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127話

 インターフォンを押した後、出てきてくれた明奈さんの目元が赤くなっていたので凛音と一緒に動画を見てくれたのかな?なんて思った。


 それで、先日の様にリビングに通されたのだが…… 


 「あの~え~とですね。確認なんですが、今日の13時に動画を投稿したのですが、それは見ましたか?」


 恐らく見ただろうとは思うが、リビングにいた凛音と明奈さんに一応尋ねた。


 「えぇ、拝見しました。凛音転生と言う歌を歌った動画でしたね?」


 明奈さんと同様に目元が赤い凛音が棘のある言い方で言う。


 「そうです。あれは凛音への思いを込めた歌です。僕の思いは届きましたか?」


 「ズルいですよ。市原君は……」


 凛音が恥ずかしそうに顔を俯いて言う。


 「騙し討ちの様な事をした事は謝ります。ですが、僕は先日自分の我が儘を押し通しました。なので、そのお詫びと凛音への思いを分かりやすく伝える為にあの動画を投稿しました」


 今日配信を休むからジュエラーへのお詫びだの意味もあると言うのは野暮だろう。


 「私の為に?」


 「そうです。今日改めてお願いには来ましたけど、この前あらかたバレてますからね。新鮮味もないですし、どうやったら凛音へのこの思いが伝わるのか考えた結果が歌でした」


 この前プロポーズしたようなもんだからな……また改めて似たような事を言った所で二番煎じと言うかなぁ?勿論、言う事にはなるけどだからと言ってそれだけって言うのは……そう考えて凛音への思いを込めた歌を作って歌った訳だ。


 「と言う訳で明奈さん、改めてになりますが、僕と凛音さんの婚姻を認めて貰えないでしょうか?」


 一息に言い終わった後に俺は深々と頭を下げた。


 「本当にウチの凛音(むすめ)は幸せ者ね……市原さん――いえ春人さん、勿論二人の婚姻、今は婚約を認めます。どうか娘を末永くよろしくお願い致します」


 明奈さんも俺に向かって深々と頭を下げた。


 「あ、頭を上げてください!こちらこそ末永くよろしくお願いします」


 「い、市原君、今後は婚約者としてよろしくお願いします」


 凛音が顔を真っ赤にして言う。陽キャギャルな見た目で純情なのは反則だろう。


 まぁ、あくまで見た目が陽キャギャルなだけであってほぼほぼ確信しているとある疑惑についてもこの機会に尋ねよう。


 「こちらこそ、今後は配信者とプロデューサーの関係だけじゃなくて婚約者として…ゆくゆくは夫婦としてよろしくお願い致します」


 「はい!」


 「それはともかくとして、この機会に改めて呼び方を変えて欲しいなと思っています。下の名前――春人と呼んで下さい」


 婚約者になった凛音がいつまでも市原君呼びはマズい。愛莉さんは婚約者だからともかく、ただの男性警護者である幸那さんが春人さん呼びなのに、婚約者の凛音が市原君呼びと言うのは勘違いされる可能性が高いから呼び方を変えるべきだ。


 「あっ!?そうですね……は、春人さん……」


 俺は凛音って呼び捨てだから春人って呼び捨てでも良いんだが、いきなりそれはハードルが高いのかもしれない。まずはさん付けからでも良いだろう。


 「ありがとう凛音…それともう一つ――こちらは確かめたい事があります。凛音……猫被ってないですか?」


 「っっ!?な、何の事ですか?」


 ビクッと言うか、ギクッと言うかそういう擬音が聞こえる位反応したな。確定かな。


 「申し訳ない。言い方が良くなかったです。今の凛音は素の凛音ではないですよね?自己紹介で僕を推すとか第月天魔王と名乗ってたりとかしてたので気付いたんです」


 「はぁ~この娘は……」


 俺の確信めいた言葉に明奈さんが凛音を見ながら呆れたと言わんばかりに溜息を吐いた。


 「それが証拠と言うには弱くないですか?」


 顔を引きつらせながら凛音は抵抗――悪あがきをする。


 「凛音を問い詰めたい訳じゃないんです。ただ、これから先ずっと自分を偽って生きていくと言うのはどう考えても不可能でしょう?だから、これを良い機会に素の凛音で接して欲しいんです。勿論、素の凛音を知ったからと言って婚約破棄なんて事はしません。約束します」


 まぁ、ホントの自分を曝け出すのって恥ずかしいし、見せたくないって気持ちも分かるけど、隠し通せるはずがないし言うのが遅くなればなるほど言い出しにくくなるからホントにこの場(婚約者になった)が良い機会なのだ。


 「ええっと……」


 それでも凛音は渋ると言うか迷っている。


 「恐らくなんですが……凛音は高校デビューしたんですよね?」


 「っっ!?それは…その……」


 共学校に入学出来たから男と接する事になる⇒オタク女子のままでは良くない⇒オタク女子とバレないように偽装しよう。と言った所だろう。


 まぁ、初っ端から沼るだの推すだの言ってたらバレるだろとは言わない。


 「は、春人氏、拙者、拙者は……」


 「はい、分かってましたよ。ただ、春人氏と呼んでたとは思いませんでした。あと、自分を拙者と呼んでいた事も……それでも、嫌いになったり婚約破棄したりはしません。素の自分を見せるのは怖かったと思うけど、信じてくれてありがとう凛音」


 そこからの事はまぁその何と言うか凛音の名誉に関わる事なので皆さんのご想像にお任せします。


 それと、凛音は素の自分を見せてくれた。だから、今度は俺が本当の自分の事を話す番だ。勿論、愛莉さんにもな…… 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。


また、お盆に入りますので、次回の更新は8月19日月曜日6時更新とさせて頂きます。よろしくお願いします。

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