145話
「月坂Pの謝罪配信と言う案は反対です」
凛音の言う事は正しいが、危うさがあるのだ。
「理由はいくつかあります。一つ目はやはり謝罪配信と仰々しくすればそれを敵に利用されかねないと言う事です。エスが謝罪配信をして一部の女を貶める発言をした事を認めたぞと言われるでしょうね……」
「それは…ありそうですね……」
凛音は不満そうな表情から一転して考え込むような表情になった。
「二つ目はジュエラーは配信者エスが普通の男とは違ってきちんと謝罪できる男だと分かっていると思うのでわざわざ謝罪配信をして他の男とは違うアピールをすると言うのは今更な事だと思うからです」
「それもその通りですね」
首を上下に振って納得の意思を見せた。
「ですので、配信の初めの方で表現を誤った事について謝罪すれば良いと思うのですが如何ですか?」
俺としてはニュースなんかでアナウンサーが映像の誤りについて謝罪するあんな感じをイメージをしている。
「私の謝罪配信をと言う提案は無かった事にして下さい」
凛音が申し訳なさそうに言う。
「いえ、月坂Pの考えていた事はなんとなく分かります。この所雑談配信が続いていて何か新しい事を試みようと考えていたのでしょう?それが謝罪配信と言うのは賛否両論があると思いますが……」
俺が先程慣れてしまった云々と言ったが、それは翻せばマンネリ化していると言う事だ。
今回の事は勿論敵を増やさない様にに立ち回る為に必要な事だと思っての事ではあるが、このままでは良くないと考えてと言う事もあるだろう。
デート動画なんかは何か月も先の話の事だし、新曲も進捗がいまいち芳しくは無いのだ。
ここらでテコ入れと言うか何か新しい事をと考えるのは理に適っている。
「実はジュエラーの皆さんにも興味を持ってもらえそうな企画と言うか考えを一つ思い付いたんです」
「っっ!?是非聞かせて下さい」
「そんな読み方する!?地名クイズと言った所ですかね」
そう、信号の看板に地名が書かれているが下のローマ字を見てそんな読み方するの!?って言う驚きを経験した事がある人は多いんじゃないだろうか?そんな所から得た発想だ。
「地名だけで無く何県でしょう?まで尋ねると言うか問題にすると尚面白いと思います」
読み方が難しい地名を知っていてもそれがどこの県かと言う事までセットで覚えている人は中々いないんじゃないだろうか?
例えば、『別府原』とか引っかけと言うかね……俺は大分の別府が有名だからべっぷばらとかぺっぷばると読むのかと思ってたんだが、正解は『びゅうのはる』でしかも鹿児島県にある地名だぜ?
はぁ~?初見で読めるか!!と思ったね。百歩譲ってはるは読めなくもないが、別府はべっぷだろう?まぁ他の読み方はあるにしてもびゅうとは絶対読まねぇから!!
結構盛り上がると思うんだよ。地名だから身近と言うか何と言うかとっつきやすいからな。
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