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102話

 「それよりも、朝山さんと話すのに資格がいると言うか試験があるだなんて聞いていませんが?」


 今日じゃないと話はしないと言う話は聞いていたが……


 「それは私が勝手にしただけだ。だが、考えてもみたまえ?私の貴重な休みの日を利用するのだ。私と話をするのにふさわしいかどうか試験をして確かめたくなるのは当然の事だろう」


 まぁ気持ちは分からんでもない。俺も前世では何故休みの日にまでわざわざ職場の人と食事をして仕事の話をしないといけない?と思った事はある。勿論、そんな事は微塵も感じさせなかったが……


 「それは、一応ありがとうございますと言わせて頂きます。では、早速話したいと思うのですが……」


 思う所はあるが話をせずに帰るという訳にはいかなさそうなので、話を進める。とは言え期待は出来そうにないがな。


 「構わないよ。君も掛けたまえ」


 男性警護者の後ろに隠れていた朝山はソファーに腰掛け、俺に反対側を勧めた。


 「それではまず、朝山さんは何故社会に出て働こうと思ったのですか?精子提供をすれば働かずに生きていく事は可能ですよね?」


 俺はソファーに座ってから朝山に尋ねた。


 「そうだね、確かに精子提供をするだけで生きていく事は出来る。しかし、それは生きていると言えるのかね?私にはこの世界は鳥籠に思えるのだよ。だから少しでも鳥籠を広くしようと思ったのだ」


 「っっ!?」


 朝山の言葉に虚を突かれた。


 前世での自由さを知る俺にはこの世界は窮屈だ。外出一つで男性警護者が必要だからな。


 でも、その言葉がこの世界が当たり前の男性から出てくるとは思わなかった。


 そう、この世界は男性優位ではあるが不自由である事は間違いない。いや、逆なのかもしれない。不自由であるがゆえに男性優位になっているとも言える。


 正直言ってこの朝山と言う男の事を舐めていた。いや、この男からどんな話を聞けと言うんだ?と思った。だが、それは的外れだったな。


 「なるほど……興味深い話でした。それでは、本題に入ります。僕にはある懸念があります。それを実際に社会に出て働いている男性に尋ねたいと思ったのです。そして、それは杞憂なのかそれとも気付くべきではなかった事なのかを……」


 「君がそこまで言う事か……宜しい話してみなさい」


 「はい。結論から述べると政府が信頼できるのか?と言う事です」


 そして、俺は宿泊研修で抱いた政府は男から力を奪い女に依存させる事で、男は生きていくには女の言いなりになるしかないのではないか?と言う疑念を朝山に話した。


 俺が話した後、朝山はソファーに凭れ掛かった後に目を閉じ何かを考え始めた。


 「すまない。思っていたのと全く違う内容だったのでね。私はてっきりどこか良い男子校を教えて欲しいと言われると思っていたのだよ……」


 あぁ……なるほどな。それは納得だ。共学校を自主退学した事は俺が配信者エスだと知っているなら調べられる事だしな。


 「それは何と言うか…失礼しました」


 「いやいや私が勝手に勘違いしていただけだ。そして、君の疑念なのだが……私にも答えられない」


 「それは、答えてしまえば朝山さんの命が危ういから――ですか?」


 俺は答えられないのは話す事が危険だからか尋ねる。


 「いやいや、違うんだ。単純に答えを知らないからだ。そんな事を考えもしなかったのだ。だから、答えられないという訳だ」


 ふぅ~一瞬焦ったぜ。それなら――


 「失礼かとは思うのですが、朝山さんの知り合いの方に答えを知っていそうな方の心当たりはありませんか?」 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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