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108話

 謝罪について纏まったし、そろそろブッコむか。


 「お二方の謝罪を受け入れます。その代わりと言っては何ですがお願いがあるのですが……」


 「お願い…ですか?」


 月坂さんが説明した流れには無かった事なので千春さんが戸惑った表情で言う。


 月坂Pもえっ!?って顔してる。すまん。


 「はい。とある人物の名誉回復の為に真実をこの場で語って頂きたいのです」


 「とある人物の名誉回復の為ですか……申し訳ございませんが私共に心当たりは御座いません」


 流石は前当主だ。面倒そうな事だと判断して即座に切り返した。


 「心当たりが無い等と言う事はあり得ないと思いますよ?ある人物と言うのは覚道玲央――いえ、上流階級の奇跡の子、八条院玲央さんの事ですから……」


 「なっ!?」


 「配信を止めなさい!!」


 俺が八条院玲央の名前を出すと千春さんは驚き、桃香さんは配信を止めろと怒鳴る。


 「事前に言いましたよね?配信中に何があっても配信を止める事は出来かねますと……」


 俺はしたり顔で言う。


 「貴様、それが我らの禁忌だと知った上での発言か?」


 桃香さんが鬼婆の様な形相で俺を睨みながら言う。


 「勿論です。そのような形相で睨むのは止めて頂けますか?配信中ですよ?」


 「……」


 「市原春人殿、何故覚道――いえ、こうなってしまえば無駄ですね。八条院玲央の名誉の回復を望むのですか?」


 千春さんがシレッと俺の本名を呼ぶ。


 「いけませんね~私は配信者エスですよ?それを……まぁ一旦それは置いておきましょうか。八条院玲央の名誉の回復を望む理由?そんなの同じ男として許せないからですよ。あぁ、ここで八条院玲央の真実について語れば上流階級の家がやってきた強引な婚姻について理解を得られるかもしれませんよ?」


 「嵯峨根幸那!!この男を取り押さえなさい!!」


 京條桃香が怒りの限界を超えたのか幸那さんに俺を止めろと言う。


 「幸那さんの名前まで出して…本当に困った親娘ですね……いいから黙って話を聞けや――俺は同じ男として八条院玲央に対する仕打ちを許せないと言っただろう?俺はな……この八条院玲央にシンパシーを感じたんだよ。似たような境遇の男として…な」


 そう、八条院玲央は上流階級の家の人間ではあったが他の上流階級のいくつもの家から婚姻を申し込まれて争奪戦となっていた。俺も嵯峨根家と京條家に俺の意志に関係なく強引な婚姻を結ばされそうになった。


 「幸那さんの名前をあんたが出したから俺も出すが、幸那さんは八条院玲央の悲劇以降同じ悲劇が起こらない様になんて言っていたが、それは上流階級の家の悲劇が起きないようにだろう?上流階級に無理やり婚姻を結ばされた男の悲劇は無視か?なんて思って心の中で冷笑したよ」


 「「っっ!?」」


 「前当主はさっき言ったな?禁忌だと知った上での発言か?と……何を寝ぼけた事言ってやがる!こんな何万人も見てる配信で言ってんだぞ!!明日――いや数時間後にはどこぞの上流階級の家から暗殺者でも差し向けられるかもしれないが知った事か!!男を舐めんじゃねぇぞ!!俺達はお前らにとって都合の良い玩具やトロフィーじゃねぇんだよ!!」


 八条院玲央の名誉の為なんて言ったが、結局は似たような――理不尽な境遇に置かれている事への怒りなのかもしれないな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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