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150話

 「納得できてなさそうですねぇ……それじゃあ、本当は話す気が無かったんですが凛音の誘拐事件のある疑問点について話しましょうか」


 これは話す気が無かったんだけど、どうせ幸那さんと言うか嵯峨根家から国に報告が行くだろうから俺は分かっているぞと国側に警告しておこうか。


 「ある疑問点…ですの?」


 「はい。()()()()()()()()()()()()()()()です」


 「??某国を刺激しない為ではありませんの?エマさんがそう言ってましたわよ?」


 そう、俺もあの時は納得したけどよくよく考えてみればおかしい。


 「えぇ、僕もあの時は多少混乱してましたからね。納得しましたけど、よく考えてみればおかしいんですよ。だって、凛音の誘拐は凛音を人質に取って僕をグループに入れさせる為に計画、実行した男の犯罪です。勿論、某国の草が唆したのかもしれませんが、()()()()()()()()()()()ではありませんか」


 「っっ!?」


 幸那さんが絶句する。


 「某国を刺激しない為に男が関わった犯罪を事件ごと無かった事にする必要がありますか?それよりはそういう事件がありましたとほぼありのままに発表して某国の関与の部分だけを発表しないと言う事で十分だと思いませんか?どちらが労力を使うかそして隠ぺいがバレやすいかなんて言うまでもありませんよね?」


 俺が言いたいのは某国を刺激しないと言う事であれば事件の一部隠ぺいで十分だと言うのに何故わざわざ事件そのものを無かった事にしたのか?と言う事だ。


 「つまり、その労力に見合うだけの何かがあると春人さんは言いたいんですの?」


 幸那さんが声を震わせながら言う。


 「これはあくまで僕の推測に過ぎませんがね……黒幕の男は罪に問えない超法規的な措置が取られるんでしょう?それは僕や凛音に恩を着せる為と同時にそれ自体が目的だったとしたら?」


 普通なら男と言うだけで大した罪には問えない。しかも凛音――女性の誘拐だからな。せいぜい精液を数百㎖と少額の罰金だろう。だが、超法規的措置が取られると言われると人体実験とか男児を生む可能性を上げる為の種馬扱いとか悲惨なものを思い浮かべるだろう。


 「っっ!?某国を刺激しない為と言う大義名分を利用して事件そのものを無かった事にして、超法規的措置で好きにできる男が欲しかった…春人さんにも恩を売れるから……」


 「僕に恩を着せるのはそう思って貰えたらラッキー位の事でしょう。それよりも本当の目的を隠す為ではないかと考えています。これはあくまで推測に過ぎませんけどね……しかし、先程男女比の話をしましたよね?それを本気でどうにかする為に男を人体実験にすると言うのは理屈では納得できても人道的にはどう考えても不可能です。それなら――」


 それなら――超法規的措置で好きにできる男を欲するのも無理はない。


 「これ……私が知ってしまったらいけない事ではありませんの?」


 「でも、幸那さんは嵯峨根家の人間ですから嵯峨根家に報告をしないといけませんし、嵯峨根家も国に報告する筈ですよね?」


 「っっ!?私――いえ嵯峨根家も巻き込みましたのね!!」


 俺の思惑に気付いた幸那さんが激昂する。


 「幸那さん、以前貴方は僕を利用しようとしました。なら、何故その逆をされないと思ったのですか?」


 「私、初めてあなたを怖いと思いましたわ」

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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