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128話

 今日は6月21日水曜日だ。何故水曜日まで飛んだかと言うと、俺の歌の動画の反響がすごくて凛音がその返事やらで忙しくてこの日になったのだ。


 俺は最初から歌を歌わせる許可を出さないって動画で言ってるのに歌わせてくれとか自分の配信で歌って欲しいとかの連絡が凛音に多数きたそうだ。


 俺はキリがないから個別の返事はもうしないで良いと凛音に言った。そして、答えは分かり切ってるからそういう輩には今週の配信を見てくださいと月坂Pのアカウントで告知させた。


 当然、今週の配信を雑談配信にして凛音にクソみたいな連絡してくるなと言うつもりだ。勿論、だいぶオブラートに包んだ表現でだけどな。


 だってアレだぜ?俺は愛莉さんと凛音に転生した話を次の日にでもしようと思ってたのにコレだからイラついているのだ。


 まぁ、とにかく今日、凛音の学校終わりに時間を取れたので話すつもりだ。幸那さんには話すつもりが無いので、今日一日は実家の嵯峨根家に戻ってもらっている。


 「と言うのが俺が記憶喪失と偽ってた理由です。だって、150年前の平行世界から同姓同名の人間に転生?憑依?しましたなんて言ったらどうなるか二人なら分かるでしょう?」


 「……」


 「……」


 愛莉さんも凛音も口をポカーンと開けた状態で固まっている。


 パンパン


 「いいですか?このことを知っていて尚且つ信じてくれたのは母さんだけです。それなのになぜ二人にも話したのか……これから家族になるからです。後は凛音に大層な事言ったのに自分は隠し事をするって言うのは何と言うか…ね?」


 俺は二拍手して二人の意識を戻して話を続けた。


 「ご母堂が信じられたのですね……であれば本当の事なのでしょう。まさか輪廻転生を成し遂げた方であったとは……」


 「春人氏がこの世界の男と違う理由としてはおかしくはないでござるが、俄かには信じ難く……」


 ふむ……愛莉さんは全面的に信じてくれるのか。一方、凛音は信じたいけど……ってカンジだな。


 「まぁ、僕としては隠し事をしたくなかったって言うのが一番なので信じる信じないは個人の判断に任せます。ただ、今後僕がこの世界の常識と違っておかしな事をしたとしても150年前の平行世界の記憶を持ったおじさんがする事だからなと思ってスルーしたり、マズかったり間違っていれば諫言をして欲しいと言う事なんです」


 俺は一息に言いきった。


 「あの~?言いたい事は色々あるのですが、一番気になった事を聞きますね?おじさんと言うのは?」


 愛莉さんがそう言い、凛音もその通りだとばかりに首を縦に振る。


 「あれ?言わなかったですかね?僕が転生?或いは憑依?したと言う事はつまり死んだ訳です。それで、死んだ時の僕は32歳だったのでおじさんと言う事です」


 年齢は言わなかったけなぁ?まぁ、良いや。今言ったし……


 「32!?年上じゃないですか!!それなのにさん付けさせてたなんて……」


 愛莉さんは前世では俺の方が年上なのに自分にさん付けさせていた事にショックを受けていた。えっ?気にするのそこなの?というね……


 「いえ、気にしないで下さい。今の僕は正真正銘15歳で年下ですからね。さん付けしてもおかしくはないでしょう?それよりも、愛莉さんも凛音も思う所はないですか?愛莉さんは年齢が10違う男に、凛音に至っては倍の男の妻になるんです。詐欺だと言って婚約破棄されても仕方が無いと思って覚悟して話をしたんですが……」


 俺がそう言うと、二人共何故かチベットスナギツネの様にスンとした顔になった。


 「春人さん、今ご自分で言ったではありませんか?今は正真正銘の15歳なのでしょう?寧ろ拙の方が…8つも離れておりますし……」


 あ~前世の例で見ると社会人2年目のお姉さんが15の男子高校生と付き合っている……事案だな。


 だけど、この世界ではどうなんだ?ってか俺的には相手が23って年下の感覚なんだよな。


 アレだな?入社年数も年齢も下の上司?的な?微妙なねじれっぽいカンジだな。例えとして適切かどうかは置いておくが……


 「春人氏……拙者、今は少しあの話を信じられたでござる」


 うん。素の凛音は嬉しいのだけど、残念な目で見ながら言うの止めてくれる?


 「まぁ、世間体が良くないと言うのは何となく分かります。ですけど、愛莉さんはS級の男性警護者です。しかも、只のS級の男性警護者じゃなくて二つ名すらある有名な男性警護者ですよ?社会的信用は相当なものだと言えます。当て嵌まらないのでは?」


 只のS級の男性警護者って言うパワーワードはスルーして欲しい。あと、愛莉さんは百人斬りとして警護対象者である男性に恐れられていた。だから、寧ろ良かったねってカンジで祝福されるのでは?


 そう言ったのだが――


 「春人氏……逆に愛莉さんが最後のチャンスとばかりに形振り構わずに春人氏との婚約を画策したと考える者の方が多いでござるよ」


 凛音の目が残念そうなものを見る目から可哀そうなものを見る目に変わった。


 えぇ……そっちに取るの?


 「ですけど、二つ名持ちのS級の男性警護者ですよ?普通に考えたら僕が愛莉さんの財産目当てで婚約したと思いませんか?」


 恐れられている男性警護者と婚姻するなんて財産目当て一択だろう。


 「普通ならそうでござるが、相手は春人氏――いや配信者エスでござるから……」


 「ああっ!?逆玉扱いになるのか!!」


 前世での逆玉――逆玉の輿とは意味が異なるが、この世界では正しい使い方だろう。


 「愛莉さんには申し訳ないですけど、逆にここでこの事が分かって良かったですよ。愛莉さんのご家族が割とすんなり僕との婚姻を認めてくれたのはそれが理由だったんですね。僕が愛莉さんや太刀川家の財産目当てでは無いと理解してくれたんですね」


 「はい……」


 愛莉さんは先程の気まずそうな顔から一転して赤くなって恥ずかしそうに言う。


 「だったら発信していきましょう。僕と愛莉さんはどちらかの財産目当てでは無く、お互いに好きになったから婚姻したのだと……」


 「発信と言う事は愛莉さんも配信に出るでござるか?」


 「凛音の案でも良いし、太刀川家の関係者に僕と愛莉さんの婚約か婚姻記念に引き出物を渡すのとかも良いんじゃないかな?二人の写真が入ったマグカップとかお皿とかね?僕が嫌そうな顔してればともかく、二人でイチャラブしてる写真だったら誰も財産目当てと思わないでしょう」


 前世の結婚式の引き出物からのアイデアだ。そんなもん要らねぇからカタログの方が良かったんじゃ~~!!リア充滅びろと何度思った事か……

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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