143話
7月10日月曜日時刻は午後17時になろうとしているが、少々重苦しい空気になっている。
その理由は――
「エスさん、昨日の配信の最後の発言を覚えていますか?」
朝、凛音から学校帰りに話があると言われた。そして、先の発言だ。
「発言ですか?確か……ジュエラーの皆さんには今更な発言だろうけど的な事を言ったと思います」
「はい、合っています。しかし、表現が少々……」
凛音が苦々しい表情で言う。
「えっ!?そんなにマズい事言いましたっけ?まさか……炎上!?」
凛音の表情からマズさを痛感した。
「いえ、以前にも言いましたが男性に炎上はあり得ません。炎上してしまえば男性配信者――ひいては表舞台に出てくれる男性の数が減りますから」
「ふぅ~そうですか…あれ?でも正直言ってそんな深刻そうな顔になるような発言をした覚えはないんですが……」
一安心したが、凛音いや今は月坂Pだな――にそんな顔をさせるような発言をした覚えは無い。俺自身、これでも発言には気を付けているからだ。
「エスさんはやはり他の男性とは違うので言葉を選んでいるなと言うのは分かります。しかし、昨日の最後の発言は少々言葉のチョイスがマズかったと思います。その発言とは『あぁ、ジュエラーの皆さんには言うまでもない事ですが、後からアーカイブ配信を見た方が誤解される事の無いように言わせて頂きました』です」
やっぱり俺の記憶に間違いはなかった。そして、改めて思うがそんな言葉のチョイスを間違っただろうか?
「エスさん、最後の『後からアーカイブ配信を見た方が誤解される事の無いように』と言う部分です」
なるほどなぁ。言われてみると確かに……
しかしだ――
「あの……これは弁明するつもりで言う訳ではありませんが、悪意があっての発言ではありません。あくまでアーカイブ配信を見ただけの人にそう思われない様にと言う意図での発言です。月坂Pはアーカイブ配信を見るような奴は誤解するような奴と思われかねないと言いたいのでしょう?」
言われてみるとそう取れなくもないと言うカンジだが、確かに前世ならプチが付くかもしれない炎上の可能性はあるな。
「ですが、先程男性は炎上しないと言いました。なら、そんな曲解して悪意がある見方をして炎上させようと言う輩がいると言いたいのでしょうか?」
「エスさんにしては鈍いですね。エスさんは敵が多いのですよ?上流階級がメンツをつぶされた仕返しに利用する可能性もあります。某国やアメリカが炎上させてエスさんを日本にいられなくして亡命させようとする可能性だってあります」
「っっ!?」
月坂Pの言う通りだ……想定が甘い。甘すぎる。ある意味では前世より危険で前世より敵が多いのだ。
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