ったでござるか?」
凛音が中々辛辣な事を言う。
「正直言ってその気持ちが無いとは言いません。と言うか、俺が被害者なら俺の気持ちと言うか思いだけで進めますが、今回の俺はあくまで被害者の婚約者でしかないので……」
やはりこれが大きい。凛音の気持ちが一番優先されるべきだ。なので、俺が自分の意思をゴリ押しするのは今回は違うと思う。まぁそれは凛音が無傷で帰ってきたからではある。
「婚約者でござるか……」
えっ?そこ?反応するとこそこなの?
「コホン、拙者は無事でござったし事を荒げたくはないでござる。それに、春人氏の所為で某国と戦争になったとしたら確実に春人氏は某国に売られるでござるよ?拙者は春人氏と別れたくないでござる」
「っっ!?凛音!今何て言った!!」
一瞬だが凛音の発言に引っ掛かるものがあった。
「えっ?えっ!?春人氏と別れたくないでござるよ?」
「違う。その前だ」
「??確実に春人氏は某国に売られるでござるよ?」
「某国の真の狙いは多分それです!!」
勿論、凛音を誘拐して俺に言う事を聞かせると言う手で上手くいけばそれはそれで良しではあったのだろうが、それでも某国に各国から非難が集まるだろう。
だから、俺の性格を逆手に取って日本政府の隠ぺいした事と某国の関与を暴露させる。
そうすれば、某国は憶測で侮辱されたと言って堂々と俺の身柄の引き渡しを要求し、引き渡さなければ開戦だと言う。開戦と言うのは当然脅しだ。
しかし、そうなれば日本政府は戦争を回避する為に俺を引き渡さざるをえないだろう。
仮にその行いを他国が非難しても、男とは言え罪人と言うか国家を侮辱した俺の身柄の引き渡しを要求する事は正当な理由だとかいけしゃあしゃあと言うのだろう。
それに、某国が俺を誘拐や拉致したと言う訳では無く、あくまで日本政府が自発的に俺の身柄を引き渡したと言う事実があれば如何とでもなると考えているのだろう。
「なるほど…そこまで春人氏の性格を読んでの事でござったか……」
「クレバーだよな。まぁ適当に家系図なんかをでっち上げて市原春人の先祖は某国人もしくは某国人の血を引いている。だから、市原春人は某国人であり某国にいるべきだとかされるよりはマシか……」
実はこのパターンが厄介で警戒していたのだ。だって俺の先祖に某国人の血が一滴も入っていないとは言えないからな。
そして、某国の狙いが分かった以上俺が生配信等で某国の関与を語る事はするべきではないだろう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。




