163話
「勿論、僕が言っている事はあくまで僕の想像に過ぎません」
超法規的措置の意図を読み間違えたように俺は決して何でも知っているとか予想した事が全て当たるなんて事は無い。
あくまで起こる可能性が高い事を予想しているだけに過ぎない。
「いいえ、私が体の良いスケープゴートにされる可能性は高いです。それに薄々ですが気付いていました。いえ…気付かない様にしていただけですね。ですが、私を外務大臣と言うポストに推してくれたのは幹事長ですから恩があり話を受けざるを得なかったのです」
諦観の念を浮かべながら大臣は言う。
150年経った未来でもそういう話はあるのか。柵と言うか何と言うかそういう体質は変わらなかったのか日本人……
「だからと言って貴女がした事は許される訳ではありません。それとも、自分達は特別な人間なのだから許されると考えていたのですか?」
許されると考えていたよりは感覚が麻痺しているのだろうと俺は思っている。良くも悪くも人間とは慣れる生き物だからな。
「ハハッ、私もすっかり権力を振るう事に慣れてしまっていたのですね。市原さんに言われるまでそんな当たり前の事に気付かなかった。いえ、これも気付こうとしなかったのでしょうね」
大臣は自嘲しながら言う。
「大臣、改めてお伺いします。貴女は自らのいえーーあなた方の罪をどうなさるおつもりですか?」
言葉は悪いが、こっちは大臣の自嘲とか知ったこっちゃないのだ。
「どうすると言うのは?」
「抽象的な質問でしたね。では、こう言いましょう……あなた方の罪を明らかにするつもりはありますか?」
大臣の自嘲で問題が解決すると言う訳でも無いのだから、俺がして欲しい事は自ずと限られる。
「今更何をと思われるかもしれませんが、外務大臣として某国の関与があった事は伏せると言う条件が守られるのであれば私は罪を告白する事もやぶさかではありません」
そう言うって事は俺が何を考えているのか勘付いているのだろう。
さて、どうしたものかな?
最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。
また、リアルの方が忙しくなってきた事とこれからの展開をどうするかしっかり考える為に少々と言うかかなり早いのですが、冬休みに入らせて頂きます。次回の更新は1月6日月曜日を予定しております。どうか読者の皆様のご理解を賜りたいと思います。
それでは、読者の皆様かなり早いですが、本年は大変お世話になりました。良いお年をお過ごし下さい。