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124話

 「エスさんが学校の事を振ってくれたので私もエスさんに聞きたい事があるんです。エスさんは学校を恨んでいませんか?あと、復学するつもりはありませんか?」


 凛音が以前から聞きたいと思っていたであろう事をこの場で俺に尋ねた――とは思わない。


 「なるほど……これは恐らく月坂Pが学校の関係者から俺に尋ねて欲しいと言われた事ではないですか?」


 復学云々はクラスメートの可能性もあるが、学校を恨んでいるかなんて質問はどう考えても教職員の誰か――校長や教頭や担任であろう事は簡単に予想がつく。


 「あはは…まぁ、ご想像にお任せします」


 その言葉はその通りだと言ってるようなもんだ。


 「分かりました。お答えしましょう。学校を恨んでいるかという質問にはいいえと答えます。誰が悪いって圧力を掛けた追放おばさんですからね。ただ……学校側に守って欲しかったっていう気持ちもあるんですよ。あと、圧力に屈した癖に謝罪がないんですよね……なので、恨んではないけど許すつもりは毛頭ないですね。あと、今後の謝罪等は一切不要です」


 学校側が京條家の圧力に逆らえないのは理解できるが、だからと言って簡単に屈してはいけない。もっと上手く立ち回る方法もあっただろうに俺を売るという簡単な方法を選んだ事が許せないのだ。


 「それと、復学と言う質問ですが……自主退学してますから、停学とか休学じゃないので復学は無理ですね。再度の転入とかですかね?まぁ、仮に復学できると言われてもお断りします。あり得ないですね。だって復学したとして同じような事が起きたらまた僕を売るでしょうからね。なので、来年あそこの学校を希望している男子生徒がいたら止めた方が良いと思います。生徒を守ってくれない学校に価値はないですから……」


 学校を貶すつもりはない。事実を事実のまま正しく伝えているだけだ。


 「あぁ、言うまでもない事ですがこれはあくまで個人の感想だと言う事はご理解の程よろしくお願いします」


 「あはは…まぁ、そう言うんじゃないかと言う気はしてました。ただ、私もずっと尋ねてくれと頼まれていましたのでこの場で尋ねました。苦情等は一切受け付けませんのであしからず」


 凛音がここまで言うって相当だぞ。かなりしつこく言われて堪忍袋の緒が切れたって事だろう。ってかさっきはご想像にお任せしますってあやふやな言い方だったのに頼まれたってハッキリ言ったな。


 だったら――


 「ないとは思いますけど、もし万が一月坂Pに理不尽な仕打ちをした場合は学校名を出して正式に抗議等をさせてもらいます。ご了承下さい」


 こう言っておけば京條家にあそこまで抵抗した俺を敵に回してまで凛音に理不尽な仕打ちをする事は無いだろう。


 「エスさん、コメントで学校で良い事は無かったのか?と言うのがありました。マイナスな事だけだと逆恨みされますからプラスな事を言って下さい」


 凛音が逆恨みとか煽りつつそんな事を言う。


 「良い事……あっ!?夏野先生と出会えた事は間違いなくプラスだったと思います。ヤベェ!?先生の名前出しちゃったけどポジティブな事だから良いですよね。先生、すいません。お許し下さい」


 「夏野先生って副担任ですよね?そんなに接触と言うか絡む事あったんですか?」


 凛音が不思議そうに尋ねる。


 「宿泊研修で男子の研修は僕一人でその時の先生が夏野先生だったんですよ。その時に学校の事じゃなくて婚姻の事とか聞いたんですけど、親切丁寧に答えてくれて好印象でした。と言うか世の男性諸氏は夏野先生に感謝すべきですよ。先生が覚道玲央の話をしてくれたから僕が上流階級の闇を暴けたと言っても過言ではないからです」


 これは本当にそう思っている。覚道玲央のダブルスタンダードで上流階級を警戒した事で幸那さんが八条院玲央の事をゲロって真実を知れた訳だからな。


 「思ったよりもとんでもない答えが返ってきて驚きです」


 「担任が夏野先生だったら毅然とした態度で僕を守ってくれた事は容易に想像がつきます。学校側の今世紀最大と言っても良いミスは担任と副担任を逆にしてしまった事だと思います。いや、学校側としてはそれで正解だったのか……」


 「他にも何かエピソードはありますか?」


 「夏野先生じゃないですけど、入学の手続き関連で事務の渕上さんにはご面倒をおかけしてしまって大変お世話になりました。ぶっちゃけあの時の電話の相手が渕上さんじゃなかったら入学できてない可能性大でした」


 「エスさんは貴重な男子生徒ですから入学できない可能性なんて無いと思いますけど……」


 凛音がやんわりと否定する。


 「いやほら僕って記憶喪失じゃないですか?だから、そもそも入試を受けれるのか的な問題があった訳ですよ」


 俺がそう言うと、コメント欄が記憶喪失関連のワードで埋まった。しまった……記憶喪失の話はしてなかったな。


 「あ~やっちまいましたね。記憶喪失と言っても問題ないから入学出来たんですよ。それが後々問題になる可能性もあったんです。まぁ、もう辞めちゃったんですけど……まぁ、そんな訳で異例な事ばかりだったので色々大変だったと思うんですよ。あぁ…だから学校に対して恨みは無いんだ。こっちも面倒掛けたし、だけどああいう人たちがいたのにあんな事になったから裏切られた様で失望して許せないんだな」


 「良い機会だったのではないでしょうか?エスさんなりに気持ちの整理が出来て……」 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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